第七話 『檻』-abyss- |
『君は・・・?女の子!?』 (この感じ・・・あの時の?) 『やめるんだ!自分が何をやってるか解ってるのか!?あの艦が何処に向かってて、その結果がどうなるか知ってて言ってるのか?』 『・・・何の事だ?』 『あの艦はジオンのハインラインプロジェクトを完遂させるためにシッガルトに向かってるんだ!!』 『!!』 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 「本来は月の巨大なクレパスを利用して月面上の連邦基地を攻撃するために発案された作戦だ。・・・が、月の構造上、破砕運動が起こる可能性があるため封印された計画だ。支配する世界そのものが消えてしまっては何の意味もないからな。」 「そんな無意味な情報を私に教えてどうするんだ?』 「プルツー、知識というものは何であれ価値があるものだ。それがジオンの作戦なら尚更のこと・・・。戦いがMSの競り合いだけで決まると思うな。」 「戦いに勝つための私達だろう?」 「その通りだ。だからこそ必要なことを学んでもらう。」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― シッガルトの地下には核燃料があるとハウエルは言っていた・・・。タウ=リンのヤツ、基地の炉心をアウーラの主砲で撃ちぬく気か!?ハインライン計画を実行する・・・、正気の沙汰とは思えない・・な。) 『な・・・。みんな・・・皆死ぬんだぞ!連邦もネオジオンも関係ないはずだ!こんな所で戦ってる場合じゃない!それに僕は・・・ただ人を探してるだけなんだ!!君と戦う理由なんてない!』 『ここで私が戦ってみせないと、あの中にいるルチーナが殺される。だから戦う。今アウーラを落とさせるわけにはいかない!』 『君は・・・・。』 『それが私の戦う理由。・・・おしゃべりは終わりだ。』 『そんな・・・何か方法があるはずだ何か・・・。』 『そんなものはない!わかったらここから離れろ!死にたくないなら・・・』 『だめだ!あの艦には彼女がいるかもしれないんだ。通してくれ!』 『それなら・・、悪いけど消えてもらう!・・・ファンネル!!』 『これがファンネルかっ!!だけどっ!』 『手加減したとはいえ私のファンネルをかわす・・・?ならっ!』 タクナもビームサーベルを抜いてプルツーの攻撃を正面から受け止める。 『戦う・・・?戦っている・・・、今・・。』 プルツーの正面では二つのビームサーベルが接触し、スパークを起こしている。 −『格闘戦なら・・・ファンネルは有効的に使えないはずだ!』− 『格闘戦・・・・接近戦・・・・・接触・・・・・・!そうか!!』 接触回線 『な・・・何を・・?』 『方法が・・・ある。お前が協力すれば、の話だが・・・。』 『本当か!?どうすればいいんだ?』 『・・・この機体はサイコミュ制御で外部からの遠隔操作もできる。今から戦闘空域をアウーラに近づけてく。私は隙をみてアウーラに潜入するから、少しの間この機体と戦ってる振りをしてくれ。そうすれば奴は・・・、タウ=リンは安心する。その間にルチーナを奪回する。』 『そんなことが・・・?しかし僕も探してる人がいる・・・・、時間が惜しい!』 『心配しないでいい。お前の探しているメイファはあそこにはいない。今は・・・この艦と同じくシッガルト基地に向かっている。だから私もクインマンサmkUをその方向に移動させてくから戦いながらその宙域に向かっていけばいい。』 『なんで僕が探している人が・・・?』 『そんなこと説明しているヒマは私もお前もないはずだ。それより準備はいいか?始めるよ!』 『・・分かった!』 『・・・・ありがとう。』 プルツーとタクナはそのままビームサーベルでの接近戦を続けながら、じわじわとアウーラに近づいていった。そしてZプルトニウスがアウーラ側にまわると、プルツーは一旦離れ、牽制にメガ粒子砲を発射した。それをタクナが避けると、そのビームはアウーラのバリアでかき消えた。その発光と同時にプルツーはZプルトニウスに向かってクインマンサmkUを突っ込ませた。