【警告】 +------------------------------+ この物語はフィクションであり、登場人物や団体名は実際のものとは一切関係がありません。 また、一部ゲーム上で登場した人物名を使用していますが、セリフや行動は実際のものとは異なっています。 この物語は作り話ですので、読んだ方がどのよう感じられても苦情等は一切受付けていません。 この物語を読んで不快になった場合は、自らの責任で不快を選んだとみなします。 +------------------------------+ 将星煌めく戦国乱世。権力者達は己の野望のために旗を掲げた。 ある者は国の支配者となるために ある者は衰退していく国を救うために そしてある者は信義のために 元の思いは違えども進むべき道はただ一つ 天下統一!! -- 日本がまだ戦国時代だった頃、この島国の各地では魑魅魍魎の類が騒ぎを起こしていた。 各地の権力者は、この不可思議な力に翻弄されつづけていました。 そんな中、尾張では織田信秀が亡くなり信長が家督を相続します。 権力者となった信長が各地の騒ぎについて調べてみると、数年前に己が破壊した隠れ里の祠が原因ではないかという結論に辿り着きます。 しかし、変わってしまった時の流れは、権力を握った信長にもどうすることもできませんでした。 ・・・時は流れ・・・ 織田家・斎藤家の間に「正徳寺同盟」が締結され、そして上杉家・武田家の間に「川中島同盟」が締結されました。 川中島同盟を結んだことにより武田家は、今川・北条の両家と敵対するようになります。 武田家は川中島同盟を味方につけることができず、その隙を突いて信濃に進軍した斎藤家によって信濃を追われることになりました。 一方、川中島同盟を味方につけた上杉家は、武蔵地方の北条家を撃破し、武蔵の地を支配下に収めました。 ・・・時は流れ・・・ 西方では、本願寺家の属国だった伊勢が、浅井家の侵攻を受けて占領されました。 織田家と徳川家による「桶狭間の合戦」では、織田家が勝利して三河を占領、徳川家は敗走して国を失いました。 東方では、北条家が上杉家の攻撃を受け、相模から敗走して国を失いました。 またそれに便乗した武田家が今川家の駿河を急襲してこれを奪取、今川家は敗走して国を失いました。 これにより、北条・今川・徳川 の東海地方の大名家が全て国を失いました。 ・・・時は流れ・・・ 徳川家による「お家再興戦」が岡崎城であったが、織田家によって防がれました。 西方では、三好家の本拠地摂津和泉が、雑賀衆の攻撃によって陥落、三好家は敗走して国を失いました。 これにより雑賀衆は、紀伊半島南部 を完全に支配した勢力となりました。 今川家による「お家再興戦」が駿府城であったが、武田家によって防がれました。 北条家による「お家再興戦」が小田原城であったが、上杉家によって防がれました。 ・・・時は流れ・・・ 再び徳川家による「お家再興戦」が岡崎城であったが、織田家によって防がれました。 勢力を盛り返した武田家が信濃地方に進攻を開始、ついに斎藤軍を駆逐して信濃の奪還を果たしました。 しかし、その隙を突いた今川家による「お家再興戦」が駿府城でおこなわれ、今川家がお家再興を果たしました。 ・・・時は流れ・・・ 武田・上杉同盟軍の猛攻を受けていた今川家は、上杉家の奇策により壊滅、今川家は敗走して再び国を失いました。 が、その裏では北条家による「お家再興戦」が小田原城でおこなわれ、北条家がお家再興を果たしました。 3度目の徳川家による「お家再興戦」が岡崎城でおこなわれ、徳川家がお家再興を果たしました。 ・・・時は流れ・・・ 三好家による「お家再興戦」が大阪城であったが、雑賀衆によって防がれました。 北条家が上杉家により四方から攻めたてられ、相模から敗走して国を失いました。 ・・・時は流れ・・・ 三好家による2度目の「お家再興戦」が大阪城であったが、雑賀衆によって防がれました。 −+−現在の同盟関係−+− 上杉家-足利家-本願寺家(三国同盟) しかし、本願寺家、足利家は、本国の国力が乏しく国の防衛が難しくなりつつある。 武田家-徳川家-浅井家(三国同盟) 織田家は、斎藤家・雑賀衆 斎藤家は、織田家・朝倉家・(今川家) 朝倉家は、斎藤家・(北条家)・(三好家) 伊賀忍は、雑賀衆 雑賀衆は、織田家・伊賀忍 -- 15xx年4月  - 春日山城 広場 - 「あいや待たれよーー;  武田家には南進当時に助けられたので義理があるのじゃーー;  それに交通の要所である信濃は武田家領有である、故に敵対すると物流が悪くなり我が国の損失じゃーー;」 「何を甘ったれたことを申されるーー#  当方には合戦で武勲を挙げられずに昇進できない者達が大勢いるのだぞーー#  八方塞の現状を打開するには開戦しかあるまいーー#」 「しかし、武田家には当家を攻めようとする意思は感じられずむしろ友好的であるのじゃーー;  無理して敵を作らなくても良いのではないかなーー;」 「ふん、腑抜けめーー#  戦国の世に平和を求めてどうするのだ!戦だ!戦だ!ーー#」 「情勢を見抜けぬ青二才が何を申すかーー;  仮に武田家と敵対すると本国決戦になって領地を失う可能性が高いのじゃぞーー;  武田家は美濃の蝮と日々戦を繰り返しており、戦上手が多く、平和呆けした当家では敗戦必至じゃーー;」 「うぬぬーー#  では、どうしろというのだーー#」 「何もいきなり強国武田を相手にすることも無いじゃろうてーー;  まずは本願寺家を切り崩し西進して合戦慣れしてから武田家とあたってはどうじゃろうかーー;」 「武田家とは数ヶ月も前に同盟が切れておるのだぞーー#  三国同盟を破棄してまで本願寺家に攻め入る理由がわからんーー#」 上杉家内には大きく分けて2つの勢力が存在している。 南進時に活躍したいわゆる古参を中心とした親武田派と 現在の平和な国へと変貌してから仕官した新参を中心とした反武田派である。 敵対国について幾度となく議論されてきたが、平行線をたどる一方である。  - 上野 桜林 - 「はぁ〜ーー」 桜が舞い散る木の下で、その散り行く花びらを見つめながら私は独り溜め息を吐いていた。 「ここはなんて長閑なのでしょう^^」 私の言う"ここ"とは、桜林のある小高い丘のことで、少し離れたところにはお城が見えている。 また、辺りには俳句を興じる人々が多数集まり、平安の世のような雰囲気を醸し出している。 私は桜の木を背もたれ代わりに腰をおろし、膝の上には読みかけの小冊子が風に揺らいでいる。 「朝薫、ここに居ましたか^^」 どこか唄うような感じのする男の声が、寄りかかった木の後から聞こえた。 