地方の路線に乗って車窓を眺めていると、田んぼや畑や林の中にポツンと佇んでいるクルマをよく見かける。
そのほとんどはナンバープレートがはずされた廃車で、車体は色褪せていたりサビが浮いていたりしている。タイヤは半分ほど土にめり込んでいたり、空気が抜けてパンクに近い状態になっている。車体が大破していることはまず無いので、車検切れを機に廃車になったのだろう。なかには、ちょっと手入れして洗車すればまだまだ使えそうなほどキレイな廃車もある。
車種はいろいろあるが、拙者が見た限りでは商用のワンボックスカーが非常に多いようで、乗用車はあまりない。あったとしても、5ドアのハッチバック車だ。田んぼや畑の脇に置いてあることが多いことからすると、おそらくは農機具や肥料などの物置代わりに使っているのであろう。
現役だった頃は各地の道路を所狭しと元気に走り回ってあろうクルマ達が、老朽化や車検切れという理由で現役車の象徴であるナンバープレートを剥がされ、田んぼや畑の隅でポツンと静かに余生を送っている姿は、なんとなく哀愁を感じる。そこには、合理化の名の下に無人化された駅のような風情が漂っているような感じがする。
最近では、駅巡りのために小さな駅で途中下車して駅付近を歩く時、街並みを眺めるとともにこのテの「ご隠居グルマ」を探すことが多い。前記した通り、田んぼや畑や林の中に潜んでいることが多いが、農家の庭先や草ボウボウの空き地にもいることがある。某ローカル線の無人駅の真ん前にデンと置かれているのを見たときはチト驚いた(^^;
そんな廃車達を紹介するために立ち上げたのが、拙サイトのコンテンツのひとつ「ご隠居倶楽部」である。旅に関心があってもクルマに興味の無い方には退屈極まりないページであろうが、インターネットで検索してみると、このようなご隠居グルマを取り上げているサイトは意外にも結構ある。
ご隠居グルマの中には、昭和の雰囲気漂うレトロなクルマも多い。昭和レトロブームの今、旅先の田んぼや畑で古い型のご隠居グルマを探してみるのも面白いのではなかろうか?
|