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「新世紀エヴァンゲリオン」考察 (人類補完計画を補完する計画)    2002.7.25


注:以下は、エヴァの感想ではありません。
  監督が考えていることや伝えたいメッセージをストーリーから読みとった考察です。

   


忠告
:作品の批判や非難はしていませんが、考察の結果ではキャラクターのイメージを
   悪くする考察です。
キャラ萌えの強い人は読まないことをお薦めします。
   
それでも読まれる場合は、自己責任の上で読んで下さい。

第1部 「まごころを、キミに」

今更ながら、数ヶ月前にEVAを見ました。感想は、とにかく凄い作品でした。
多くの方が熱狂したのが良く分かります。

色々な解釈本が出ているらしいですけど、僕なりの解釈を少し説明すると、
EVAは庵野監督「過去の自分の記憶を客観的に見ているゲンドウ
(現同?)でもある)が過去に経験した
「青年期において聖書を頼りに精神世界から帰還した体験談」を、
再度「日常世界と精神世界の境界線に立って回想し」シナリオに書き下ろし
アニメーション化して発表した作品であると解釈しました。
辛く泣きながら、こらえながら、その先にある人々の希望を夢に抱きながら創作した
作品ですね、多分。

例えば、「ネルフ」は地下にあり天と地が反転していて、自分の心の世界と
日常世界の関わりが逆転している精神世界そのものの象徴です。

では、ファーストインパクトとはなにを指すのでしょう?
僕の考えでは「この世に生まれた時」で、セカンドインパクトは
「精神世界に引き込まれたとき」、サードインパクトは「日常世界に戻るとき」を
指しています。

人類補完計画には2つの意味があり、TVアニメ版では「セカンドインパクトによる
精神世界でバラバラになった自分(庵野監督)の心(人格=各キャラクター)が
統合されていくさま」を描いています。

セカンドインパクトで生き残るミサト(美郷?)は「希望の象徴」です。

レイは、生命の源の象徴(太古の脳=大脳や海馬など太古の脳=神の領域=アダム)。

シンジは、心を司る発想(大脳新皮質の右脳=発想や想像力・創造などの感性を司る部分)

アスカは自我の象徴(大脳新皮質の左脳=言語や理論・解明などの知能を司る部分)

トウジは大人の心の象徴(反発・抵抗・拒絶・快楽など)

カヲルは自我(アスカ)と抵抗心(トウジ)の心が減退し、素直な自分に

帰ったときに表れた救いの主である「イエス・キリスト」を象徴しています。

ネルフ最深部の地下(心の深層部:地下=精神世界は逆転しているから天空でもある)
においてシンジが神であるカヲルを消去した理由は、自分を消滅させてカヲルを救う
(新しいシンジの人格に変わる)と精神世界でシンジは妄想に支配されてしまい、
日常世界(人間の世界=地上)に戻れなくなるからです。

そして、使徒(残酷な、天使のテーゼ)に試され打ち勝った結果、
劇場版でシンジ(庵野監督)はイエスの再来
(神と呼ばれる羽を持った人間=神の使い=天使=使徒)
に生まれ変わり神話(新世紀エヴァンゲリオン)を作る庵野監督の
聖なる書であると考えています。

ですから、新世紀エヴァンゲリオンは聖書と同等の意味を持つ聖なる表現が
描かれており、この物語は旧約聖書と新約聖書に書かれていることを
ある程度解読出来ないとEVAを理解するのは難しいかも知れません。

なお、聖書とは、知能で理解しようとしてそのまま読んでも意味不明ですが、
精神世界に引き込まれたときに心の目で読むことにより、光り輝く書物だったりします。
(注:筆者はキリスト教の信者でも勧誘員でもありません。そもそも、この世の神は1つ
 「この世を創った強大な力」で、現在ある姿の宗教による枠組み自体が異常であると
 考えています。)

劇場版「まごころを、君に」はTV版の続きで、聖書により救われた
庵野監督の心(シンジの心)がさらに成長し、神に近い精神状態に達した時の話しで、
テレビ版や劇場版「シト新生」を上映した後、これを見た人々を考えさせ、
悩ませることにより、見た者の無意識の心の中に心が病んだときに救いとなる
聖書の存在を若者に知らしめることが「人類補完計画」の最終目的となっています。

戦闘時の光りなどに十字架が多用されいます。それを見た視聴者は、
無意識という心の中に埋め込まれています。
もし、あなたが精神世界へ陥ったときには、無意識から掘り出された十字架が
掘り起こされ、救いを求め聖書を手に取ることになったりします。

TV版の最後のメッセージである
「すべてのチャイルドにおめでとう=聖書の存在を知っておめでとう」が
全てを物語っています。すなわち、庵野監督は使徒(神の使い)ということですね。

いやはや、庵野監督の手段と内容の充実、作品への心の引き付け方などに
感嘆しました。
時間をかけて考察すれば、1冊の本になる程の内容になりますが、
今さらEVAの真相本を出しても時代錯誤ですね。

それより、自分の体験談をメディアに表現する事の方が重要で、
創造により多くの人々の心を救える作品を製作する側にいるのだなと感じている
今日この頃です。


以下補足

EVAの考察は僕なりの解釈で「主観的事実は人の数だけあると思います。」
その主観的事実が「アスカ」(知識や知能・プライドなど自分と他人を識別している心)です。

人間が生まれて大人になるまでの人格形成の過程を簡単に説明します。
男性(アダム)と女性(イブ)が愛を育むことにより、女性の体の中に
新しい命(レイ=霊=魂(心))が宿ります。

