E2系新幹線電車

 東北・上越新幹線において、高速化や時代にあったサービスの提供を実現するために、従来の200系に代わる次世代車両として、試験車両952形、953形「STAR21」の試験データを元に開発された。 この世代の車両には、北陸新幹線における30パーミルの連続急勾配に対する性能と、開通予定の秋田新幹線車両を併結し、最高速度275km/hで連続走行を行うという、二つの条件を満たす性能が求められた。 当初は北陸新幹線専用とされたが、200系の老巧化が進んでいたために、200系に代わる主力車両として幅広い運用に応えられる十分な性能・機能を有することとなった。

 これらの目的を達成するために、まず200系に比べてさらなる軽量化が行われ、軸重は13トン程度に抑えられ、200系と同等の負荷で275km/h運転が可能となっている。 制御にはVVVFインバータと誘導電動機を使用、電動機出力は300kwであり、重量に対する出力はトン当たり20kwを超え、700系よりも高性能といえる。 ただし、これでも30パーミルの急勾配を登る際は170km/hでの運転となる。 ブレーキでは電力回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを持ち、回生失効状態から空気ブレーキで210km/hから停止できるブレーキ性能と、下り坂での抑速ブレーキを装備し、抑速ブレーキ使用中に回生失効が発生した際は、自動的に110km/hまで減速させる機能を付加するなど、勾配対策が施されている。

 1997年の北陸新幹線用に開発された0番台では、8両編成で6両の電動車を持ち、車体は大型押出材の連続溶接構造を採用、ドアはプラグドアで小窓が並ぶ外観となっている。また大型のパンタグラフカバーを装備し、2基の下枠交差型パンタグラフが搭載されている。 北陸新幹線では軽井沢を境界として電源周波数が代わるため、50ヘルツと60ヘルツどちらにも対応した各種装置を搭載している。 0番台と100番台の違いは、下り方の先頭車に自動併結機構を備えているか否かであり、0番台がN編成、100番台がJ編成として、前者は北陸新幹線専用、後者は東北新幹線と共用となっていた。 後にJ編成は中間車に1000番台を2両組み込み東北新幹線専用となったため、50ヘルツ専用、抑速ブレーキ省略とされた。 編成によりVVVFの素子はGTOのものと、IGBTのものが混在している。

 2002年の東北新幹線の八戸延伸に向けて投入されたものは1000番台とされ、10両編成で電動車8両付随車2両とされた。車体はダブルスキン構造となりプラグドアを廃して引き戸に変更された。窓は初期の0系や100系に似た大窓が復活し眺望が改善。 またパンタグラフカバーは省略し、低騒音型のシングルアームパンタグラフが装備された。 北陸新幹線独特の装備は持っていない代わりに、車両にセミアクティブサスペンション、先頭車とグリーン車にはフルアクティブサスペンションが搭載されることとなり、これは世界でもはじめての試みであった。 こちらはIGBTを用いたVVVFを使用している。仕様は違うがJ編成を名乗り、51番以降の編成番号の車両群である。

 0番台、100番台と1000番台では車内についても若干の設計変更が行われている。 グリーン車のシートピッチは1180mm、普通車のシートピッチは980mmで共通ではあるが、普通車では0番台、100番台がシートモケットが3種類用意され、それぞれ同じ柄が隣り合わないように配列されているのに対し、1000番台は1車両は同じモケットで統一されている。 またシートにおいても、0番台はリクライニングのみなのに対し、1000番台では座面スライド機構が取り入れられている。照明は間接照明なのも共通であるが、0番台、100番台は中央に渡した梁から天井を照らして反射させているのに対し、1000番台では中央がアーケード状の天井が露出して梁がなく、両側からの照明をアーケード状の天井に反射させており、頭上がスッキリとしている。 また1000番台では空調の吹き出し口がA席、E席上にも設置されており、ガラスを通して受ける外気温の影響を緩和できるよう配慮されている。

 また、2010年の東北新幹線新青森延伸に最しては、最新型車両のE5系の量産が間に合わなかったため、新たに1000番台が製造された。 八戸延伸時とのニーズの違いを取り入れ、普通車の妻面と窓側、グリーン車の全席にコンセント設置、LED読書灯の設置、車内表示器の大型化、横幕のフルカラーLED化などの改良が加えられた。

 車体カラーは飛雲ホワイトを基本に下半分が紫苑ブルーとなっているのは全車共通。 2色の間にラインが入り、このカラーが方面別に、北陸新幹線用の0番台は深紅レッド、東北新幹線用の100番台、1000番台は躑躅(つつじ)ピンクと分けられている。 またロゴも異なり、北陸新幹線用は「そよ風」をモチーフにしたのロゴが入っているのに対し、東北新幹線用は当初は「そよ風」であったが、八戸開業時に「りんご」をモチーフにしたロゴに変更された。

 基本的に、J編成は東北新幹線系統の「はやぶさ」「MAX」を除く各列車に用いられ、N編成が北陸新幹線「あさま」に用いられる。 上越新幹線への入線は一時存在したが、2011年時点ではない。

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