ああ、月日の流れとは早いものです。あれから1カ月もたってしまいました。
4月24日、久し振りの「The WILL」のライブ。南青山マンダラにお越しいただい皆様ありがとうございました。
いらっしゃれなかった皆様、当日は「ラテンの歓喜と哀愁を込めて」と題し聴いていただきました。
以下が当日のメニューです。

1st
1 WAR CRY -鬨の声- (Akira Horikoshi)
2 A Wall of Wine Color (Tuyoshi Watanabe)
3 Anomalocaris (Jun Fukamachi)
4 ハバネラ (Bizet)
5 CUBA (Akira Horikoshi)

2nd
1 Improvisation (The WILL)
2 イギリス組曲5番/パスピエ (Bach)
3 The BOLERO (Akira Horikoshi)
4 誰も寝てはならぬ (G.Puccini)
5 The Movement (Akira Horikoshi)

EN 天使の死 (Astor Piazzolla)
~ Escualo (Astor Piazzolla)

ラテンといっても僕たちなりのラテンアプローチですから、ハバネラあり、ボレロあり、フラメンコあり、ピアソラあり、プッチーニまでありの拡大解釈です。プッチーニは余計だろうって? いえいえ、今僕たちの心はイタリアに行きっ放しです。

なぜなら昨年末、イタリアのプログレッシブロックのサイトが主催する「プログアワード2006」にベストアルバム賞とベストプロデュース賞にノミネートされました。本戦は投票式で大賞はいただけませんでしたが、イタリアで発売もしていないCDに評価をしていただくとはなんと嬉しいことか。そもそもどうやって僕たちのCDがイタリアに渡ったのかさえわからないのです。

まもなくそのサイトにレビューが載り、楽しみに見てみると全部イタリア語・・・。そりゃそうですよね。よしっということで、こんなときに便利な翻訳サイトでイタリア語から英語、英語から日本語と訳したところ「・・・・・?」 散文詩のようになってしまいました。

例えば、僕が「The WILL」を結成したいきさつ

13の年老年以来、それが典型的にはとりわけ彼自身接近するツールを演奏し始めたという東京の日本人ドラマー/彼女自身/主題のものおよびジャズ技術にそれ自体。バイオリンTsuyoshiワタナベの教師と一緒に、Red*Redソウル会社から、および教師および作曲家6月のFukamachi(計画とキーボード)に来て、それは、無関係で去らないこの仕事から始まるこのトリオを作成します。

続いて "弔いの鐘" のレビュー

親密な雰囲気、微妙、Fukamachiからのある対位法で、それは、バイオリンが背景をジャズを踊る、より創造的な構造に面するその人の能力(古典 的ツール、純粋に)のフィールドから外に出るように見えるコースに彼を結び付けます。堀越(ドラムとゴングの間で)のソロの後、リスナーは、再び彼が素晴らしい形式中のFukamachiから大きなクラスと共に終了される憂鬱な大気の中で吸収されていたのを見つけます。

まあ当たらずとも遠からずという感じですが、これはちゃんと翻訳していただこうということになりました。

インタビューもしましたので、あわせてアップさせていただきます。どうぞお楽しみください。 堀越 彰








” The Will ” とは、単にひとつのバンドなのか、それともオーケストラか?  はたまた天才の集団か? 
”The Will ” は、ドラマー堀越彰の考えから生まれた。東京出身の彼は、13才でドラムを叩きはじめ、御多分にもれずジャズに心頭した。彼堀越とRed Red Soul Company というバンドからのヴァイオリン奏者 渡辺剛、キーボード奏者 / 作曲家の深町純はトリオを結成し、” The Will ”はデビューを果たす。 1970年代から日本のキーボードの第一人者である深町は、並外れた技術の持ち主で、主にジャズ/フュージョンのジャンルでたくさんのレコードを製作してきた。常に自分の音を厳しく追及する音楽家であるため、いつも自ら自分のアルバム製作を手がけている。深町はSteve Gadd とも競演している。1978年の ” Jun Fulamachi & The New York All Stars / Live ” は近年再評価され、2002年に再びCDとなって発売されている。

Rock-You という比較的小規模なレーベルのプロデューサーである木下一郎がこのアルバムを製作した。
ほとんどの曲は堀越の作曲だが、A. Piazzolla の曲と G. Puccini の曲のカバーバージョンも含まれている。サウンド・エンジニアの大野進は並外れた音響テクニックを披露している。特に、堀越のドラム/パーカッションの録音は大野の職人技と最新の録音機材の賜物だろう。トリオが自分の目の前で演奏しているような錯覚に陥る。また、堀越は、動く彫刻を造る立体造形作家 田中真聡とともに「SOLO-ist」というパフォーマンスを行っている。「SOLO-ist」は音楽と美術の境界を超越した新たなるパフォーミングアートであり、このパフォーマンスで "The WILL" の曲が使われている。ドラマーのボディーパフォーマンスと動く彫刻がリンクする光と影のパフォーマンスは、コンサートの既成概念を覆すものだ。

