京浜急行 2100形

2100形

 主として「快特」に運用される京急のエース2100形。車両は2扉でオールクロスシートの8両編成である。そのために立ち面積や、乗降に時間がかかり、朝の上り列車として使われることはあまりない。優等列車専用の豪華仕様の車両であるが、着席整理券の必要なWing号を除いて追加料金は不要である。また、団体乗車券では乗車できないという意外な一面もある。

 制御装置はドイツのシーメンス社製のVVVFインバータを使用しており、これによる独特の段階音から、「歌う電車」として広く知られるようになった。両端の先頭車とと中央2両にVVVFインバータと電動機を搭載して4M1C制御を行い、MT比は1対1で営業列車の最高速度は120km/hである。性能的には130km/hでの運転も可能である。あまりの速さに、人身事故で前面が大破したこともある。

 登場は1998年で、京浜急行のルーツである大師電気鉄道の創立からちょうど100年目となる記念すべき年に誕生した形式で、快特専用として2000形の後を引き継いだ。車両はアルミ合金製で、京浜急行らしくシールでラインを貼らずに、鮮烈な赤で塗りつぶされているために他社車両に見られるギラギラとして冷たい感触が無く、温かみのある車両といえよう。窓はスピード感がある連続窓を採用し、窓自身は熱線カットガラスを使っている。だからといってカーテンが無いわけではなく、カーテンもしっかりと用意されている。椅子やカーテンはスウェーデン製の生地を使用しているほか、あちこちに外国製品を多用しており、国際色豊かな車両となった。足回りは他の京急車両と同じくシュリレーン式の台車を履き、振動を抑制する目的でウイングバネにオイルダンパが取り付けられていたが、あまり効果が無かったらしく、新1000形の登場後は相次いで外された。

前面のワイパーカバーの形式表示は、当初、切抜きで「2101」「2117」というように車体番号がそのまま記されていたが、途中から切抜きで「2100」となり、貫通扉のライトの上に銀のプレートで「2101」と表示され、さらにその後、写真のような切抜きの「2100」と、貫通扉の白地部分に車体番号の下二桁を表示するようになった。これが製造された10編成の全てに適用されたが、前述の前面大破事故により、「2172」のワイパーカバーが粉砕してしまったため、「2101」の取り付けていたワイパーカバーが「2172」に転用され、「2101」は登場時につけていた「2101」と切り抜かれたワイパーカバーを取り付けた。このため、第一編成の浦賀寄り先頭車だけが「2101」、他は全て「2100」の表示になっている。また、急行灯も当初は600形と同様な寄り目であったが、途中から離れ目になり全車に波及した。これを始めてみたときは違和感がかなりあったことを覚えている。