私は一瞬戸惑ったが、何事も無かったかの様に静かに目を閉じた。 男は静かに歩み寄り、私の隣に腰をおろした。  鏡みて 桜散りぬる 春の雨  <将星上杉親睦会主催句会<風雅で賞>受賞作品より> どのくらいの時が流れたのだろうか、私は男に気付かれぬよう細心の注意を払いながら薄らと目を明けた。 桜花の合間から差し込む日差しに眩しさを感じる。 しばらくして目が慣れると隣の男を横目に見た。 「!><」 視線が重なってしまい、私は再び戸惑ってしまう。 「維はずるい、私が寝てないって知ってたのね><」 私は男に向かって不満を口にした。 男は笑みを浮かべ、また唄うように話し掛けてくる。 「^^朝薫、また斎女様との約束を破りましたね^^;」 私は駄々を捏ねるように呟いた。 「だってこんなに天気が良いんだよ、お仕事なんてしたくないよ><」 男はそっと私の髪に手を触れると、言聞かせるような口調で語り掛けてきた。 「あなた自身が選んだ道なのでしょう^^?  誰もあなたにその道へ進むように強制した者は居ない筈ですよ^^」 私はうつむいたまま小さく頷いた。 男は続ける。 「私も一緒に行きましょう^^  それなら戻ってくれますね^^」 私は顔をあげて男の顔を見詰めた。 暖かな午後の日差しが降り注ぎ、遠くからは鶯の声が微かに聞こえていた。  - 春日山 神社 - 私の名は朝薫、性は諸葛と申しますm(__)m 越後の春日山神社に住んでいます。 なぜ神社になんか住んでるのかって? それは住み込みで見習い巫女をやってるからです。 一応この日の本の国には決まりごとみたいなものがあって、必ず何かしらの職業に就くことが義務付けられています。 その職には幾つか選べるものがあって侍、忍者、鍛冶屋、僧侶、薬師、陰陽師、そして神職が選択できます。 ちなみに代々受け継がれる職業というものもあって、例えば農家は就きたくて就ける職業ではありません。 そしてその選択した職業を生涯を賭して極めていくことになります。 途中での転職は認められておらず、一度選択した職業で自分の将来がほぼ決まってしまうのです。 また、仕官先を変えても職業が変わることはありません。 戦国の世で巫女をやるって結構大変です。 だって神々の強大な力を現世に具現化する力を持つ神職は、合戦の場では大きな戦力になりますからね。 だから皆幼き頃から修行に明け暮れるのです。 私も今は本殿斎女様の元で神職の仕事をお手伝いしています。まだまだ非力ですが(>_<;) 本殿斎女とは神職の寄合長を勤めている方で、武家の依頼管理や俸禄管理を一手に担っています。 あっ大事なことを言い忘れていました。 私のいる春日山は上杉謙信様が統治している土地なので、私は上杉家の者ということになります。 「朝薫、そろそろ斎女様のところへ行きましょうか^^?」 どこか唄うような感じのするその男の声は、私の背後からかけられた。 「維、あなたはどおしていつも突然声を掛けてくるの><?」 今話し掛けてきたこの男、名は維、性は姜、私の教育係です。 小さい頃からずっと一緒にいるので、兄弟みたいな感じかな? 維は微笑みながら私を見ている。 「まぁいいわ、今に始まったことじゃないしね^^  斎女様のところへ行きましょ^^」 私は維と共に境内の廊下を歩き始めた。 本殿の一番奥には神器が置かれている。 その前にいかにも身分の高そうな女性が立っている。 この女性が本殿斎女様です。 私と維は、斎女様の前まで歩み寄ると静かに一礼をした。 するとそれを待っていたのか、透き通るような声で唄うように語り掛けてきた。 「姜さんお疲れさまでした^^  大変だったでしょう^^」 維も唄うような声で返事を返す、 「いえ、朝薫は私の妹のようなもの^^  こちらこそご迷惑をお掛けして申し訳ないです><」 斎女様は笑みを湛えたまま私に向き直って言った。 「諸葛さんお待ちしていました^^  今日はあなたに上杉家からの伝言があります^^」 私は仕事をサボったことを怒られるとばかり思っていたので拍子抜けしてしまった。 なんとも情けない顔になってしまっただろが、そんなことにはお構いなしに斎女様は続けた。 「実は上杉家から試験の話が来ていましてね^^  諸葛さんにどの程度の力量があるのか、試験をおこないたいそうなのです^^」 「わ、私が試験ですか><?」 突然の話に頭の中が真っ白になる。 「はい、そこでですね^^  最近案内役という役職に就いた方がいますので、その方を訪ねてください^^」 「案内役ですか><;」 混乱しながらも必至に言われていることを理解しようとした。 「案内役の方が、試験をおこなうそうなので指示に従ってくださいね^^」 不意に肩に手を置かれ、そちらに顔を向けると維が微笑みながら言った。 「がんばれ、朝薫^^」  - 春日山 両替前 - ここは春日山でも一番賑やかな所、ここには上杉の者達だけでなく各国から人が集まってくる。 売り子をしてる者もいれば、それを買い求める者もいる。 私は人込みを掻き分けるようにして進みながら案内役を探していた。 ドン、突然誰かにぶつかられて尻餅をついてしまった。 「痛〜い><」 お尻を擦りながら立ち上がろうとすると、かなり慌てた様子の男が声を掛けてきた。 「こいつはうっかりだ><  ご免よ、お嬢ちゃん^^;  大丈夫かい^^?」 「あ、はい、大丈夫です^^」 服に付いた埃を払いながらそう答えると、男は既にその場にいなかった。 「あれ〜><;」 かなり慌てていたんだなと思いながら再び案内役を探し始めた。 半刻ほど過ぎた頃に案内役は見つかった。 いや、見つかったってよりは、見つけてもらったといった方が正しいのかも? だって向こうから話し掛けてきたんだもん。 「あんたが諸葛さんだな^^  話は聞いているよ^^」 人込みの中を進んでいたら突然前方から声が聞こえた。 「こっちへ来てくんな^^  もうちょい先行ったところに開けたところがあっからそっちへ^^」 言われるがままに先へ進むと確かに開けたところへ出る事ができた。 「あの〜ーー;」 恐る恐る声を掛けると男は振り返って言った。 「上杉家から案内役を申し付けられたもんだーー  早速だがあんたの力量を試させてもらうよーー」 「あ、はい、よろしくお願いします><;」 返事を待つのももどかしいのか、私が言い終える前に話し始めた。 「あんたの住んでる神社に最近賊が紛れ込んだとの情報が入ったーー  そこで紛れ込んだ賊を見つけ出し、成敗してきてもらいたいーー  賊は単独行動しているそうだから容易く成敗できるだろうなーー」 一気に捲し立てられて、当惑していると 「成敗し終えたらここに報告に来てくれーー  何か聞いて置きたい事はあるかーー?  