1960年代生まれの人にとって、1960年代後半〜1970年代始めの怪獣ブームは記憶にあるだろう。毎日のようにどこかのテレビ局で特撮番組が放送されていた。
怪獣映画の代表格と言えば、やはり東宝制作のゴジラ映画であろう。あの「ウルトラマン」を生み出した円谷プロの創設者である円谷英二が特撮を担当しただけあって、特撮場面は迫力あるものだった。
そんな頃に制作された大映のガメラ映画は、ゴジラ映画に比べると特撮技術はイマイチで、子供心に「B級」「亜流」の感じがしたものだった(大映関係者の方々、すみません)。別にそのせいではあるまいが、大映は1971年に倒産した。
ガメラ映画は1980年に一度復活したものの、過去の作品のフィルムを利用して新たなストーリーを作り出した珍作であった。
その珍作から15年後の1995年、平成の世になってガメラは再度復活した。1980年の珍作に呆れていた拙者は、平成版ガメラ制作のアナウンスがあった時には大して期待していなかった。が、その新作を観た拙者は制作スタッフに脱帽した。特撮技術・ストーリー共に非常に優れていて、大人の鑑賞に充分に耐え、ゴジラ映画にヒケをとらないエンターテイメント作品に仕上がっていた(むしろ、ゴジラ映画より面白いかも?)。続く2作も、前作に勝るとも劣らない出来映えだ。
さてここでは、その平成版ガメラ三部作に登場する鉄道に注目する。いずれの作品も、DVDが発売されている。
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『ガメラ 大怪獣空中決戦』 1995年3月公開 |
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巨大鳥型怪獣「ギャオス」が、JR中央線の中野付近?に突如飛来して、たまたま走行中だった快速電車(オレンジ色の201系)を襲った。先頭車1両を両足でガッシと掴んで日比谷公園?まで運び、肉食であるギャオスは中の乗客を食らう。
さて、「鉄」的にはここで1ヶ所「?」なところがある。映画を観るとわかるのだが、ギャオスが掴んだ先頭車(当然クハ)の次に連結されている車両に、なんと乗務員用ドアがある。つまり、先頭車の次の2両目もクハ! なんと、クハが2両立て続けに連結されていた! 工場への回送列車ならこういうこともあり得るが、映画で出てきた列車は立派な営業列車。201系の前面は非貫通なだけに、ギャオスの餌食になった先頭車の乗客は、2両目に避難できなくて無念の死を遂げたのかもしれないなぁ・・・(爆)
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『ガメラ2 レギオン襲来』 1996年7月公開 |
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札幌市近郊に落下した隕石に乗って?いた蜘蛛型宇宙怪獣「レギオン」は、札幌市営地下鉄の大通駅付近で始発電車を襲った。
前作のように、「鉄」的におかしいところは無い。地下鉄のトンネル内にガレキが積もっているシーン(特撮)と、地下鉄電車の運転シーン(実写)が巧みに編集されているのは見物。
レギオンと共生していた巨大宇宙植物が仙台市内で大爆発し、仙台が壊滅状態になったことを告げる日本テレビのニュースのシーンがあるが、台風や地震の時にも流れる「JR○○線、全線不通」のテロップには現実味を感じさせられる。
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『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』 1999年3月公開 |
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映画の冒頭、渋谷の上空でガメラとギャオスが空中戦!(ヲイヲイ、そんなところで空中戦なんかやるんじゃないよ! >ガメラとギャオス)。
ガメラが吐いた火の玉で撃墜されたギャオスは、JR渋谷駅(というか東急百貨店)に落下する。当然、JR渋谷駅の山手線ホームの屋根は崩れ、たまたま停車していた205系は、悲鳴をあげる乗客もろともガレキの下敷きに・・・・。
後半部分では、奈良から飛来した古代怪獣「邪神(イリス)」が京都市街地に出現し、ガメラと格闘。その巻き添えをくって、出来たばかりの京都駅ビルはメチャメチャに破壊される。
渋谷駅のシーンでは、ガメラがトドメに放った火の玉の影響で、渋谷一帯は火の海に・・・・。渋谷名物のハチ公像が炎に包まれるシーンはスローモーションで撮られていて、なかなか印象的。
京都駅ビル破壊シーンはあまりにも大胆なので、JR西日本がクレームをつけるんじゃないかと思ったが、この映画の公開にあたり、JR京都駅で「ガメラ展」をやっていたくらいなので、むしろJR西日本は本作品に協力したのかもしれない。
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2003.8.23 |