闇の正体


 『オリジナルに対して・・・?』

K’は信じられない言葉を耳にした。

一体どういうことなのだろうか。

組織の中で「オリジナル」と言えば「草薙京」だが、

クリザリッドは明らかに別の意味で「オリジナル」という言葉を使った。

円状のホールの壁に沿って緩やかなカーブを描く階段からゆっくり下りると、

クリザリッドは四方に設置されている巨大なモニターに視線を送った。

「真実を知らぬと言うのは哀れだなぁ。K’よ。

 お前はあいつらと同じなのだぞ」

そう言われたK’もモニターに視線を送った。

他の三人もモニターを見た。そして言葉を失った・・・


そこには多くの闇が映っていた。

炎を操る〈彼の者〉と同じ肉体、同じ声、同じ能力を持ちながら、

〈彼の者〉が持つ「強靱な意志」と「人間らしさ」を得ることが出来なかった「偽りの生命」を与えられた闇

「草薙京」のクローン達だった。


「草薙さんがいっぱいいる・・・」

それはもう真吾の理解を遙かに超えていた。

自我を保つのがやっとの状態なのかも知れない。

昨日街で見た「草薙」もクローンだったのだ。

だから真吾を見ずに知らないはずのK’を見たのだ。

おそらくK’の持つ「草薙」の遺伝子を気配として感じ取ったのだろう。

  「強化人間を大量生産する」

それはクローンを作ると言うことだったのだ。


「オレがあいつらと同じだと?フザけるな!」

「フザけてなどいない。ただしお前は草薙京のクローンではなく、

 草薙京の遺伝子を与えられたこの私のクローンなのだ。

 思い出せるか?父や母のことを。幼い頃の自分を。

 思い出せるはずがない。お前には今以前の時間など何もないのだからな。」

コートで隠された見えない口元が皮肉な笑みを浮かべたように見えた。

「オレがキサマのクローンだと・・・?」

クリザリッドの言葉を受け止めきれずに小さく震えるK’を見た真吾は必死に叫んだ。

「あんた。ナニデタラメばっか言ってンだ!

 ダメですよK’さん!あんなヤツの言うこと信じたら!」

「オレが・・・」

「しっかりして下さい!

 K’さんはK’さんじゃないですか!

 あんなののクローンな訳ないですよ!K’さん!!」

真吾の声が届いたのか、それとも自分で決着をつけたのか、

K’はクリザリッドを睨み付けた。

「オレがキサマのクローンだろうが、キサマがオレの何なのか、そんな事知ったことか!

 キサマが気にいらねぇからぶっ殺す!それだけだ!」

「そうですよK’さん!あんな嘘つきやっちゃって下さい!」

「フッ いいだろう。やってみろ!クローン風情が!!」

そういってクリザリッドは不気味に笑った・・・。