------ #1 War Cry (Akira Horikoshi)------------------------------
恐ろしいほどの壮大さと荘厳さからこのCDは始まる(「SOLO-ist」に使用されている)。この1曲目はピアノの印象的な和音、力強いパーカッション、そしてヴァイオリンの美しい旋律がジャズの雰囲気と一体になって進む。特に深町のピアノはこの曲にプログレッシブ・ロック的なタッチを与えている。生粋の愛好家は気に入る違いない。

------ #2 Escualo (A.Piazzolla)-------------------------------
最高の音質の1分半にも及ぶドラム・ソロから始まる。その後、聴き手はPiazzollaのタンゴの世界に導かれる。渡辺の旋律と同様に、他の2人の音は曲全体に重要な役割を果たしている。

------ #3 Passing Bell (Akira Horikoshi)-------------------------------
深町の繊細で優雅な音色に始まるこの曲で、ヴァイオリンはクラシックの領域を超え、ジャズの創造的なアプローチをする。パーカッションとゴングのソロを経て、もの悲しさに包まれながら曲は終わる。

------ #4 Anomalocaris (Jun Fukamachi)-----------------------------------
この曲で深町は自分の音楽の本質を表現している。ロマンチックな雰囲気からフュージョンのスタイルに変わり、そしてモダン・ジャズに移る。ヴァイオリンはE.ギターに変貌し、ロックの世界に入る。最初は、単純な展開の曲に思えるかもしれないが、聴きこんでいくとその複雑さに気づくだろう。

------ #5 A Wall Wine Color (Tuyoshi Watanabe)--------------------------------------
渡辺の旋律は深町のピアノによって悲しさを強調され、また、やさしく包みこまれる。魂にも身体にも安らぎが得られる曲。

------ #6 Nessum Dorma ! (G.Puccini)------------------------------------------------
現代版トゥーランドット。渡辺はこの有名な旋律を感情を抑えて歌う。深町はこの曲でもクラシックよりもジャズを思わせるアプローチをしている。

------ #7 The Bolero (Akira Horikoshi)--------------------------------------------
堀越作曲のボレロ。バイオリンの役割が大きすぎる感じもするが、音響の面でとても優れた曲であるしインパクトも強いので、この「ボレロの自由な改訂版」は誰もが満足するはずである。

------ #8 Truth (Akira Horikoshi)-----------------------------------------------
この曲は一番受け入れられにくいかもしれない。しかし、トリオのすばらしい技術は随所に見られ、また深町のオルガンと堀越によるフィナーレは圧巻である。悲哀や情念のようなものが、渡辺の旋律からにじみ出ている。

これはプログレッシブ・ロックだろうかと疑問に思う人もいるかもしれない。特定のジャンルに属さない音楽であると言えるだろう。しかし、音楽はすべてどこかのジャンルに属さなければならないのだろうか? この音楽は、聴き手が気づかないうちに、その気持ちを動かす。伝統的なルールに従わなくても、または新しい技を駆使しなくても、すばらしい音楽は生まれる。音楽家が奏でる音は、まっすぐ聴き手に届く。そこには「ジャンル」などという狭い文化的な背景は存在しないであろう。


30.03.2007 - Fabrizio Catalano






東洋、我々西洋人にとってまったく未知の伝統を持つ場所。
それと同時に、相当な価値と魅惑的な何かをその哲学の中に持っている場所。
そして、その哲学には、そこに住む人々の生活スタイルや習慣が大きく映し出される。
音楽について言えば、彼らは、他の世界に対してあまりオープンではないし、その結果、よく知られた音楽家は少ない。西洋人にはわかりにくいという難点もある。しかし、実際には芸術性の高いアーティストや作品は数多く存在する。それらの「聴く価値のある」東洋のアーティストの中のひとつのプロジェクトが ”The Will ” である。

このバンドの音楽をジャンル分けするのは難しいが、それぞれの楽器の演奏を極めたプレーヤーたちで構成されている、ということだけははっきり言える。彼らの音楽は、まずそれぞれの楽器の自然な音、エフェクターを通さない生の音を、様式にとらわれないメロディーに乗せてミックスしていくことから始まっている。

以下は、このバンド ” The Will ” ( この名前はこのバンドに対する並外れた情熱と愛情を伺わせる) のリーダーのインタビューである。

 堀越 彰――彼はソリストになるべく、可能な限り自然な状態でのドラム演奏を試みている。

1.
The Willはどのようにしてはじまったのですか?
そして、これからはどのように発展していくと思われますか?

2001年、舘形比呂ーというダンサーの公演で、3人は出会いました。リクエストはアストル・ピアソラのバレエ組曲「Tango Ballet」をたった3人で演奏することでした。私達はこの無謀なリクエストに躍動的で官能的なアレンジで答えることが出来ました。日々変化する即興性をも持って。その後、2004年に僕が主催、演出するパフォーマンス「SOLO-ist」に渡辺剛、深町純の2人を招聘しました。そのパフォーマンスで「WAR CRY」が生まれ、ユニットとして活動を始めました。音楽的には3人がそれぞれの楽器の限界を超え、フルオーケストラのダイナミクスを表現することがより追求されるでしょう。活動的には日本国内と同時に海外、特にヨーロッパの人々に僕たちの音を紹介して行きたいと思っています。


2.
録音の質はとてもすばらしいです。どのようにして録音したのですか? 特にドラムの録音方法についてお聞きしたいです。
それから、エンジニアの大野氏のセッティング等について、メンバーの3人が意見を言って調整したのですか?
それとも、彼を信頼してすべてを任せたのですか?

