列車の旅での食事で駅弁と並ぶものは、やはり駅での立ち食いソバ・ウドンであろう。むろん時間があればどこかの食堂やレストランでゆったり食事をとるのがいいに決まっているが、列車の乗り継ぎ時間があまり無いような時には実に重宝な存在である。ちょっと大きな駅にはほとんどあり、値段が安いというのは安心感がある。
かくいう拙者も旅に出るとここには何度かお世話になる。拙者は猫舌なのでアツアツのソバやウドンを素早く食べるということは出来ないが、駅の案内放送や列車のタイフォンなどを耳にしながら食べるのはなかなかオツなものだと思う。
拙者が食べるのは、だいたいが天ぷらソバである。特に理由は無いが、天ぷらソバがメニューにない立ち食いソバ屋はまず無いだろう。肝心の味の方は、たいてい「可もなく不可もなく」といったところだが、関東の某大手私鉄の立ち食いソバ屋は最悪だ。その沿線にある有名観光地の名前を冠したソバなのだが、何とも薬臭くて食べられたものではない。どちらかというと味音痴の拙者でさえ、どうしたらこんなに不味くなるのかと不思議に思うくらいだ。何駅かで食べてみたがどこも同じ様な不味さなので、店員の腕が悪いということではなさそうだ。
逆に「ここはとても美味い」という駅は特に無いが、昔ながらの姿を留める駅のはなかなか格別である。いくら美味くても、高架駅や駅ビルではあまり気分が出ない。JR上野駅13番線の隅にある立ち食いソバ屋は、なかなかいい雰囲気だと思う。立ち食いソバ・ウドンというのは雰囲気で食べるものなのかもしれない。
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