ACARS受信システムを構築する−受信レポート−

  ACARSとは

   VHFエアーバンド(民間機の航空無線)では、音声による通信の他に行われている

  そうです。ACARSといわれるシステムです(民間AIRは管轄外だったので最近詳しい

  内容を知りました)。このデータ通信では、便名,航空会社名,機種,現在位置などが航空

  機から発信されています。このデータ通信は、パソコンと受信機+データ通信の解読ソフト

  があれば、データの内容を表示できるということ。面白そうなので早速受信にチャレンジ

  してみることにしました。

 準備するもの

   ・受信機(当然エアーバンドが受信できるもの)

   ・パソコン(マイク又はライン入力端子があるもの)

   ・オーディオケーブル(パソコンと受信機を接続)

   ・ACARS解読ソフト

   ・ビットマップ形式の日本地図(自分の住んでいる地域のもの)

 解読ソフトをダウンロードする

   ACARSのデータ内容を解読するソフトに「WACARS」というフリーのソフト

  があります。こちらのHPから、作者に感謝しながらダウンロードしておきます。

  私はVer.0.7をダウンロードしました。適当なフォルダに解凍しておきます(ファ

  イルはZip形式で圧縮してあります)。

 ビットマップ形式の地図を準備する

   航空機の位置を表示するための地図を用意します。私はリブレットに入っているソフト

  プロアトラスの地図(私は福島県位から愛知県位までの範囲)をハードコピーして使用

  しました。地図のデータは、予め256色に減色しておきます(ソフトの仕様です)。

   「WACARS」を解凍したフォルダに地図ファイルを貼り付けておきます。

 事前準備

   「WACARS」のソフトを立ち上げてみます。そうすると、デフォルトで英国の地図

   が表示されているはずです。これを日本仕様に変更しましょう(下の画面はすでに日本

   地図に変更後のもの)。

図1.マップの設定

    図1のように「Option」→「Map Option」を開きます。そうすると、図2のような

    画面が表示されるので、Map Fileを「WACARS」のフォルダの中に予め入れて

    おいたMapのファイルを指定します。

    もし「Option」→「Log Only Known Aircraft」にチェックが入っていたら外し

    ておきましょう。

図2.マップ設定の続き

    Map Fileの上の経度,緯度は、航空機を画面に表示する範囲を指定するもので、私は

    図2のようにN:38,S:34,E:141.5,W:135としました。

図3.ビットレートの設定

    パソコンのサウンドカードのビットレートを選択します。38.4もしくは44.1

    KB/secから選びます。私はデフォルトの44.1KB/secとしました。

 受信機を接続する

   事前準備が出来たら、受信機とパソコンを接続します。受信機のイヤホン端子とパソ

   コンのマイク端子をオーディオケーブルで繋ぎます。

   今回は実験ということで、ハンディー受信機(ユピテルMVT−7000)+ダイヤ

   モンドアンテナ製のホイップアンテナ(RH901)を使用しました。

   ひとつ注意点を。オーディオケーブルをパソコンに接続する場合、マイク,ライン端子

   があります。接続する方の入力端子をパソコンの設定でアクティブ(入力できるように)

   にしておきます。

    受信に使用した受信機とパソコン(リブレット)

 受信してみます

   実際に受信してみます。131.250もしくは131.450MHzに受信機を

   セットしてみます(受信モードはAM)。この時スケルチは開放します。

   次に信号の入力強度を調整します。図4の下の方に表示されているSignal Strength

   のゲージが、緑に表示されるよう受信機のボリューム等で調整します(赤なら強い,

   黄なら弱い)。

   しばらく放置しておくと、解読されたデータが表示されてきます。機体登録番号,機種

   などが手に取るようにわかります(図4)。

図4.解読,表示されたACARSのデータ

    もしもデータが多く字化けするようなら図5の「Option」→「Error Checking」

    を「Full Checking」にします。私は「Only Header」でも大丈夫でした。

図5.字化け時の対応

   またデータに位置情報が含まれていれば、図6のように航空機の位置が地図上に表示

   されます。今回は室内でホイップアンテナによる受信だったので、埼玉,千葉県あたり

   までの航空機しか表示されませんでした。室外に設置したアンテナであれば、より遠く

   の航空機まで表示可能と思われます。こんな簡単なシステムで、リアルタイムに航空機

   の位置,情報がが表示されるのはとても面白い!何か管制官になったような気分です。

   機体登録番号,機種,所属の航空会社などが分かるので,リストも作成できそうです。

図6.表示された航空機

  どうですかシステムを組みたくなったでしょ?是非チャレンジしてみてください。私も

  キチンとした受信システムを組むつもりです。

 

  ACARSの受信実験をするにあたって

   ラジオライフ(発行:三才ブックス)’03年6月号 ACARS受信マニュアル

   ACARS関係のホームページで、こちらこちらに詳しい内容があります。

   以上の書籍,ホームページを参考にさせていただきました。