E5系新幹線電車

 JR東日本にて、2002年に発足した「新幹線高速化推進プロジェクト」によって開発がスタートし、2005年に製造された試験車両、E954型「FASTECH360S」を元に、2009年から試運転を開始、2011年3月5日から営業運転を開始した。

 試験車両では360km/hを目指したが、E5系では現実的な目標として320km/hを設定。 営業運転はまず300km/hより開始されたが、直後に東日本大震災が発生し東北新幹線が1ヶ月に渡って運休。仙台車両センターの車庫にいたE5系の1編成が大破するなど被害を受けた。 運転再開後は徐行区間が残るために本来の性能を発揮する機会には恵まれていない。

 車体はアルミ合金で、大型押出材を用いたダブルスキン構造を採用。中空部分に防音材を充填している。 先頭部は15メートルのロングノーズダブルカスプ構造で独特である。 運転台はキャノピー状で先頭部から盛り上がっており、前照灯は運転台上に4灯が設けられている。 

 E5系は320km/h運転のために、騒音対策に特に配慮されている。 まず車体は台車まで覆う形状となっており、台車からの騒音を外に漏らさないようになっている。 また車体間にはN700同様の全周ホロが取り付けられており、編成全体が平滑化するように配慮されている。 また各所に吸音材を用いて騒音の低減につとめた。 パンタグラフには防音板が復活し、従来の半分の大きさのシングルアームパンタグラフを搭載した。 またそれまで編成で2基使用していたパンタグラフを1基使用に改めたため、離線対策としてパンタグラフのすり板を12分割し、ピアノの鍵盤のような動きをする機構を取り付けたている。

 乗り心地向上に対しては、フルアクティブサスペンションを全台車に搭載し、従来の空気動作ではなく電気動作に改めた。 また台車には車体傾斜機能を搭載し、曲線通過時の遠心力低減を図っている。

 座席で特徴的なのは、当初では新幹線では初めてのファーストクラス、スーパーグリーン車などと呼ばれた、「グランクラス」の設置である。 10号車に設置されたグランクラスは、レカロ社などと共同開発した白色の本革張り大型電動リクライニングシートを18席、で2席+1席×6列という配置となっている。 シートピッチは1300mm、座席幅は520mmと広く、リクライニング角度は45度まで傾斜する。専用アテンダントによる食事やアメニティサービスなどを受けることができる。

 グリーン車は東北新幹線の伝統的な、下り方から2両目の9号車。 配列は2席+2席で14列あり、下り方は車椅子対応で1席取り払っているために定員は55名。 シートピッチは1160mm、シート幅は475mm、リクライニング角度は31度の電動リクライニングシートが並ぶ。 モケットは落ち着いた濃赤で、レックレストは椅子と一体化し電動式とした。 JR東日本のグリーン車標準装備の可動式枕も採用。 手元には操作スイッチとコンセントが設置された。 照明は電球色の間接照明となっている。

 普通車においても赤系統の座席を採用し、配列は新幹線の標準的な3列+2列となっている。シートピッチは1040mmとE2系に比べて拡大、シート幅も440mm、B席のみ460mmとそれぞれ拡大された。 読書灯も全席に設置されている。 照明は直接照明となっている。

 2011年現在は、「はやぶさ」の3往復のみに充当されているが、東日本大震災後の暫定ダイヤでは2往復に減便されている。

戻る