樂の音その１６

アベベルムコルプス

05/5/16

　りっちゃん

イン西東京の演奏会、大成功でした。本番とオケ合わせの３連荘はきつかったけれど、そのときから”いいぞ”という感触はあったのですが、なんといっても演奏中の指揮者の笑顔、これは満足できる演奏をしているんだと自信を持って、楽しく歌えました。

指揮者のこういう顔を見ながら歌うのは初めてだったという団員も、嬉しそうでした。

個人的には、"胸を膨らます"戦法、ほぼ成功なれど、モーツァルトのサンクトスでは、廻りの声に邪魔になりそうで､控えてしまいました。でもすぐ復帰できたし、ハイドンはばっちり。…んでも、それがアンケートの中の｢届かなかった声｣になっていたりして…心配。悩むんだよねぇ。声をここで出すべきかどうかって、いつも。

団としては、ソプラノもとっても好評でした。｢天使の声」というのもあったよ。アンケート、全部は見ていないけれど、枚数の多さからいっても、感動してもらえたんだなぁと嬉しくなりました。友達の評では｢往復３時間かけた身としては、短かった。綺麗な演奏をもっと聞きたかった｣｢制御された、しかもナチュラルな声で、オケとのバランスが取れていて、聞きやすかったです。」「クラッシクになかなか触れることがないのですが、指揮者の井崎さんの、ひとつひとつの手の動き、ソロの人、オーケストラの人、合唱の人に敬意を表す仕草、そして笑顔、素敵でしたね。旨く言えないけど、楽しかったです。」

さらに嬉しいのが、2曲の作曲家の違いがわかったという人、それに、ハイドンが好きになったという人がいたこと。ハイドンだーい好き!!の私としては、どんどんファンが増えて嬉しい!!

意外だったのが、アンコールの｢アベベルムコルプス｣に感動した人が多いこと。もちろん、団員は早くから暗譜して張り切ってはいたけれど、戴冠ミサ、戦時ミサに比べたら、練習量はさほどでもないし、ボロの出やすい難しい曲だから、これを誉められたのなら、合唱団の声がひいき目でなく揃ってきているんだと思えました。

団員数は目標８０名を若干下回りましたが、トラさんなしで、この人数とはとても思えない迫力ある声で我々の頭上を飛んでいきましたよとオケの方にも言われて、グッフフ。

練習中の安藤先生も誉め上手だったけれど、井�ｱ先生も誉め上手。アルトの押見さんには「思わず祈っちゃいますよ」、ソプラノの平井さんには｢ブラボー最高です｣。それでいて、ソリストにノコベンをさせったって言うから、すごい指揮者です。最初のオケ合わせの時、それぞれがすばらしいけれど、４人揃うとちとうるさいなぁと私は音感ないのでただそう思っていたのですが、４人のバランスと音色が今ひとつあっていなかったらしく、ノコベンになったようです。何しろ４人ともどちらかというとオペラを歌う方のようで、迫力があるんですよね。それを抑えるのに、｢皆さんの声は充分に客席に届きますから…｣って、言い方上手だなぁと感心しちゃいました。

マッチョ井�ｱの筋肉も見せていただきました。2の腕は意外にも細く、肘から手首にかけての筋肉が発達しています。しなやかな指揮をするには2の腕に筋肉をつけてはいけないのだそうです。なーるほど、と、勉強にもなった2次会でした。合宿で例えとして剣道の打ち込みをされていましたが、｢いい質問です。剣道のクラブに入って、3日で止めました。｣｢あの頃から協調性がなかったのかなぁ」・・・指揮者ってわがままですよね。自分は演奏しないで、人に要求ばかりして…というのはオケの人が書いた本に書いてあったのですが…井�ｱさんいわく、「だから、僕はあきらめないんです。｣

楽譜をまず読む。それから書き込み、どこから何の楽器が出てくるか、歌詞の意味や表現なども。キリエ１曲５分の予習が一日になることもあるとか。私たちに教える最初の日には、私たちがどこまでできているか、何をどこまで要求できるのか、を考えなくてはならないし…と、なかなか指揮者も大変なお仕事らしい。それから要求に際しては、いっぱい引出しを作って、どの言葉が一番適切かも考えているとか。ウフッ。合宿で、｢危機感があります!!｣と言ったのは、ちょっと脅しも入っていたとか。いろいろネタがばれてしまうよ。

真面目な話し、今回は、バロックの時代の演奏形式、オケとソロと合唱が一つになること、やりたかった戦時ミサができたこと、合唱団への課題、バロックの曲は基本的な和音が多いから、その中での自分の役割（同じ音でも、和音の中の位置によって違いがある）を感じ取って歌うこと、それが満足いく結果になって嬉しいとおっしゃっていました。

次の曲はプッチーニのグローリアミサ、練習日に｢これがまた綺麗な曲で…｣とおっしゃった時のよだれのたれそうな、いえ、にこやかな顔が目に焼き付いています。また、ちょっと遠いんだけどな、ちょっと休みたいんだけどな、あの顔思い出したら、頑張っていこうかな。いずれにせよ、6月はひいらぎだぁ。