無ければ早々に向かってくれーー」 半ば強制的に話を打ち切られ、案内役は人込みの中へと消えていった。 一体何なの云うだけ言って消えちゃったよ。 少し怒りながらも、自分の住んでいるところに賊が紛れ込んでいると聞いては黙っていられない。 急いで神社へ向かった。  - 春日山 神社 - 「そうですか^^  それは大変な事態になりましたね^^  諸葛さん頑張ってくださいね^^」 この透き通るような声で唄うように話をするのはご存知本殿斎女様。 「頑張ってくださいって、賊が紛れ込んでいるんですよ><  そんな気楽に構えていて良いんですか><?」 必至に訴える私を宥めるように斎女様は言った。 「それが諸葛さんの試験なんですよね^^?  案内役も解決できないような無理難題は頼まないと思いますよ^^」 ぐっ確かにその通りだ、試験なんだから自分で解決しなきゃ。 「わかりました、何とか解決してみますーー;」 渋々ながらもその場を立ち去ろうとしたときに、再び斎女様から声を掛けられた。 「あ、そうそう諸葛さんへ姜さんから伝言を頼まれていました^^」 「維から伝言ーー?」 疑問を感じつつ振り替えると斎女様は続けた。 「しばらく留守にするけど試験頑張ってね*^^*だそうですすよ^^  ちなみに姜さんは足利家からの援軍要請で天王山へ出かけて行きました><;  本来なら戦には行かせたくないんですけどね、これも寄合のお仕事ですので;;」 斎女様は涙目でそう言って目を伏せた。 斎女様って本当に戦嫌いなんだなって思う、戦の話になると必ず悲しい顔するからね。 過去に何かあったのかな? 「もみじさん、ありがとう^^」 私はそう言って巫女の衣装を身に纏った女性に手を振った。 「諸葛さん、お気を付けて^^」 今話を聞いたのはもみじさんっていって、この神社で見習い巫女をしている方です。 つまり私の先輩で、主なお仕事は神社で扱っている商品の売り子さんです。 もみじさんの話だと本殿の裏手に最近巫女の衣装を身に纏った不信な人がいるときがあるとの事。 早速私は本殿の裏手に向かうことにした。 本殿の裏手に回ると確かに不信な巫女が一人何かをしている。 私が恐る恐る近づいて行くと黒い物体が不信な巫女の方から私の前をかすめて飛び去っていった。 ん、カラス? いつの間に近付いてきたのか、不信な巫女が目の前にいて話し掛けてきた。 「あら、可愛らしいお嬢さん、こんなところに何か用でも^^?」 えっこの神社にいて私の事を知らないなんておかしい。 「え、別に散歩してるだけですよ^^  あなた見かけない顔ですね^^;  新人さんですか^^?」 不信な巫女は平然と返事を返してくる。 「ええ、今日からお世話になることになりました^^  よろしくお願いしますね^^」 今日から世話になるって、そんなこと一言も斎女様言ってなかったな。 「先程は何をされてたんですか^^?  カラスがいたような気がしたのですが^^;」 不信な巫女の顔色が変わった。 「ちっうるさい小娘だねーー  さっさと何処かへお行きーー」 なんなのこの態度、頭にくるな。 「私はこの神社に住んでいる諸葛朝薫といいます^^  あなたの名前を教えて下さい^^」 不信な巫女は声を荒げて怒鳴りつけてきた。 「この神社の小娘か、厄介なやつに見られたものだなーー  ここで死んでもらうよーー」 そういうと不信な巫女はいきなり襲いかかってきた。 「ちょっと、いきなりなんなの><?  あなたが噂の賊だったのね><;」 不信な巫女は懐から小刀を抜き放ち切りかかってくる。 私は間一髪のところでその一撃をかわすと神に祈りを奉げた。 「私達に神のご加護がありますように・・・ーー」 体に光が集まり全身を覆っていく、俗に言う結界ってやつね。 不信な巫女は私の体を袈裟切りにした。 体に鈍い痛みが走ったが、瞬間光が不信な巫女を弾き飛ばした。 「な、何をした><」 不信な巫女が叫ぶ。 パン、私は不審な巫女の顔を平手で叩いた。 「む、無念;;」 不審な巫女はうめくように呟きながらその場に崩れ落ちた。  - 春日山 両替前 - 相変わらず賑やかなところで、以前にも増して人が多い気がする。 私は人込みを掻き分けるようにして進みながら案内役を探していた。 ドン、突然誰かにぶつかられて尻餅をついてしまった。 「痛〜い><」 お尻を擦りながら立ち上がろうとすると、かなり慌てた様子の男が声を掛けてきた。 「こいつはうっかりだ><  ご免よ、お嬢ちゃん^^;  大丈夫かい^^?」 「あ、はい、大丈夫です^^?」 あれあれ?なんか同じようなことが、前にもあった気がする。 服に付いた埃を払いながらそんなことを考えていると、先程の男が顔色を変えて話し掛けてきた。 「お嬢ちゃん、この間ここでおじさんとぶつかった子だよね@@;」 どうなの?どうなの?と顔を近づけてくる。 「あ、はい><;」 あまり顔を近づけないで!と心の中で叫びながら答えた。 するとさらに顔を近づけて話し掛けてくる。 「ぶつかった後に何か拾わなかったかい@@?  小冊子なんだけどさ、拾わなかったかい@@?」 「い、いえ、何も拾いませんでしたけど><;」 私がそう答えると男はさも残念そうな顔になった。 「小冊子を落としてしまったんですかーー?」 恐る恐る私がそう尋ねると、 「この間お嬢ちゃんとぶつかった日にうっかり小冊子を落としてしまったんだよ;;」 男は今にも泣き出しそうな顔でそう言った。 「そんなに大事なものだったんですかーー?」 「まぁ、これも私のうっかりが招いたことだから仕方が無い;;  もし、もし小冊子を見かけたら、見かけたらで良いんで届けてもらえるかな;;」 男は半泣き状態でそう言った。 私は、拾ったら届に来ます。とだけ伝えてその場を後にした。 人込みを掻き分けながら、以前案内役と話をした場所まで来た。 すると案内役が人込みの中から出て来た。 「どおやら成敗できたようだなーー  斎女が勧めるだけのことはあるーー」 独り言のようにぶつぶつとそんなことを言っている。 「あの〜ーー;」 恐る恐る声を掛けると男は向き直って言った。 「見事であったーー  これからも上杉の為に力を尽くしてもらいたいーー」 「あ、はい^^」 私が返事をし終えるのを待って、案内役はさらに話し掛けてきた。 「実はな、わしは上杉の者ではないのだーー」 え、この人は一体何を言っているの? 私がぽかんとしていると、案内役は少し声を強めて話し掛けてきた。 「わしは上杉家宿老の宇佐美殿に許可を頂いて追跡者狩りをしている者だーー」 「追跡者狩りですか@@?」 