それもタクナは寸前でかわす。クインマンサmkUはそのままアウーラのバリアに衝突し、その強力なIフィールドで干渉してバリアの内部に入った。その瞬間プルツーはコクピットから飛び出した。クインマンサmkUは発光がおさまる前にバリアの外に戻っていた。そして何事もなかったかのようにZプルトニウスと戦闘を続行する。戦闘空域はアウーラから少しづつ離れていった。 『うまくいったみたいだな・・・。』 プルツーはアウーラの外壁にとりつくと、内部への入り口を探し始めた。 しばらくして、プルツーはハッチを発見し、アウーラ内部への潜入を果たした。アウーラ内部は広く、またタウ=リン以下ヌーベルエゥーゴの連中はそれぞれの持ち場での作業で手一杯だったのがプルツーには幸いだった。艦内を巡回している者はほとんどいなかったのである。 『ルチーナの気配・・・・・。あっちか!』
一方その頃プルスリー達はルナツー艦隊との接触を間近に控えていた。 『どうしたんですか、フォウ?もうすぐ戦闘に入りますよ。臨戦態勢を整えてください。』 『大丈夫でしょうか、ツー姉様・・・。さっき確かな心の乱れを感じたんですけど・・・。』 『小姉さんの波動、はっきりと感じるでしょう?何かあったら伝えてきますよ。』 『だといいんですけどね。ツー姉様はときどき周りが見えなくなることがあるから・・・。』 −『スリー姉さん、スリー姉さん、大変よ!!』− 『何ですか、セブン?もうルナツー艦隊が間近に来てるんです。通信は控えて下さい。』 −『それどころじゃないんだってば〜!アウーラが、アウーラが・・・!』− 『落ち着いてください、アウーラがどうしたって言うんです?』 −『・・・・スリー姉さん、知ってますかハインライン計画は?』− 『?・・ええ。封印されたジオンの作戦でしょう?グレミー様が言ってましたね。』 −『タウ=リンはアウーラでその作戦を実行するつもりです!』− 『!!!!』 『スリー姉様・・・。シッガルトの地下には核燃料がありましたね・・・。それに加えてアウーラの主砲・・。』 『月の破砕・・・、その条件なら確かに可能かもしれません。タウ=リン・・・あの男・・・・。』 『ツー姉様・・、ツー姉様はアウーラに!!ツー姉様に急いでその事を伝えないと!!』 『どうやらそれは叶わないようですね・・・』 正面のルナツー艦隊は既にMS部隊を展開し始めていた。交戦までもう時間はない。 『セブン、あなたは小姉さんのいるアウーラに急いで向かってください!私達はしばらくこの宙域を離れることはできないようです。』 −『わかりました。それともう一つ、ルチーナ様の所在がわかりました!・・・アウーラに囚われています。』− 『え!!?・・・そう。それでツー姉様は・・・・。』 −『ツー姉さんはもうルチーナ様を探してアウーラ内部に潜入してるの!私は救援に行ってハインライン計画のことを伝えます!』− 『待って、セブン!』 『フォウ、小姉さんとセブンに後は任・・・・ !・・・おしゃべりはここまでのようですよ・・・。』 『・・・・スリー姉様、あれは・・・・』 『Hi−νガンダム1機、νガンダム2機、量産型νガンダム7機・・・』 『連邦の最強MSのオンパレードですか・・・。ジェガンと違って、これはちょっと厄介ですね。』 『セブンの情報でその存在は知っていましたが・・・連邦のニュータイプコントロール計画がもう実戦段階に入っていたなんて・・・』 『ニュータイプコントロール計画?』 『そうです。強化人間では精神的に不安定で安定した戦力とはなりえない。ニュータイプ研究では私達ネオジオンに比べて数年遅れている連邦が近年戦術部で召集、教育中の部隊・・・。』 『数の上ではこちらが不利ですよ。どうします、スリー姉様?』 『ネオジオン本隊はもう私達のすぐ後ろにいます。ここで退くことはネオジオンの敗北を意味します。・・・迎え撃ちます!』 『ふぅ、そう言うと思いました。しょうがないですね。』
アウーラ内部 『ここか・・・』 |
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