あの街この街 〜東京 京島


 第2回目は、東京の京島
 


 東京の京島といっても、東京の西部に住んでいる人にはピンと来ない地名かもしれない。実を言うと拙者もそうであった。
 京島というのは、墨田区の北の方・・・・駅で言えば、京成押上線の京成曳舟駅南側一帯の地域がそうである。

 ここを初めて訪れたのは、2004年1月。割と最近のことである。訪れるきっかけとなったのは、毎週視ているテレビ東京の「街紹介番組」である『出没!アド街ック天国』でこの京島が取り上げられたからである。

 この地域一帯は戦災に遭わなかったということで、昭和レトロを感じさせられる古い街並みや家々が比較的多い。まるで、昭和時代を舞台にした映画のセットに迷い込んだような感じがする。

 この街をカミさんと歩いてみたが、子供が外で遊んでいる姿をけっこう見かけた。今の子供は塾通いに忙しかったり、遊びといえば家にこもってテレビゲームをしている・・・・というイメージが強いが、ここ京島ではそうとも言えないようである。
 そのためか、拙者ん家の近所では絶滅してしまった駄菓子屋も、この地域では何軒かが盛業中で、子供達が絶えず出入りしていた。

 さて、「鉄」的にこの街を見ると、鉄道自体も昔の姿を留めているような感じがする。京島地区からちょっとはずれたところにある東武伊勢崎線と曳舟駅は近代的な高架だが、京島地区の北側を通る京成押上線と、地区のほぼ真ん中を縦貫する東武亀戸線は、地平を走っている。線路の高架化・地下化で都心ではすっかり少なくなった踏切がここではアチコチにあり、踏切の警報機の音も何となく懐かしさを感じさせられる。

 拙者の趣味的な話しになるが、昔ながらの模型店も健在だ。店名を出すのは避けるが、京成押上線の踏切のすぐそばに、プラモデル店鉄道模型店が向かい合っている。両店の店主の苗字が同じなので、おそらく親子でやっているのであろう。プラモデル店は親父さん、鉄道模型店は息子さんがやっているようである。
 京島を訪れた時に、もちろんこの2店に寄っている。両店とも「レアモノ」とか「デッドストック」の類のものは無いが、昔ながらのいい雰囲気である。プラモデル店の方は、なぜか履物店と一緒になっていて、プラモデル店の入り口が閉まっていたので、履物店から入っていった(^^;
 プラモデル店では、おそらく70歳を過ぎているであろう親父さんが、店秘蔵?のお宝をいろいろ見せてくれた。
 ひとつは、昭和30年頃のものと思われる木製の戦闘機キット。プラスチックが普及する以前の模型キットで、翼や胴体などは大まかな形が削り出されているが、細かい部分はナイフやヤスリなどを使って自分で仕上げるタイプのもの。もちろん塗装だって、自分でしなければならない。今の子供には、まず作れないであろう。
 また、製造途中の色鉛筆なるものも見せてくれた。廃業した色鉛筆工場から譲り受けたということだが、2枚の木の板の間に芯を挟み、機械で鉛筆の形に切り落とす寸前のものだったが、今では珍しいものであろう。
 お宝を見せていただいたお礼に、プラモデルを4つばかり買った(^^)


 ということで、昭和レトロに興味がある人は、京島を一度訪れてみてはいかがだろうか?昭和レトロを題材にしたヘタなテーマパークよりも、数段面白いことは間違いない。

   2005.1.10