何を言っているのかわからずにおうむがえしに聞き返すと 「そうだ、わしは巷で隠れ里と呼ばれている土地より参った者だーー  我が里ではこの国に巣食う魑魅魍魎の類を先祖代々封印してきたのだが、最近になって何者かにこの封印を破られてしまったのだ><  一族の者は皆各地の豪族へ事態の収拾に協力してもらえるよう使者に発ったーー  豪族達は我らを案内役という形で密かに事態収拾に協力してくれることになったのだーー」 一気に捲し立てられて、当惑していると 「とりあえず、貴殿の力量は見させてもらったーー  また力になってもらいたい><  時が来たらまたこちらから声を掛けるので、その時はよろしく頼むーー  それからこのことは他言無用に願いたい、特に町人達には・・・」 一通り話し終えると案内役は人込みの中へと消えていった。  - 春日山 神社 - 「試験合格おめでとうございます^^  諸葛さんもその話を聞くことができたんですね^^」 斎女様は透き通るような声で唄うように言った。 「斎女様は既にご存知だったんですねーー;」 「私は大殿様から伺っていました^^  事態は刻々と変わっていくことでしょう^^  諸葛さんも臨機応変に対応お願いしますね^^」 ここで斎女様が言った大殿とは、上杉家当主上杉謙信様のことです。 「はいーー;」 私は斎女様への報告を終えると本殿を後にした。 数日後、私は斎女様に呼ばれて本殿に行った。 私は、斎女様の前まで歩み寄ると静かに一礼をした。 するとそれを待っていたのか、透き通るような声で唄うように語り掛けてきた。 つまりはいつものようにってことね。 「諸葛さんお待ちしていました^^  実は諸葛さんに正式な仕官の話が来てるんですよ^^」 「わぁ、ついに正式な上杉家の一員になれるんですね^^」 内心すごく嬉しかった。 やっと上杉家の一員になれるんだって、今まではただの神社の見習い巫女だったからね。 私が心躍らせていると、斎女様は話しを続けた。 「でもですね、簡単には仕官を認めていただけないんですよ^^;」 え、どうゆうこと? 私が驚きを隠せないでいると、斎女様は続けて言った。 「諸葛さんには2つの試験を受けていただきます^^」 「ま、また試験ですか><;」 私の脳裏には数日前の出来事がよぎっていた。 「あれれ、試験お嫌なんですか^^?  でも受けないと駄目なんですよ^^」 斎女様は笑顔でそう言った。 「では、試験の説明をしますね^^  まず1つ目は、最近春日山近郊で大量発生している鼠、蛇、蝙蝠を退治してきてください^^  でも全部やっつけるのは無理だと思うので〜^^  ねずみのしっぽ、蛇の皮、こうもりの羽をそれぞれ8つづつ持ってきてください^^」 「8つづつですね、頑張ります><;」 なんだ、結構楽そうじゃない。 「2つ目は、以前試験を受けた案内役に聞いてください^^  なにやらまた動きがあったようですよ^^  2つの課題を乗り越えられたら足軽として仕官できます^^  頑張ってくださいね^^」 うわ、隠れ里絡みの依頼まであるのか、結構大変そうかも? 「わかりました、早速行ってきます^^;」 私は挨拶も早々に本殿を後にした。  - 春日山 道場前 - 「痛たた><;」 春日山にある道場の前を通りかかったときに角の方から声が聞こえた。 なんだろう?と私は声の方へ行ってみると、老兵が腰を抑えてうずくまっている。 「大丈夫ですか^^;」 私がそう声をかけると老兵はとても辛そうな顔をしながら言った。 「実は今、急ぎの用があって城へ向かっていたのじゃが、どうにも腰がいうこと利かなくてのう><  少し休めば動けるようになると思うのじゃが、急ぎの用でな><  できればわしの代わりにおぬしに行ってもらいたいのじゃが、頼まれてはくれぬか><?」 ええ、いきなりお遣いですか? まあこっちは急いでるわけじゃないからいいけどね。 「私でよければ^^;」 と言うと、老人は目を潤ませながら 「おお、ありがたい^^;  実はな、これを今すぐに城内にいる目利きに届けてもらいたいのじゃ^^;」 老兵が差し出してきたのは小奇麗な小弓であった。 「わぁ、綺麗な弓^^」 「必ず届けてくだされ><;」 老兵から小奇麗な小弓を受け取った。 「早速届けてきますね^^  ここで少し待っててください^^」 そう言うと、私は小走りにお城へと向かった。  - 春日山城 - わぁ、お城って始めて来た。 城門をくぐろうとすると門衛が声を掛けてきた。 「お嬢さん、ここから先は春日山城ですよ^^  お城に何か御用ですか^^?」 「あ、はい、実は・・・」 私は門衛に老兵の事を話した。 「なるほど六助さんの使いで来られたのですね^^  目利きは、少し先の広場にいつもいるので行ってみるといい^^」 と門衛は教えてくれた。 私は軽くお辞儀をして先を急いだ。 門衛に教えられた通り、少し進むと広場に出た。 目利きはどの人かな?キョロキョロ辺りを見回していると声を掛けられた。 「お嬢、城内で何をキョロキョロしているのだーー  ここは遊び場では無いぞーー」 ちょっと高官そうな人だ。 先程門衛に話したことを説明すると 「そうかそうか、六助の使いで参ったのか^^  目利きとはあそこにいる者のことだ^^」 と教えてくれた。 余談ですが、この教えてくれた人は、目付ってお役目だそうですよ。 私は早速目利きの方に用件を伝え、用事を済ませた。  - 春日山 道場前 - 老兵は道端に腰をおろしている。 「六助さんお待たせしました^^」 私が駆け寄ると、老兵は立ち上がって答えた。 「おお、どうでござったか^^?  目利き殿は受けとってくだされたか^^?」 私は城での出来事を一部始終話して聞かせた。 「そうであったか、ありがとうでござる^^  そうじゃな、何かお礼をせねばーー」 老兵はしばらく考え込んだ後、閃いたように言った。 「そうじゃそうじゃ、これをお嬢さんにあげよう^^  わしが長年かけて書き上げた兵法書じゃ^^」 老兵は冊子を手渡してきた。 「ええ、そんな悪いですよ、お礼なんていりません><」 冊子を返そうとすると、老兵は言った。 「お嬢さんもいずれは戦場へと足を運ぶことになるじゃろうてーー  そのときに少しでも役立ててもらえれば、わしも書き上げたかいがあるというものじゃ^^」 そう言って半ば強引に冊子を押し付けてきた。 私は断るのも悪い気がしたので、受け取ることにした。 「ありがとう、六助さん^^」 「遠慮は無用じゃて^^」 老兵はそういい残して立ち去っていった。  - 春日山 商店街 - ここは両替商から続く道で雑貨屋から貴石屋までいろいろな店が軒を連ねている。 私は斎女様から言われた第一試験の狩りに出かけるために先を急いでいた。 すると通りまで聞こえるような笑い声が聞こえてきた。 