Geburtstag eins −2−
乾がバカなことをやっている間に食事の用意が出来ていた。
「食事の用意も出来たようだし、食べようか」
乾が殴られた頬をさすりながら誘うと、海堂は殴って悪かったと思い
(乾が殴られたのは当然といえば当然なのだが)
ご飯はオレがよそいますと、おひつを開けた。
「いいのかい?ありがとう」
幸せそうに海堂を見つめる乾だったが、心の中では
『あぁ俺の幼妻・・・』
などと考えていた。
しかし口に出そうものならまた殴られそうなので、言うことは出来なかった。
その姿に見とれる乾の前に、「はい」とご飯が差し出された。
それはもう「特大山盛りてんこもり」といったカンジに盛られていた。
「あ・・・あぁ 有難う・・・」
受け取った乾は、普通に盛られた海堂のご飯を見て不思議に思った。
『どゆこと・・・?』
「あ・・・やっぱ多すぎました?
センパイいっぱい食べると思ったんで・・・」
乾の視線に気付いた海堂はしょぼ〜んとしてしまった。
「イ・イヤ ちょっと多いけど、考えてよそってくれたんだろ?
ありがとう、嬉しいよ。・・・ムリだったら残すけど・・・
さ・食べよう」
乾にそう言われると、海堂は安心したような顔をして
「はい。いただきます」
いつものように手を合わせた。
テーブルに並べられた料理はどれも美味しそうだった。
ドキドキしながら料理を口に運んだ海堂は、ぱあぁぁぁっと顔を明るくさせて
「美味しい!!」
と微笑った。
『海堂ってば可愛すぎだぁ〜。
俺・・・いつまで理性を保てるだろう・・・」
海堂の悩殺スマイルにKOされた乾は、必死で自分を抑えていた。
食事もだいぶ進んだ頃、乾が穏やかな顔で話しかけた。
「ねぇ、海堂」
海堂がお箸をくわえたまま顔を上げると、
乾はウーロン茶の入ったグラスを持ち上げて微笑った。
「今はお茶だけどさ、7年たって酒が飲めるようになってからも一緒に来たいね。
・・・・・こーやって向かい合って・・・・・
新婚旅行みたいにさ」
『?
今さらりととんでもねーコト言わなかったか?』
ただ黙って聞いていた海堂の疑問は、乾の優しい笑顔に消されてしまった。
「海堂 これ・・・受け取ってくれるかい?」
乾は赤いリボンのついた小さな箱をテーブルの上に置いた。
「?
何スか?」
海堂は不思議そうな顔で首を傾げ、乾を見つめた。
「もうすぐだな。
誕生日おめでとう・・・・・海堂」
乾はその瞳を真っ直ぐに見つめ、言葉を紡いだ・・・・・
「センパイ・・・有難う御座います・・・」
「・・・海堂・・・
大好きだよ・・・」
乾は極上の笑顔で海堂に愛を語った・・・・・
「・・・・・そーゆーコトは女に言えって・・・・・」
海堂は乾から目をそらしてしまった。
その頬はほんのりと紅かった。
乾の気持ちは知っている。
何度も「好きだ」と言ってくれる。
だが海堂は自分の気持ちに整理がつけられない。
嬉しいとは思うのだが、『男なのに』という考えが先に立ってしまうのだ。
「言ってもいいの?」
海堂は驚いて乾を見た。
真面目な顔と声・・・・・
乾は真っ直ぐに海堂を見ていたが、やがて軽く吹き出した。
「プッ 言えるワケないじゃないか。
・・・・俺が好きなのはお前だけなんだから。」
その言葉に安堵した自分に気付いた海堂は「もしかしたらオレも・・・」と思ったが、
あえて口にはしなかった。
結構文章を買えてしまいました。
良くなってればいいのですが・・・