第六話 『邪』-marionette- |
ネオジオンニュータイプ部隊と連邦軍月軌道上奪還作戦部隊の戦闘開始から数分が経過していた。当初の連邦艦隊の統制射撃はプルツー達の機体をかすることもなく一気に間合いを詰められ、艦隊の陣営内にその進入を許していた。ジェガンを主力とするMS部隊がなんとか戦艦への攻撃を防いでいる状況だった。 『9機目っ!!』 『意外と手応えがないものですね。』 『そっち!!』 『旗艦はあのラーカイラムのようですね。あれを撃破すれば、敵の指揮系統はずたずたになり艦隊の戦闘能力が著しく低下するかと。攻撃するなら今です。・・・小姉さん?』 『わかってる!あれは・・・・・私がやる!』 『敵MSが!!』 『プルツー・・・君なのか?皮肉なものだな・・・。』 胸部が輝きを増し、まさに発射しようとしたその瞬間 『なんだハウエル!戦闘中だぞ!!』 『・・一大事です!!タウ=リンが裏切りました。ミネバ様がアウーラの中に・・・。我々はすぐにアウーラに向かいミネバ様救出に尽力します。プルツー様もどうかお力ぞえを!』 『なに・・・タウ=リンが?・・・わかった。私も今すぐ助けに行く!』 『お願いしますぞ!ヤツは・・・タウ=リンはシッガルトに向かっています。おそらく地下の核燃料が狙いかと・・。』 『シッガルトの宙域だな?わかった!』 『ツー姉様、こっちはどうするんです?』 『十分この艦隊の戦力は削いだ。この宙域から離脱する!』 『撤退した・・・?どういうことだ?』 ブライト達のいた宙域を離れ、しばらくして 『・・・いや、行くのは私だけでいい。』 『小姉さん!?何故です!!?』 『スリーは皆の指揮を取って、ルナツー艦隊を抑えて。ネオジオン本隊だけじゃ勝敗は見えてるから・・。私達全員がアウーラに向かうことはできない・・・。』 『でも!!あの男は危険です!小姉さんに何かあったら・・・』 『すぐにハウエル達と合流するから大丈夫。それにこのクインマンサ、いくら新型だからって1戦艦如きにやれると思うのか?』 『そう・・・ですね。わかりました。』 『ツー姉様の為に・・・ツー姉様の望む通りに・・・!』 『・・・・ツー姉様。アウーラにはメイファ様は・・・』 『わかってる。私も感じた。でも・・・何かがおかしいんだ。アウーラから感じるんだ。プレッシャーとか、そういうんじゃない。なんか漠然とした引力のような・・・・。』 『?・・・私には何も感じませんよ。』 『フォウが何も感じない?じゃあ誰かの波動とか、そういうんじゃないんだと思う。でも・・・行かなきゃ!!』 (ツー姉様は私にはわからない何かを感じとっている・・・?) 『うん・・・。ありがとう、フォウ。』 『では、ここからの指揮は私が取りますね♪』 『フォウ・・・。私が取ります。あなたは私の指揮下でシックスとエイトの指揮!小姉さんがさっき言ってたでしょ!』 『スリー姉様〜、シックスとエイトの面倒みてなんてツー姉様は言ってませんよ。』 『・・・!!! 待って!たった今ルナツー艦隊が動き出したみたいです。急ぎますよ!!』 『はぐらかしましたね・・・』 その後プルスリー達がルナツー艦隊と接触するよりも早く、プルツーはシッガルト宙域に入り、アウーラを捕捉していた。もうアウーラのレーダーにも探知されているのだろうが、そんなことは気にしなかった。プルツーはアウーラを攻撃射程内に捉え、ハイメガ粒子砲を発射した。 『クインマンサか・・・・。さずがに行動が早い。ハウエルとは違うというわけか?』 『遠距離ビーム攻撃は無意味だな・・・。ならッ!』 プルツーはアウーラのブリッジの正面にクインマンサを移動させ、タウ=リンの姿を視認した。 『ふん、プルツーか。ミネバ=ザビの命、どうなってもいいのかな?』 『わたしにはったりは通用しないよ、タウ=リン。ミネバの気配はそこにはない。覚悟するんだな!』 『小娘が・・・知ったふうなことを言いやがる・・・! だが!!』 『戯れ言を!!』 『ルチーナとかいう小娘の命が大事ならな・・・。くっくっく・・・』 タウ=リンの口から想像もしなかった単語を耳にしてプルツーは慄然とした。 動揺するプルツーを尻目にタウ=リンは言葉を続ける 『な・・・!』 『不思議に思っているようだな・・・。なんでオレがそんな小娘を知っているのか。理由は簡単だ。ひとつ、面白い事を教えてやろうか?お前の乗っていた定期船の事故はヌーベルエゥーゴによるもの・・』 『・・・・!!』 『お前が乗っていたのはわかっていたからな。ネオジオンとの交渉を有利にする道具としたわけだ。だがそれだけじゃあない。ミネバがいなくなればネオジオンの擁立する人間はお前だ。お前には俺の操り人形として動いてもらおうと思ってな。楽しいショーを邪魔されちゃあ、かなわんからな。』 『そんなこと・・・!!』 『状況が理解できたか?わかったらこのアウーラの護衛をその化け物MSで必死こいてやるんだな。連邦のうるさいクズ共をだまらせろ。』 『クッ!』 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― タクナ=S=アンダースンはベクトラからZブロンプトに搭乗して逃走したメイファを追っていた。メイファが救助を求めたネオジオン部隊との交戦中に彼女を見失ってしまったのだ。 『ここから先は・・・通さない!!』 |
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