通行人から売り子まで笑い声の聞こえる家を見ている。 私は近くにいた売り子の人に何があったのか訊ねた。 「あの〜一体何があったのですかーー?」 「あそこの家の店主はしっかり者なんだけどねーー  何日か前に出先から戻って以来、時々ああやって大笑いするようになっちまったのさーー;」 と教えてくれた。 一体どうしたというのだろう。 少し気になりはしたが、狩りへ出かけることにした。  - 越後 春日山近郊 - うわ、鼠や蛇がウジャウジャいる。 町から一歩外へ出ると、鼠が群れをなして走り回っている。 確かに斎女様が言うように大量発生している。 早速試験開始といきますか! 私は気合を入れて狩りを開始した。 どのくらいの間狩りをしていたのだろう。 小刀も服もボロボロ、もう使い物にならないぐらい。 疲れ果てた頃にやっと予定の数を全て揃えた。 狩りをしていて気が付いたのだが、辺りには私と同年齢ぐらいの子達が同じように狩りをしていた。 きっと皆同じ依頼を受けて来てるんだと思う。 一心不乱に狩りを続ける姿は、余裕というものが感じられない。 私も周りからはそんな目で見られているのだろう。 なんて考えながらしばらく休んだ後、町へと戻った。  - 春日山 商店街 - 「ぶわっはっはっ」 突然道路脇にいた男が笑い出した。 驚いてそちらを振り返ると、男は腹を抑えて笑い転げている。 「あの〜何がそんなに可笑しいんですかーー;」 私がそう尋ねると、男は小冊子を見せて言った。 「先日この小冊子を両替前で拾ってね・・・ぶわっはっはっ^^」 なんか失礼な人だな。?ひょっとしてその小冊子はあのときの。 「すみません、その小冊子の落とし主に心当たりがあるんですがーー;」 「なに?この小冊子を落としたやつの知り合いかい・・・ぶわっはっはっ^^」 この人、笑うか喋るかどっちかにしてもらいたい。 なんて考えていると 「ごめんよ、お嬢ちゃん、この小冊子の内容があまりにも面白かったもので^^  落とし主を知ってるなら届けてやってくれないかな^^?」 私は別に良いけど、みたいな感じで了承すると男は言った。 「お嬢ちゃんは中見ない方がいいよ^^  可笑しくて可笑しくて笑いが止まらなくなっちゃ・・・ぶわっはっはっ^^」 もう後は会話にならなかった。 私は男から小冊子を受け取ると今来た道を戻り始めた。  - 春日山 両替前 - う〜ん、あの人は何処にいるんだろう。 住んでる場所聞いとけば良かったな、まだこの辺りにいると良いんだけど。 ドン、突然誰かにぶつかられて尻餅をついてしまった。 「痛〜い><」 お尻を擦りながら立ち上がろうとすると、かなり慌てた様子の男が声を掛けてきた。 「こいつはうっかりだ><  ご免よ、お嬢ちゃん^^;  大丈夫かい^^?」 「あ、はい、大丈夫です^^?」 ん!? 「いた〜〜〜〜〜@@;」 あまりに大きな声で叫んでしまったのだろう。 周りの人達が何事かとこちらを見ている。 ぶつかってきた男は叫んでしまった私に対して狼狽しているようだ。 「あ、すみません><  なんでもないんです、ごめんなさいm(__)m」 私は慌てて周りの人達に向かって取り繕った。 男はなおも狼狽しているようだったが、周りの人達は何事も無かったかの様に動き始めた。 「大声出してしまってごめんなさい><  でもやっと見つけました^^」 男も私の事を思い出したのか、次第に落ち着きを取り戻しつつあるようだ。 「あなたの落とした小冊子ってこれのことですよね^^?」 私は笑い男から、いや、しっかりものの店主から受け取った小冊子を差し出した。 「うは、お嬢ちゃん見つけてくれたのかい^^  ありがとよ^^」 なんて言いながらしきりに頭をさげてくる。 「お礼なんて良いですよ、頭をあげてください^^  私とぶつかったせいで落としてしまったのですから私にも責任があります><」 「いやいや、あっしがうっかりしていたせいで落としてしまったんだ><  それに見つけてもらって本当になんて言って良いやら><;」 男はペコペコと頭をさげ続けた。 私が困り果てていると、男は突然何かを思い付いたらしく大声を出した。 「あ〜〜〜〜〜^^」 先程私が叫んだときと同様に、周りの人達が動きを止めてこちらを見る。 今度は男が先程の私と同じように周りの人達に向かって取り繕っていた。 「どうかされたんですかーー?」 一通り落ち着いたところで私は男に声をかけてみた。 「いえね、先程あっし手拭いを買ったんだよ^^  そいでね、この手拭いをお嬢さんにお礼としてあげようって思い付いたんだな^^」 男は嬉しそうにそう話した。 「お礼なんて良いですよ><;」 男は続けた。 「手拭いは結構役に立つんだぞ^^  一度も使ってねえから綺麗だしな、遠慮はいらねえ^^」 半ば強引に男は手拭いを押し付けてきた。 私は無下にするのも悪いだろうと受け取ることにした。 私はお礼を言ってその場を立ち去ったんだけど、男は私が見えなくなるまでペコペコ頭をさげ続けていた。 それにしても小冊子の中には何が書いてあったのかな? しっかりもので評判の店主が笑い転げる内容っていったいなんだったんだろう。 いろいろ疑問も残ったが、良い事したなって充実感だけで満足できた。  - 春日山 神社 - 「おめでとうございます^^  一つ目の試験達成ですね^^」 この透き通るような声で唄うように話をするのはご存知本殿斎女様。 「後は2つ目の課題です^^  頑張ってくださいね^^」 斎女様とそんな会話をしていると 「酷い格好になってしまいましたね^^;」 本殿の入口の方から聞き慣れた声が聞こえた。 私が振り返るとその声の主は近付いてきた。 「朝薫、ただいま^^」 「おかえりなさ〜い^^  維も酷い格好だね^^;」 声の主、維の服もボロボロだった。 「あはは、確かにね^^  酷い戦いだったからーー」 そんな会話をしていると、斎女様が声を掛けてきた。 「姜さん、おかえりなさい、お疲れさまでした^^  戦況の方は既に伺っています、大変でしたねーー  でも無事に戻られてなによりです^^」 斎女様は心底嬉しそうに話した。 「残念な結果に終わってしまいましたが、将軍様は無事ですので^^  ですが今回はなんとか雑賀衆を引き上げさせましたが、すぐに勢いを盛り返してきましょう><」 維がそう答えると、斎女様は寂しそうな顔をして言った。 「そうですね;;  また援軍要請が来ると思います;;」 その後の斎女様は何処かうわのそらで、普段の華やかさが隠れてしまった。 維と私は早々にその場を後にした。 「実は朝薫にお土産があるのですよ^^」 維は本殿から出たところでそう言って話し掛けてきた。 