自慢ではないが、拙者はタクシーには余り乗らない。バスや電車に比べて料金が遙かに高いし、料金メーターの数字が上がる時の「カチャッ」という音が心臓に良くないような気がするためだ。もっとも最近の料金メーターの音は「ピッ」という電子音だったり、あるいは全くの無音であることの方が多いようだが・・・(^^;)。しかし、重い荷物をどうしても運ばなければならない時などは利用するから、悪口を言ってはバチがあたる。
そんなワケで、旅先でもタクシーを利用することは少ない。利用するとすれば急いでいる時か、地理に不案内なところへ行くくらいである。しかし、時間の有効利用の名目で、鉄道では遠回りになるところをタクシーでショートカットするケースもある。
例えば、高松側から高松琴平電気鉄道の長尾線と志度線を乗り潰そうとする時、鉄道利用だけならば、瓦町を起点にそれぞれの線を往復しなければならないが、終点の長尾(または琴電志度)からタクシーに乗って琴電志度(または長尾)へ移動すれば、電車に乗るのは片道だけで済む。実際、拙者が琴電に乗った時は、長尾線に乗って長尾に着いた時、駅前にあるタクシーの営業所からクルマを出してもらって、志度線の終点の琴電志度へ移動した。タクシー料金は3000円くらいだったと思う。3000円を投資することにより、2路線の片道分の時間が浮いたと思えばマァマァだろう。
タクシーに乗るということは、新幹線や特急列車に乗るのと同様に「お金で時間を買う」のと同じ意味があると思う。
また、タクシーにまつわることでは以前こんなことがあった。かつて新潟を走っていた蒲原鉄道の乗り歩きをした後、新潟交通へ寄ろうとした時のことである。
当初の予定では五泉から新潟への直通快速DCで新潟へ行き、JR越後線の関屋駅から新潟交通の東関屋駅まで歩いていくつもりだったが、このコースは帰りにも辿るため同じ経路を行き来するのは面白くないと考えた。
五泉から乗ったディーゼルカーの車中で地図を見ると、JR新津駅と新潟交通白根駅との間は以外と近くて7kmほどのようなので、予定を変えて新津駅からタクシーに乗って白根駅へ行くことに方針変更。
磐越西線のディーゼルカーから新津で下車し、駅前にいた日産クルーのタクシーに乗り込んで、運転手に「新潟交通の白根駅まで」と言うと、この運転手は何と白根駅どころか新潟交通の鉄道線の存在すら知らないとのこと。タクシー運転手といえばほとんどが地元の人だろうし、新潟交通が開業したのは昨日今日の話ではないし、新津から白根まではわずか7kmほどなのだから、駅を知らないはずは無いと思っていた拙者は、いささか面喰らった。しかし、持参の地図を見せたり無線で営業所に問い合わせたりして、鉄道線があることまでは何とかわかってもらえた。しかし結局駅の場所はよくわからないとのことなので、とりあえず白根市街まで行ってもらうことにした。
淡々とした田舎道を走ること約20分、白根警察署の前で料金が3400円になった時点で運転手は料金メーターのスイッチを切り・・・・
『ここから駅を探すことになるし、ここから先は運転手としての勉強なので、料金はここまででいいです』
・・・・と、何ともありがたいお言葉。
地図によれば、線路は川の対岸の川沿いにあるので、大きな橋を渡ればあるはずと運転手に告げて5分ほど走ると、ほどなく線路が見えたのでひと安心。線路沿いの道を走って行くと彼方に信号機と小さな駅舎が見え、そこが白根駅であった。
『駅があるとは知らなかったなぁ〜』 と言う運転手に料金を払い、いよいよ新潟交通の乗り歩き開始。
3400円という投資はチト痛かったが、タクシーを活用することで新潟・東関屋経由よりも90分近い時間を短縮できたのでヨシとする。しかしあの運転手の職業意識には大いに敬服した。職業こそ違うものの、拙者も見習わなければいけないなと感じた次第。
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