Geburtstag 
eins
  −3−



眠る前に『もう一度』とお風呂に言った海堂が戻ってくると、床の用意が出来ていた。
海堂は横になってしみじみと思った。
 

 『来て良かったなぁ。
  センパイ、いろいろ変なコトするけど、オレのこと考えてくれてたんだなぁ・・・』


と・・・・・


しかしその気持ちはまたしても乾にブチ壊されることになる。
布団の上に正座をして枕を抱き、ニマニマしながら折角だから一緒に寝ようと迫ってきたのだ。


「断る」


即答する海堂。
しかし乾も諦めなかった。


「なぁ〜んか眠れなくってさぁ。
 だからひっついて・・・
 あぁ でもそんなことしたらよけいに眠れないか。
 でもせっかくの旅行だしぃ〜」


海堂は頭におっきな「ぴきぴき(怒りマーク)」を作って


「断るっつってんだろ! 
 オレは一人じゃねぇと眠れねぇんだよ!」


キレながら答えたにもかかわらず、乾は「そんな事言わないでさぁ」と言いながら、
モゾモゾと海堂の布団に潜り込もうとした。



   ブチッ



「いい加減にしやがれこの変態メガネ!」



   バキッ



ついに海堂さんはキレてしまわれました。



「ごめんなさぁ〜い。
 海堂〜 もうしないから中に入れてよ〜ぅ」


頭にでっかいコブを作ってドアをドンドン叩く乾だが、
少し反省してろと海堂にカギを開けてもらえなかった。


後輩に叩き出された哀れな先輩は
「貞治ちゃん!廊下で暴れてはダメよ!」と女将さんにも叱られていた。




その頃海堂は、乾から渡されたプレゼントを開けていた。
乾の前ではテレくさくて開けられなかったのだ。

箱の中に入っていたのは、小さなジュエルケースだった。


ゆっくりと開けたその中には




流れるようなフォルムの美しい、銀色に輝く指環が・・・

乾の【想い】が入っていた。





  『7年たって、酒が飲めるようになってからも一緒に来たいね。

   ・・・・・俺が好きなのはお前だけだよ』



「あぁ あの言葉は本当なのかも知れないな」


指環とドアの外から聞こえる声に、未来への期待と不安を感じる海堂だが、
その顔は優しい笑顔に満ちていた。





     

はっぴばぁすでぃ!薫君
永遠の14歳。


2003.05.03発行・乾海第1弾のオフ本でした。
まぁ いろいろとご都合主義ではありますが・・・

内容は変わっていませんが、言葉は変わっています。所々。
まだまだ「自分の書き方」が解っていません。
早く見つけたいものだなぁ。