「お土産^^?」 私が振り返ると、維は持っていた袋の中をゴソゴソし始めた。 袋の中から取り出されたのは、真新しい服と腰当、帽子だった。 「わ〜ありがとう^^」 嬉しさのあまり飛び跳ねて喜んだ。 だって本当に嬉しかったんだもん。 維も満足げに微笑みながら、腰からあいくちを取り出し持っていた服の上に置いた。 「このあいくちは、まだ使いこなせないでしょう^^;  でも近々扱えるようになると見越して予め渡しておきますね^^」 維はそう言って、私にそれらの物を渡してくれた。 「ありがとう^^」 私はお礼もそこそこに、すぐにでも着替えたかったので自分の部屋へと移動した。 「朝薫、着替えたら私のところへ来てください^^」 立ち去ろうとする私の背後から維の声が聞こえた。  - 春日山 風立 - ここは春日山17丁目、通称風立ちと呼ばれるところである。 維の住んでいる長屋があるのだ。 私は維の家の前まで来ると声を掛けた。 「維、来たよ^^」 すると中から声が聞こえた。 「朝薫、入って来てください^^」 「お邪魔しま〜す^^」 私はここへ来るといつも不思議な感覚にさせられる。 長屋の一室であるためそれほど広くないのだが、中は長屋とは思えない華やかさがあるのだ。 入口を入ると両側の壁には桜の掛け軸が所狭しと掛けられている。 また、床には畳が敷き詰められていて、桜柄の照明が飾られている。 とても華やかな一室ではあるが、生活感が感じられない。 言わば、長屋には似つかわしくない一室なのである。 維曰く、倉庫として使っているだけなのでこれでいいのだそうだ。 実際維は神社で寝起きしているので、滅多にここに来ることは無いそうなののだが。 「よく来てくれましたね^^」 維は入口で出迎えてくれた。 導かれるままに奥の座布団に腰を落ち着けると、対面に維は座った。 「第一の試験はどんな感じでしたか^^?」 維は人心地ついたところで話し掛けてきた。 「郊外の荒れ様といったら街中とは比べ物にならないくらいでした><」 私は感じたことをそのまま維へ伝えた。 「そうですねーー  これでも街の近くは平和な方なのですよーー  実際、離れれば離れるだけ荒廃は酷くなっていきますーー」 なんて感じの話をしばらく続けていると入口の外から男の声が聞こえた。 「御免、きょういさんは居られるかなーー?」 維に導かれて入ってきたのは、黒い鎧に身を包んだ侍だった。 「朝薫、紹介しましょう^^  この方は、私が所属している組の党首と勤められている佐々木藤丸殿だ^^」 維に紹介された侍は、一歩進み出てお辞儀をした。 「あなたが諸葛さんだね^^  話は伺っているよ^^」 挨拶を済ませると、佐々木さんは維に導かれて上座へと腰をおろした。 三人とも座った時点で維が話し始めた。 「第二の試験ですが・・・」 えっ第二の試験? 話の内容を簡単に言うと以下のような感じ。 案内役から斎女様へ急な依頼が来たそうだ。 試験用にと用意していた課題が、急を要する事態へと変ってしまった。 課題としては最初に依頼した内容と同様な試験を考えていたそうなのだが、 相手はこちらの動きを察知したらしく徒党を組んで行動するようになってしまったらしい。 また、その不信な輩は最近情報をやり取りする頻度が増えてきたのだという。 要するに情報が頻繁に盗まれてしまうのは困るので、早々に成敗してほしいとのことだ。 その話を斎女様が維に話したので、維は気を利かせて協力してくれる仲間を用意してくれたのだ。 「できることなら私が一緒に行きたいところなのだがーー  一緒に行っても朝薫を守ってあげることができない><;  佐々木さんなら本職なので安心して任せられます^^」 と、維は言った。 また、維はこうも言った。 「私が狩や合戦に行くときも佐々木さんが守ってくれているのですよ^^」 その言葉を聞いて私は納得した。  - 春日山城 - 維の話だと、城内の侍所付近に不信な輩が集まる場所があるらしい。 私は佐々木さんと共に侍所へ訪れていた。 「ここは侍の寄合所なのですよ^^  外で少し待っていてもらえるかな^^?」 と言い残して佐々木さんは侍所へ入っていった。 しばらくすると佐々木さんは出て来て言った。 「侍所の左手奥の茂み辺りで、たまに人の気配がするらいしいですね^^  そこへ行ってみましょうか^^」 「はい^^  よろしくお願いします^^」 私の返事を聞くと佐々木さんはこちらだと案内してくれた。 確かに茂みの辺りに何かが居る気配がある。 静に茂みの近くまで歩み寄ると黒い物体が茂みの中から私の前をかすめて飛び出してきた。 ん!カラス? いつの間に現れたのか、不信な輩が目の前にいて話し掛けてきた。 「おいお前、こんなところで何をしているーー」 何をしているって、あなた達こそ何してるのよ?なんて考えていると 「お前達こそ何をしているんだーー」 佐々木さんが私の前に歩み出ながら言った。 「ちっ連れがいるのかーー;  俺達はただ雑談してるだけだよーー;」 不信な輩は答えた。 「ほうそうかい、じゃあこのカラスの足に括り付けられている物は何かな^^?」 そう言って佐々木さんはカラスを逆さ吊に突き出した。 「くっやっちまえーー#」 そういうと不信な輩は各々武器をとって襲いかかってきた。 しかし、一瞬で勝負は決まった。 佐々木さんは相手の攻撃をかわすと同時に的確に切り付けていったのだ。 「お見事です^^」 私は思わず口にしてしまった。 佐々木さんは笑みを浮かべて刀を鞘へ収めた。  - 春日山 風立 - 「お帰りなさい^^」 帰ってきた私達を維は笑顔で出迎えてくれた。 「その様子だと無事に成敗できたようですね^^  服も汚さずにすみましたね^^」 維は笑顔のままで中へと導いてくれた。 ん?誰かいる。 中へ入ると案内役がお辞儀をして言った。 「ありがとうございましたーー  これで情報の漏洩は防げましたーー  第二の試験、これにて合格ですーー  おめでとうございますーー」 合格!? 「ちょ、ちょっと待ってくださいーー」 「何かありましたかーー?」 案内役が聞き返してくる。 「あの、私今回何もやってないんですけど><;」 そうなの、今回私はついて行っただけで何もしていない。 武器すら手に持っていない。 しばらく沈黙が続いて・・・案内役が口を開いた。 「今回の試験で試したかったことは一つですーー  あなたに協力者が現れるかどうか、それが真の課題でしたーー  そして見事、二人の方が協力してくれましたーー」 そう言って案内役は視線で佐々木さんと維を指し示した。 