拙者は「鉄」 


 「鉄道好き」という人種?が世の中に知られるようになったのは、いつの頃からであろうか? 鉄道好きの人間のことを、以前から一般的に「鉄道ファン」「鉄道マニア」と呼称しているが、最近では「鉄」または「鉄ちゃん」という呼び名もある。

 どの呼び方でも同じようなものであるかもしれないが、拙者自身は「鉄道マニア」という言葉が嫌いである。辞書で「マニア」という言葉をひくと、「狂」という文字が出てくることでもわかるとおり、「マニア」という言葉の裏には「異常」というイメージがあるからだ。したがってこの拙サイトでは「鉄道マニア」という言葉は使わず、「鉄」または「鉄道ファン」と呼称している。

 鉄道に何の興味もない人から見れば、「鉄」というのは非常にミョーな人種らしい。ただの機械に過ぎないSLや電車を遠くまで追い求めて写真を撮ってきたり、冷房が無くて床が木張りのオンボロの車両に好んで乗ったり、畑や河原に三脚を立てて炎天下で何時間も粘ったり、飛行機なら1時間の距離のところへ行くのにわざわざ夜行列車に乗って長時間揺られていったり、「モハ」だの「ワム」だの「シロクニ」だの「VVVF」だの「ワンハンドルマスコン」だのワケのわからない単語をコネクリ回していたり、「国鉄の101系と103系の違い」について熱く語ったりする姿が理解できないらしい。合コンの席でこんな話をすれば、たとえその「鉄」がキ○タク似のイケメンであってもドン引きされることは間違いないであろう。

 もっとも、一部の「鉄」はそのことを自覚?しているらしく、周囲の人間には「鉄」であることを隠している人も多いとのことである。とある本によれば、『職場の同僚に知られたくないこと』の第4位に「鉄道ファンであること」が挙げられたそうである。ちなみに第6位は「痔であること」だそうだから、その重要機密度?は高い。

 男性向け週刊誌やテレビのバラエティ番組などで、時々「鉄」のことを取り上げていることがあるが、それらでは「鉄」は「まるで、ジャングルに生息する珍しくて得体の知れない動物の生態」と同じように紹介されている(・・・紹介されているというよりも、イジられていると言った方がいいかもしれない)。
 同じ乗り物系ファンでも、「船舶ファン」や「航空機ファン」や「くるまファン」がこのような扱いをされることは非常に少ない。何で鉄道ファンだけがこんな矢面?に立たされるのかと思うと、いささか憤りを感じるとともに情けなくなる。

 かくいう拙者は、「鉄」であることを職場で隠していない全くのオープンである・・・というか、開き直っている(爆)
 勤務先で拙者のことを知っている人の中で、拙者が「鉄」であることを知らない人はまずいない。だから、「○○駅で何々記念切符を売っていたぞ」とかいう情報をもたらしてくれる人もいる。普段利用する機会が無い路線のことなら、非常に有益なことだ。

 また、同僚から情報提供のお世話になるだけではない。時折「子供をSL列車に乗せてやりたいんだが、どこで走っているのか?」とか「金沢へ行くのには何に乗ったらいいのか?」といった鉄道関連の相談が舞い込むことがある。時には総務部から時刻表を借りてきて、列車の時刻や運賃を一緒に調べたりもする。こうなると、私設の「みどりの窓口」か「旅行相談所」である。

 あまりイメージが良いとは言えない鉄道ファンの地位向上?のために、拙者は職場で「鉄道関連なんでも相談屋」の看板を掲げて頑張っている(笑)。
 

2000.10.1