1年先輩のその人は、故郷の山河で遊んだ内の1人です。いじめられもしましたが可愛がられもしました。とにかく山、川が遊び場だった当時、燃料になる杉の葉っぱ拾い(これはこどもの重要な仕事)、春にはヨモギ、ゼンマイ、ネマガリタケの筍など山菜採り、秋は木の実、キノコ採りと、よく行動を共にしました。勿論2人だけで遊んだ訳ではなかったが、強烈な印象で残っていることがあります。
春先、小鳥たちは活発に活動している。巣作りも盛んだ。いけないことだと今思えばあるのだが、その巣にヒナが孵った頃を見計らって取りに行くのです。雛をこども心に育てようという思惑です。
20メートルにも及ぶ杉、直径は60センチを優に超え、樹齢80年クラスの大木です。
天辺に巣はあります。無言でセミのように、無論抱えられないので木のこぶをつかんで登り始めました。真似をしながら自分も後を追います。しかし半分ぐらいまでしかいけません。
その人は、枝が折れることなど全く眼中に無いかのごとく、到達して、カラスの赤ちゃんを抱いて降りてきたのです。それも2羽も。欲しくてたまらなかった自分ですが、それは要求できませんでした。そのときつくづく本当にこの人はお猿さんのように木登りが上手いのだなーと感心しました。
そのあとの・・・、実は、木に登っているときから親鳥2羽でさかんに攻撃というか警戒して、木の周りを飛び続けていました。悲しそうな鳴き声だったことは言うまでもなく、今でも残っています。
先輩は家に帰って(自分の家も近く)、少し大きめのみかん箱で鳥かごを作成し、しばらくは餌など与えていましたが羽も大分おとな並になってきて、さあーもう大丈夫、きっと飛び立てると思った翌日にどうした訳か2羽共動かなくなってしまったのです。庭にお墓を作って埋めてあげたのですが、2人でやはり捕らなければよかったかなとそのときは後悔しました。
だが近年考えさせることはこどものとんぼ、かぶとむし、くわがたなど昆虫類の虫捕りを大人が禁止することです。
簡単にはこどもに捕まるものではないからそこでいろいろ工夫して考える。大いにいたずらをしたり、生け捕りにしたりして遊ぶ、そして結果かわいそうとかそのものの痛みが理解できる。そういった教育をして欲しい。
最も禁止せねばならないのは大人の側にある。捕まえて、商売にしようなどとは論外です。
それでは、また。