「これから先、一人では乗り越えられない壁に幾度もぶつかることでしょうーー  そのときに協力してくれる仲間がいれば大きな力になりますーー  この試験ではその力が手に入るか入らないかを見極めたかったのですーー」 と案内役は続けた。 私が黙って話を聞いていると 「おめでとう^^」 「おめでとうございます^^」 と、佐々木さんと維が祝福してくれた。  - 春日山 神社 - 「おめでとうございます^^  二つ目の試験も達成ですね^^」 この透き通るような声で唄うように話をするのはご存知本殿斎女様。 「ありがとうございます^^」 私がそう答えると、斎女様は続けた。 「これから足軽として上杉家に仕官することになります^^  上杉家のためにも諸葛さん自身のためにも頑張ってくださいね^^」 斎女様はいつもと変わらぬ様子でそう言って微笑んだ。  - 越後 春日山近郊 - あれから幾日が経過しただろうか? 足軽になった私の仕事は盗人成敗、春日山近郊に出没する盗人の取り締まりです。 慣れるまでは大変だったけど、今では流れ作業のようにこなせています。 維や佐々木さんはほとんど休む間も無く何度も天王山へと出かけています。 そんなある日、いつものように盗人を取り締まっていると 「諸葛さ〜んーー;  諸葛さん〜ーー;」 町の方から私の名を呼びながら走ってくる人が・・・あっもみじさんだ。 お互いが駆け寄ると彼女は息を切らせながら言った。 「諸葛さん、大変です><;  急いで本殿へ戻ってください><;」 「どうかされたんですかーー?」 なんて聞き返すと、彼女は続けて言った。 「姜さんが大怪我されて、本殿へ運び込まれています><;  姜さんだけじゃなくたくさんの人達が・・・町は大変なことになっています><;」 「えっ維が大怪我@@;」 私は大急ぎで神社への道を走った。 途中の町中はかなり騒然としていた。 傷付き倒れた人達が、次々と運び込まれていた。  - 春日山 神社 - 神社の敷地へ入ると大勢の神職が、傷の手当てを受けていた。 私は本殿へと急いだ。 本殿の中では、斎女様を中心に負傷者の手当てがおこなわれていた。 「諸葛さん、お待ちしていましたーー;  姜さんはお部屋の方へ移していますので、そちらへ行ってくださいーー;」 私は言われるがままに部屋へと急いだ。 そして部屋の中へ入ると、維は一人布団に寝かされていた。 「維・・・ーー;」 私は維の傍に寄り、怪我の状態を確認した。 髪の毛は焼け焦げているが、顔は無事そうだ。 しかし、体に捲かれた布を捲って見て怪我の酷さを実感させられた。 皮膚は焼け爛れ、矢が刺さった痕や刀傷が目立った。 怪我の影響か、かなりの高熱で呼吸が荒い。 私は傍らに用意されていた氷水で、布を冷やして額の汗を拭ってやった。 すると維は薄らと目を明け、私を見て僅かに微笑んだように見えた。 しかし、それを境に維は意識を失ってしまった。 維が担ぎ込まれてから数日が過ぎた。 維は相変わらず意識の無いままだったが、城お抱えの薬師や僧侶のおかげで傷口はすっかり無くなってしまった。 目を覚まさないのは、たぶん精神的なことだろうとの話だった。 私は昼間は仕事をこなし、夜は維に付き添うという生活をずっと続けた。 さらに数日が過ぎたある晩、維は目を覚ました。 始めは遠くを見詰めていたが、やがて言葉を発した。 「朝薫ーー」 私はなんとなくではあるが、目を覚ましそうな予感があったのでさほど驚かずに精一杯の笑顔で答えた。 「維、おかえりなさい^^」 「あぁ、ただいま朝薫^^」 維も多少無理な感じではであったが、笑顔で答えてくれた。 「体はどこも痛くない^^?」 笑顔を絶やさないようにそう問い掛けた。 「どこも痛くないよ^^  いろいろ世話を掛けたね、ありがとう^^」 維の言葉に生気が漲って来たように感じた。 しかし、その言葉を最後に再び遠くへ視線を飛ばして沈黙してしまった。 私は維が何か言ってくれるのを黙って待つことにした。 どのくらいの時が流れたのだろう。 維は静に語りだした。  - 天王山 中翼後詰 - ドス 「む、無念・・・><」 「これが我等の使命ーー;」 ズバ 「ば、馬鹿な・・・><」 「悪く思わないでね^^;」 キン ザン ドン バン 「左先敵襲〜><」 「右中から右先奪還行きま〜す^^  特攻できる方、右後陣裏へ集まってください^^」 「ノ」 「特攻ノ」 様々な声が飛び交っていた。 刀がぶつかり合う音、銃声、断末魔の叫び、勝利の雄叫び等々・・・ 足利勢はかなり劣勢で、今にも敵の手が本陣に届きそうな勢いだった。 「雑賀鍛冶2人発見^^」 黒い甲冑に身を包んだ盾侍、佐々木さんが言った。 「かしこまり〜^^」 「了解!^^」 「は〜い^^」 「了解です^^」 「はい^^」 「らじゃ〜^^ゞ」 一斉に返事を返す徒党員、7人はほぼ同時に鍛冶2人へと向かって行った。 「とうーー」 軍学侍が相手にみねうちを入れる。 「臆したかーー#」 佐々木さんは相手を挑発する。 「は〜ーー#」 鎧鍛冶が自身に気合を入れる。 「ノウマク サンマンダ ボダナン バク・・・ーー」 僧が呪文を唱えると、鎧鍛冶を何かが包み込む。 「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前・・・ーー;」 薬師が印を結ぶと敵に変化が起こる。 「うぉ〜りゃ〜ーー#」 二刀侍が気合の声と共に相手に切り掛かって行く。 「いけいけ、ゴーゴー^^」 私は徒党全体の意気を昂揚させるために唄った。 戦闘開始から程無くして相手は倒れた。 「きゃ〜〜〜〜〜^^」 「お見事!^^」 「おみごとです^^」 「お見事です^^」 「ナイスです^^」 「おみごと^^  任務完了です^^」 「^^¥」 ヒッヒ〜ン 遠くから馬の嘶く声が聞こえる。 バンッ 銃声と共に近くにいた騎馬武者が落馬した。 程なくして、どこからともなく悲鳴に近い声があがった。 「敵襲〜〜〜><」 バン バン ドン バン ババン ドドドドド・・・・・ 「うぉ〜ーー#」 大地を揺るがすような激しい銃声に蹄の音、そして雄叫び。 敵兵が濁流の如く雪崩れ込んで来る。 「はっはっはっ^^;」 敵忍者が笑いながら目前で姿を消した。 ズバッ 背中に鈍い痛みが走る。 痛みに顔を歪めながら後を振り返ると先程の忍者が笑っていた。 僧と薬師が回復術を掛けてくれる。 鎧鍛冶と盾侍は庇うように立ちはだかり、軍学侍と二刀侍は気合の声と共に忍者へ向かって行く。 戦闘終了後、陣の奥から声が聞こえた。 「取り付かれ〜><」 どうやらこの陣の大将が、敵と戦闘状態に入ったようだ。 二波、三波と敵が押し寄せて来る。 「これじゃ切りが無い、疲労も溜まってきたし、いったんさがろう><;」 佐々木さんがそう言った直後、また敵の突撃を受けた。 