旅に出ると必ずお世話になるのがホテルや旅館である。かつては周遊券と夜行列車を駆使して宿代を浮かすという人が多かったが、夜行列車が削減された今ではなかなか難しいであろう。
拙者の旅は観光よりも各地の路線の乗り歩きがメインだから、よく観光地にあるような「○○観光ホテル」の類に泊まることはまず無い。もっぱら、駅から歩いて数分以内のところにある「駅前旅館」を愛用している。
商人宿のような小規模なところが多いから、広いロビーや卓球台がある娯楽施設は皆無と言っていい。何とも味気ないように感じるが、一晩を快適に過ごせればいいのだから、それで充分である。
宿の食事も凝ったものはまず無く、朝食なら生卵・焼き魚・味噌汁・漬け物など、典型的な日本食が大半だ。時には土地の名産品が出ることがあるが、乗り歩き旅行者にはこれまた充分である。
部屋はというと、これはほぼ間違いなく和室である。たいていは6畳ほどの広さで、14インチ程度のテレビと貴重品入れの金庫と小さなテーブル(というよりもちゃぶ台と言った方がいいかも)と、くたびれた座布団(笑)があることが多い。冬場ならテーブルの代わりにコタツが置いてあることもある。テーブルの上にはティーバック式の緑茶・熱湯が入ったポット・急須・茶わん・簡単な茶菓子がたいてい用意されている。
「駅前旅館」だけあって、泊まる部屋のカーテンを開けると駅前風景が見えることがある。部屋で駅前風景を眺めながら缶ビールでも飲んだり、明日の乗り継ぎスケジュールを考えたりするのもまた一興である。
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