鉄道旅行術 


  紀行作家宮脇俊三氏と並んで、鉄道関係の著書が多い種村直樹氏の筆になる楽しい本である。拙者が鉄道乗り歩きの旅をするようになったのは、この本の影響が大きいかもしれない。現に、拙者が旅に出るときに書く「列車の乗り継ぎスケジュール表」は、この本に載っているものである。

 その名の通り、鉄道旅行に関するあらゆるエッセンスが詰まっている。鉄道旅行のプランニングから始まり、きっぷの買い方・列車や宿の選び方など、なかなかもりだくさんな内容だ。ちょっと変わったところでは、「東京−博多・民鉄とバスの旅」(当時の国鉄路線を一切使わずに、バスと私鉄だけで東京から博多に行く)というのもある。

 拙者が持っているのは1978年発行の第三版と古いものなので、きっぷの制度や列車体系は今と異なる。したがって、現状と合わない部分があるのはやむを得まい。
 しかしページをめくると、当時はまだまだたくさん走っていた長距離夜行鈍行列車の活用法や、これまた当時はたくさんあった赤字ローカル線巡りの旅などが載っていて、ある意味で資料価値があるだろう。

 刊行が古い本だが、今では「最新 鉄道旅行術」と名を変えているらしい。こちらの方は読んでいないが、1998年頃に改訂版が出ているようなので、「最新〜」の方は今でも入手できるかもしれない。もし「最新〜」の方が手に入ったら、前作と読み比べてみたいものだ。


 *作者の種村直樹氏は、2014年11月6日に他界されました。ご冥福を
   お祈りします。


 

                                                         2003.2.21