どれだけの敵を撃退したのだろうか、皆の顔に疲労が伺える。 疲労が頂点に達した頃に伝令が走った。 「中翼後詰敗走・・・><;」 徒党を脱力感が襲う。 「;;」 「あぅ><;」 「あらら^^;」 「;;」 「><」 「あら><;」 「><;」 さらに衝撃の情報がもたらされる。 「周り囲まれてるそうです;;」 「;;」 眼前の敵を撃退すると鉄砲隊に取り囲まれていた。 鎧鍛冶、盾侍が必至に後衛を庇おうとするも、鉄砲の威力は凄まじく防ぎきれるものではなかった。 佐々木さんは皆に逃げろと言い残し、弾幕の中へ突入していった。 徒党員達はいっせいに退却態勢に入る。 私も無我夢中でその場を後にしたが、途中矢玉や術によって崩れ落ちた。 薄れゆく意識の中で徒党員達の悲鳴を聞いた。  - 春日山 神社 - 維は、話し終わると静かに目を閉じた。 そしてしばらく沈黙した後、目を閉じたまま呟いた。 「佐々木さんは亡くなられたーー;」 !!突然のことに言葉が詰まり、何も言い出せなかった。 「意識を失っている間に佐々木さんに会ったーー  いつもと変わらぬ調子で話し掛けてきたのだがーー  最後に別れの言葉をいい消え去ってしまった><」 維は辛そうにそう言った。 「なっ夢の話だけで決め付けるのは・・・!><」 そう言いかけて気付いた、私達は神に仕える身だということを・・・ その夜は二人、遅くまで涙を流した。 翌朝、襖の隙間から射しこむ光に目を覚ました。 泣いたせいか、頭がぼんやりとしている。 しだいに意識が確りしてくると斎女様がいるのに気が付いた。 「!・・・><」 声を出そうとするより早く、斎女様に口を塞がれてしまった。 斎女様は微笑みながら、静にしてなさいと目で語りかけてきた。 傍ではまだ維が寝息をたてている。 私は体を起こすと肩から柔らかな布が滑り落ちた。 それは斎女様が普段着用されている掛け物だった。 維はそれから程なくして目を覚ました。 焦点が定まっていないのか、目を瞬かせていると 「姜さん、おはようございます^^」 斎女様が先に声を掛けた。 「あっこれは失礼><  おはようございます^^」 維は済まなさそうに頭をさげながら挨拶をした。 「おはようございます^^」 私もやっと喋ることができたって感じだ。 しばらく三人で雑談を交わした後、斎女様は訃報を伝えた。 私も維も昨夜のうちに気付いていたのだが、改めて聞かされるとやはりくるものがあった。 佐々木さんは銃弾を正面から受け止め、立ったまま落命されたそうだ。 目撃した人によれば、まるで伝説に出てくる弁慶のようだったと話したそうだ。 最後の瞬間まで盾侍として生き抜いたんだと私は感動をおぼえた。 【主な登場人物】 通称(職業)[本名]:紹介文 +------------------------------+ 朝薫(巫女)[諸葛朝薫]:本編主人公 維(神主)[姜維]:私の教育係? 斎女様(巫女):本殿斎女、神職寄合長 うっかり者(旅人)[五平]:慌てん坊でうっかり屋 案内役(案内役):上杉家案内役、実は隠れ里の者らしい もみじ(巫女)[もみじ]:見習い巫女で、主な仕事は神社で扱っている商品の売り子 老兵(侍)[六助]:上杉家の影の職人? 笑い男(店主):しっかり者らしいが、笑ってばかりいる 佐々木さん(侍)[佐々木藤丸]:維の所属する集まりの党首 +------------------------------+ 【あとがき】 +------------------------------+ 皆様、最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m この物語は、実際に信長の野望 Online(以下信Onと略す)をプレイした内容を物語風にアレンジしたものです。 まぁ、信Onをプレイしながらこんな風に見てるんだよ!的な視点で書きました。 何故にそんなことをいちいちしたのかと申しますと。。 本来ゲームというのは「その時代背景に合わせて、登場人物を演じる」というのが正しいスタイルであると私は思うのですが、 信On世界では、ゲームであるにもかかわらず、それができていない状況だと感じたからです。 その時代の人物を演じるのだから、良い奴もいれば悪い奴もいるのが当たり前のはずなのです。が、 悪い奴を演じるとリアル(現実)で晒され、痛い奴だとか何だとかとレッテルを貼られて、 ゲームプレイそのものができない状況に追い込まれてしまいます。 実際に痛い奴、礼儀知らずってのもいるのも事実ですが、それは自身が感じた感覚であって他人を巻き込む必要は全く無いと思います。 実際にプレイを共にして「あっこの人合わないな」って思えば、そう感じた人だけが一緒にプレイしなきゃいいだけであって、 掲示板等で晒して、悪い印象を周りに植え付けるってのはどうかと思います。 現実の虐めと一緒で「周りが避けてる人と仲良くしたら今度は自分が」って誰でも考えちゃいますよね。 公式掲示板等で散々に貶されている人に同情すら覚えます。まぁ逆に言えば、貶してる人を見ると哀れで仕方が無いのですが・・・ いろいろ書いていますが、自分が言いたいことはただ一つ「ロールプレイングゲーム(以下ロープレと略す)をやりましょうよ!」 現実世界を見ても良い人だらけってのはありえないですよね。 でも日本のゲームじゃ無理なのかな・・・ウルティマやスターウォーズの噂を聞くと海外サーバではロープレしてるけど、 日本サーバではできていないのが現実らしいですね。。 どこかで聞きましたが、外人はロープレできるけど、日本人は性格的にロープレできないらしい。。 効率・能率重視って考え方は日本独自っぽいですもんね。。 ま、こんな事書いてる自分も周りに迷惑を掛けながらプレイしている一人です(>_<)この場を借りて・・・ごめんなさい。。 乱文失礼いたしましたm(__)m +------------------------------+ 【警告】 +------------------------------+ この物語はフィクションであり、登場人物や団体名は実際のものとは一切関係がありません。 また、一部ゲーム上で登場した人物名を使用していますが、セリフや行動は実際のものとは異なっています。 この物語は作り話ですので、読んだ方がどのよう感じられても苦情等は一切受付けていません。 この物語を読んで不快になった場合は、自らの責任で不快を選んだとみなします。 +------------------------------+ -+- Copyright(C) 2005 姜維, All rights reservrd. -+-