人間は、この世に生まれて1年位は与えられたものを授かるだけの心
(シンジ=生き延びるための鋭い感性=太古の脳)しかありません。
言葉を話す頃になると自我が芽生え・好き嫌いが出来る・自分と他人を
区別する・物事を理解し考えるなどの知能が発達
(アスカ=人間にしかない大脳新皮質=プライドや個性・自分と他人の区別)
します。

そして、大人になると自立し好きなことしか求めなくなる・現実から逃げる心(トウジ)が
確立さるといった様な人格を形成していくのが普通でしょう。
ですから、人間一人一人に知能が備わり育った環境や教養などが異なっているため、
色々な考え方や自己主張があります。

EVAのシナリオの中でこれを説明するに相応しい言葉による例えがあります。
それは、EVAの真相を解くために意図的に隠したヒントです。
その1つが各キャラクターの名前で、全員がカタカナです。
カタカナをひらがなにして漢字変換してみましょう。

  ファーストチルドレン = レイ   = 霊   = 魂(心)

  セカンドチルドレン  = アスカ  = 飛鳥  = 飛び立つための羽(知能)

  サードチルドレン   = シンジ   = 神児  = 神の申し子(感性)

  フォースチルドレン  = トウジ  = 蕩児 = 酒や女に溺れる道楽者(理性の欠如)

  フィフスチルドレン    = カヲル  = 香   = 目に見えない高貴なもの(神)

このように、人格形成がファーストからファイブまでつながります。
他のキャラクターも漢字変換するとちゃんと意味のある名前になっています。
例えば、リョウジ(療治=精神科医)、リツコ(律子=規律)など。

また、その他にもEVAを理解するための隠されたヒントがあります。
カヲルの誕生日はセカンドインパクトが起こった日です。
すなわち、セカンドインパクト(精神の崩壊)が起こらないと表れないのです。

EVAのシナリオでは、アスカ(知能)は減退したり復活したり
首を絞められたりしています。
その度にごとに、シンジ(素直な心・感性)が強くなっていきます。
知能で物事を判断せず感性を磨くことにより、
始めてカヲルを感じることが出来るのです。

そして、レイとシンジとアスカがシンクロ(補完)し、シンジがエヴァの
機体(人間の肉体)を操縦することにより、強敵を倒したり、光り輝き大空を飛ぶ
(明るい未来への飛躍・創造する力)ことができるのです。

主題歌「天使のテーゼ」は庵野監督自信の歌(神話を作る少年)ですし、
「魂のルフラン」はEVAのシナリオが精神世界であることが
歌詞から容易に理解できます。

他にも、ペンペンは日常世界では「ペンギンの時計(TV版でわずかに
描写されている)」ですが、シナリオでは顔色を伺ったり、ごろごろテレビを見ていて
人生の時間を無駄に過ごしている羽はあるけど飛べない鳥だったりします。


第2部「まごころを、ダレに」

EVAに関する情報をネットで探していたら、あるHPで
「惣流・アスカ・ラングレー」とは、航空母艦「蒼龍」、特設砲艦「飛鳥」、
アメリカの空母「ラングレー」から取った名前であるとの情報を得たました。

改めて、庵野監督の凄さを実感した瞬間でした。
そして、アスカが戦艦に乗って海の向こうからやってきて、エヴァンゲリオンで
戦艦を破壊しているシーンや映画版「まごころを、君に」の最後の
「シンジがアスカの首を絞めているシーン」を思い出しました。

これは常日頃僕が思っていることだけど、「地球上に住む全ての動物の中で、
神が人間にのみ特別に与えた知能(アスカ=リリスにより作られし人間にのみに
与えられた能力)で人間は戦いの武器を作り出し、未だに戦争をしている
人の愚かさ」を怒りとして表現したのが、アスカの首絞めのシーンになったのでは
と感じました。

そういうメッセージ(まごころ=愛)も若い世代(チルドレン)に
伝えているのですね多分。
それと同時に、若者達がいつの間にか精神世界に引きずり込まれ、
過去の記憶以外の全てを忘れた状態に
なったとき、日常世界に戻ってこられる目印として「十字架」を映像に多用し、
視聴者の無意識の心に植え付けているのでしょう。
ほかにも、色々なメッセージがありそうな「新世紀エヴァンゲリオン」です。
 
最後に、オタクの象徴的な「ケンスケ(健助?)」は、彼にも苦労はあるけど
幸せそうで健全ですね。
少なくても武器で商売してたり、必要性がないのに
自然を崩壊する仕事をしている人達よりよっぽどましです。

僕も、最近はゲームにはまったりとオタクレベルが黄色なのだけど、
他人や人間以外の生物に最小限の迷惑しかかけていないのだから、
まったく問題ないんじゃないかな?と思う今日この頃です。
逆に、好きな事、好きな物を無理矢理我慢すると、後からリバウンドするのが
「欲望を抑えられない人間の心理」だったりします。

但し、いくら自分が好きなことで、第3者に迷惑をかけなければ
何をやっても良いという訳ではなくて、人間としての理性とか、
法律や規則の範疇を越えてはいけないことは言うまでもありませんが・・・。
最近の社会システムはこの辺の精神論が少しおかしくなって来てますね(悲)。

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