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「まぼろし虹の物語」                         2002.6.12


白ウサギさんに助けられ、悲しみの海から帰ってきた白クマくん。
白クマくんは、まぼろし街で大勢の人の悩みを聞いて上げ、いつの間にか
銀のメタルがたくさん集まっていました。

銀のメタルを眺めていると、たくさんのメタルが1つに集まって大きなメタルになりました。
その時、胸が急に熱くなり、気が付いたら目から涙が自然と流れていました。
そんなことが3回続いた小雨の降るある日のこと、大きな銀のメタルが七色に光りだし、
メタルは消え目の前に虹の階段が現れました。

白クマくんはビックリ。
さっそくキツネさんを誘って、虹の階段を上ってみることにしました。
虹の階段はどこまでも高くつながり、風を越え、山を越え、雲を越え、七色に輝く
雲の上にある天の国まで続いていました。

天の国についた白クマくんとキツネさんは目をみはりました。
そこは、コバルトブルーの空、そしてお日さまの周りには綺麗な虹の環が
出来ていました。
白くてフワフワする地面には、たくさんのきれいなお花と緑の草、そして全てのものが
七色に輝いていました。
さて、どうしたものかと辺りを見回すと、キツネさんが看板を見つけました。
そこには、天の国の畑、天の国のお城、天の国の遊び場への矢印が書いてありました。

お腹が空いていた白クマくんとキツネさんは、さっそく食べ物を探しに天の国の畑に
向かいました。
天の国の畑には、たくさんの果物の木があり、リンゴやみかん、モモ、お菓子の木な
どいろんな色の果物やお菓子がありました。

まず、シロクマくんはリンゴを食べてみました。
「うわー、美味しい。こんなに美味しいリンゴ僕始めて食べたよ」と言いました。
キツネさんは不思議な木につるされているお菓子を食べてみました。
「おーっ。この味は始めて食べる味だ。
今まで、こんなに美味しいお菓子食べたことないよー。」
白クマくんも食べてごらんとすすめました。
ふたりは、色々な果物やお菓子を食べてお腹いっぱいになり、これまでにない幸せな
気持ちになりました。

次に、二人は天の国の遊び場に向かいました。
途中で白ウサギさんと合いました。
「あれ。もしかして、前に僕たちを助けてくれた白ウサギさんですか?」と白クマくんは
訪ねました。
「うん。そうだよ、久しぶり。」白ウサギさんは答えます。
「やっぱりそうだ。あの時はありがとう。」
白クマくんとキツネさんは声をそろえて言いました。

天の国の遊び場も、全てが七色に光り、遊園地や公園、空飛ぶじゅうたん、
湖を潜る潜水艦など、色々な冒険が楽しめそうなところでした。
「僕が遊び場を案内してあげるね。」と白ウサギさんが言いました。
最初は、七色の水が流れる川の遊覧船に乗り、天の国を見て回りました。
そして、空飛ぶじゅうたんや観覧車、ジェットコースターに乗ったりと時間を忘れて
遊びました。

そろそろ疲れたので、3人は天の国のお城に行くことにしました。
お城の扉には七色の鈴があったので「カラン、カラン」と鳴らしてみました。
お城の中から、眩いほどに光り輝く綺麗な女王様が迎えてくれました。
女王様をよく見ると、背中には透きとおった7つ羽がついて、キラキラと光っていました。
「こんにちは。ようこそ。あなた達をお待ちしていました。」
女王様は優しい笑顔で話しかけてくれました。

お城の中に入ると、ここも全てが七色に輝き優しい気持ちになりました。
女王様は、とても優しい声で、昔から伝わるお伽話や心に響くやさしい詩を歌って
くれたので、3人はいつの間にかベットで眠ってしまいました。

どれ位の時間がたったでしょう。3人は目を覚ましました。
白クマくんは、「あれ、ここはどこ?」
回りを見渡すと、全てが七色に輝いていました。
「あぁ、そうか。僕たちは天の国にいるんだ。」
起きて外に出てみると、いつの間にか夜になっていました。
空を見上げると、琥珀色に輝く、まん丸のお月様と、一面にキラキラと星がいっせいに
光りを放っていました。
今までに見たこともない美しい星空を見た二人は、すごく感動して自然と涙があふれ出て
きました。
時間を忘れて夜空を眺めていましたが、キツネさんが言いました。
「ねぇ、白クマくん。そろそろ帰らないと、みんな心配してるよ。」
「うん。そうだね。そろそろ帰ろうか。」と白クマくんも思いました。

でも、キツネさんが言いました。「虹の階段が消えてる。これじゃ帰れないよ。」
白クマくんも下を見ると、確かに虹の階段はありません。
「そうだ。帰る方法を女王様に聞いてみよう。」さっそく、お城に戻り女王様に訪ねました。
女王様は、
「それでは、私が虹のすべり台を作りましょう。
これなら、あっと言う間にあなた達の生まれた街に帰れますよ。」と言って、不思議な呪文を
唱えると、虹のすべり台があっという間に出来ました。

「ねぇ、ウサギさんはどうするの?」とキツネさんは聞いてみました。
「うん。僕はもう少しここで女王様のお手伝いをするから、また遊びに来てね。」といいました。
白クマくんとキツネさんは、女王様と白ウサギさんに何度も何度も「ありがとう」と、
お礼をいいました。
そして、すべり台に座りましたが、あまりに高いところから降りるすべり台だったので、
2人はちょっとだけ怖かったので目をつぶって降りることにしました。

すると、あっと言う間に、まぼろし街の女神さまが飾ってある神社の前に着きました。
2人は目をパチクリさせて、「今までの冒険は夢だったのかな?」と
不思議な気分になりました。
でも、2人の胸には七色に光るきれいなメダルの首飾りがつるされていました。
2人は幾千の星空に向かって、また「ありがとう」と天の国に聞こえるくらい大きな声でお礼を
言いました。
お家に帰る途中、後ろを振り返ると琥珀色の月がずっとついてきました。
そして、いつの日かまた虹の階段が現れる日を想いながら、銀のメタルを集めようと思いました。
  
                                                    おしまい
 

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