・・・・などと書くと、「ここは鉄道のホームページじゃないのか?」というお叱りをいただきそうだが、鉄道のライバルとはいえ、鉄道を乗り歩くだけの旅でも駅から駅への移動などでお世話になることもあるし、「鉄道ジャーナル」誌にはバスのページもあることなので、ここでは「鉄道のパートナー」としてご理解いただきたい(^^;)。
拙者が旅先でバスに乗るときは、やはり駅と観光地との間を行き来するケースが多い。いくら鉄道偏重の旅とはいえ、金沢まで来て兼六園を見ないのは淋しいし、岩国まで来て錦帯橋を眺めないのもまた侘びしい。全国的に有名な観光地なら、やっぱり足を向けたくなる。
また、駅から駅へ移動するケースもある。例えば2つの盲腸線の終着駅が角を突き合わせるように隣接していて、その両駅間を結ぶバスがある場合にはそれを利用することがある。似たようなケースとしては、盲腸線の終着駅へバスでアプローチする場合もある。ただ単に盲腸線を往復するよりも変化があって面白いだろう。 以前JR牟岐線に乗りに行った時、高知の「はりまや橋」からバスに乗って室戸岬をぐるっと回り、当時終点だった海部駅まで行ってそこから乗車したことがあるし、JR久留里線の終点である上総亀山駅から小型バスに乗って、JR外房線の安房鴨川まで出たこともある。
バスの旅のいいところは、何と言っても沿線の町々の風景が手に取るように見えるということだ。時には路地裏のような細い道に入り、家々の軒先をかすめるように走ることもある。バスよりも速度が比較的速い鉄道では、こういうことはなかなか難しい。
バスの旅は、何も遠くまで行かなくてもできる。その気になれば、自分が住んでいる街を走るバスでだって可能だ。
拙者が住んでいる東京23区内の場合、都営バス・民営バスの路線がそれこそ網の目のように張り巡らされている。その中には、駅と駅とを結ぶバスも数多い。普段なら電車で移動してしまう区間を、あえてバスに乗るというのも面白いのではないか。
例えば都営バスの路線で、新宿と秋葉原を結ぶ「秋76」系統がある。併行するJR総武線なら30分弱の区間だが、「秋76」系統はほぼ同じ区間を倍の1時間近くかけて走る。普通の人なら起点から終点まで乗り通すようなことはまずしないだろうが、拙者は時間に余裕がある場合はこのバスに乗る。家の近くに「秋76」系統が停まるバス停があることも理由のひとつだが、飯田橋・神楽坂・若松町といった街並みを眺めながら行くのは、なかなかいいものだ。
こうしてみると、バスの旅もまんざらではないと思う。とはいえ、かつてローカル私鉄や路面電車が通っていた区間を行くバスには、どうも好意を持てない。やはりこれは、「鉄」の性か?(^^;)。
*本文中に記した都営バス「秋76」系統は、都営地下鉄大江戸線全線開業に
伴い、2000年12月11日限りで廃止になりました。
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