樂の音その61

樂の音その61



鴻之会 プチ演奏会
07/9/25
 りっちゃん

田口拓師匠についてまだ5回しか教わっていないのに、内輪とはいえ、長唄を知っている人の前での演奏。8月26日のこげらの「みんなの音楽会」で「虫の声」をやった時も、あがりまくったし、ここの所体調も悪く、どうしようかと散々悩んだのだけれど、場数を踏んだ方がいいだろうと、出ることにしました。出来は、うー、上がった上がった、撥の空振りもしたし、左で押さえるのを忘れたのもあったし・・・でも、「京の四季」はいい音でしたよ、と師匠が言ってくれたし、「山寺の和尚さん」は楽しい曲だし、練習でつっかえた所はうまくいったし、師匠と合わせなければならないところはピタリと合ったし、「ま、いいかぁ」。

若い師匠というのもあって、気楽におしゃべりしてしまう。前回の練習で、「ピアノの発表会で眠くなったことがあった。レベル順だと変化がないから・・・」などと偉そうに言ってしまったのだけれど、いやぁ、全然退屈しませんでした。長唄って、リズムカルだから、楽しく聴けちゃった。先輩方も「上がった!!」って言っていたけれど・・・「勘所」って、難しいねぇ。田口師匠の音と比べて若干違うかなぁというのはあった。今の私にはその位しかわかりません。皆さん手や指がタッタカ動いているだけ凄いです。師匠は、一緒に演奏するほかに、自分と弟子の三味線の曲中での調弦、掛け声、解説、司会まで、八面六臂の大活躍。ご苦労様です。で、「曲の余韻を待たずに終わりの挨拶があった。間をおいた方がいい」などと新米の私も含め、弟子に注意されちゃったりして・・・で、そんな雰囲気がすごくいいなぁと。

三味線も高音部が入ったり、掛け合いがあったり、演奏上の変化があって面白かった。「娘道成寺」の唄は、高1の時に父にさらってもらった事があったので、懐かしかった。声の出し方が違うと言われて教わるのをやめてしまって、今思うと惜しかったかな。田口拓作曲の「甲斐の秋の夜」では、メンバーが三味線でなくソプラノを歌った。合唱経験者だそうで、そういう発声法と、長唄の発声法の小林百合先生とのハモリが、変わっていて面白かった。小林先生の声は日本語がとてもはっきり聞こえて、よく響いている。その響く場所が、私たちが普段歌っている時の場所と違うなぁというのはわかるのだけれど、下手にマネをすると喉をつぶすだろうなぁとも感じた。違いがわかれば、どっちも歌えるかもしれないけれど・・・

三味線の山本英利子先生は、宴会でも話題になったのだけれど、とっても柔らかい撥捌きなのに、芯の通った力強さのある響き。大きい音というのではないのよ。ああいう声を出したいなぁ。

鈴木囃子のワークショップの時に、調べ(小太鼓)の叩き方で、叩いた後、撥を皮につけたままでは響きが悪くなると注意されたのだけれど、三味線でも、叩いたままっていう時が私にはあるみたい。それが、田口師匠のはちゃんと元の位置に戻っているのよね。棹の持ち方もみんなより縦。私は左手が疲れちゃうので、多分もっと下がっていると思う。いつも対面で教わっているからすでに気がついていてよさそうなものだけれど、今回初めてそんなことに気がついたよ。発表会って、勉強になるねぇ

それと、もう一つ意外だったのが、それぞれ一人づつ教わっているのに、みなさん仲良しで気さくにおしゃべりしている。私なんかほとんどの人が「初めまして!!」なのに、とっても親しくしていただいて楽しかった。三味線を弾いていても身体が自然に動く、聞いていても当然リズムを取っている。クラッシクの演奏会で、客がじっとしているってなんか不自然。感動したらその場で拍手していいんじゃないか。歌舞伎の掛け声って素敵だよね。熟練しないと出来ないけれど・・・なんていう話も出たなぁ。話題も冗談も一杯。忘年会もあるそうなので、楽しみにしていよう。

会場は、入曽の「花音」(かのん)というお店。舞台(宴会場ともなる)付きで、マスターは鴻之会の会長。時間が押してマスターの演奏が中止になったのは残念。月一回、何かしら演奏会を企画しているそうです。お料理、おいしかったので、残さずすべていただきました。ご馳走様です。

先生方の演奏の一曲目(田口拓作曲)は「マズルカ」からヒントを得たとか、三味線のテクニックを使いながら、洋楽?東欧風?なんか全く違う雰囲気の音楽で、それもまた面白かった。田口師匠はなかなか前向きな方でもあるのだ。「鴻之会」なんて名前があるなんて知らなかったけれど、会の雰囲気がいいのも、師匠の人柄からだろう。いい師匠に巡りあえてラッキー!! 師匠の今日の講評は、「皆さんそれぞれやりたい!楽しみたい!と、積極的に挑戦した。そのことが自分にとってもうれしいです」との事でした。

演奏された曲目は、
  第一部 鴻之会メンバーによる演奏
  1、京の四季、山寺の和尚さん
  2、松の緑
  3、鶴亀
  4、俄獅子
  5、花見踊り
  6、秋の色種
  7、多摩川
  8、時雨西行
  9、梅の栄
 10、甲斐の秋の夜
 11、娘道成寺
  第二部 若手長唄演奏家による演奏
    三味線のための舞曲
    長唄「勧進帳」






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