大野氏との出会いはこのアルバムにとって重要な要素の一つだと思っています。彼は日本の音楽の常に中心にいるエンジニアです。そして深町さんの旧友でもあります。その意味でももちろん信頼しています。大野氏は「ベーシストがいない分、バスドラムの音色とレベルアジャストに気を遣った」と言っています。僕からもリクエストをしました。例えば「Passing Bell」のドラムの音は日本の鐘の音をイメージさせたい、プッチーニの「Nessum Dorma!」は可能な限り音を制限し空間を作ることによりそこに荘厳なオーケストラストリングスをイメージさせたい、と。このバンドのキャッチフレーズは「3人にして無限のオーケストラ」ですが、大野さんの音作りは、3人の音を確かに「無限のオーケストラ」に導いたと思っています。


3.
あなたたちの音楽は特にどのジャンルに属するというものではないと思いますが、私の考えでは「プログレッシブ・ロック」であるともいえると思います。
ジャズのほかにあなたが経験した音楽は何ですか?
あなたの音のインスピレーション、発想はどこから来るものですか?

このアルバムで僕がやりたかったことは、1本の映画を見終わるように聴き終えてほしいということでした。特定の音楽的なカテゴリーを意識したことはありません。これまでに僕が経験し強くインスパイアーされた音楽はたくさんありますが、アルゼンチンタンゴ、フラメンコ、インド音楽、日本の伝統音楽、フリースタイルジャズ、クラシックなどは特にツアーやセッションに参加するチャンスがありました。その経験がThe WILLのサウンドを作ったとも言えるでしょう。

僕は音楽の中のドラムのポジションを変えたいと思っています。僕が表現したいのはフレーズやリズムパターンではなく、空間、雰囲気、現象。風が吹き抜けるようにシンバルを奏でたいし、波が押し寄せるようにクレッシェンドし鳥が舞い降りるようにデクレッシェンドしたいと思っています。それらの音に必然性をもたせることが僕にとってのチャレンジです。


4.
深町氏はすばらしいプロの音楽家であり、あなたはドラムの達人です。
(2人の「完成した」プロフェッショナルが)どのようにして、衝突なしにお互いの音楽を融合させるのですか?

僕たちの間には幾つかの共通点があります。ひとつは即興演奏に対する執着、もうひとつは日本人としての美意識を強く意識している所です。衝突はなかったですね。おそらくこれからもないでしょう。なぜならこのグループを進めるにあたり、決定権を僕が担っているからです。深町さんはそれを認めてくれています。我々はそれぞれのエゴにより解散していったグループをたくさん知っています。その二の舞は踏みたくないと強く思っています。


5.
あなたたちのコンサートのDVDの発売予定はありますか?
(または、もう発売されているものはありますか?)

「The WILL」のDVDではありませんが、「The WILL」が活躍する僕のパフォーマンス「SOLO-ist」のビデオはディストリビューターが決まれば発売したいと思っています。「SOLO-ist」は音楽と美術の境界を超越した新たなるパフォーミングアートの提案です。動くオブジェと打楽器群が中心のパフォーマンスです。そこには「The WILL」の3人が出演しています。アルバム「INFINITY ORCHESTRA」に収録されている「The BOLERO」や「Truth」も含まれています。


6.
渡辺氏はこのトリオの「声」だと思いますが、なぜ「人の声」のかわりにバイオリンを選んだのですか?

渡辺剛の表現力に惚れ込んでいるからです。バイオリンじゃなければいけなかったわけではありませんが、渡辺剛じゃなければならなかった。それだけです。 


7.
The Will の音のコンセプトは何ですか?

このグループのコンセプトはフルオーケストラのダイナミズムをジャズの即興性、ロックの精神性で表現することにあります。そして僕が強く影響を受けた、ラフマニノフ、バルトーク、ピアソラなど偉大なる作曲家と "今" が出会う「音の交差地点」にしたいと考えています。


8.
ヨーロッパでのコンサート・ツアーの予定はありますか?

具体的にヨーロッパに行く予定はありません。ただ、このグループを作った時からの目的でもあるので、あらゆる可能性を求めて常に準備はしています。近い将来、ヨーロッパのオーディエンスに「The WILL」のパフォーマンスを体験していただきたいと思っています。



堀越 彰はとても能力のある音楽家である。彼はまじめで、音楽を愛している。
そして、ドラムという、メロディーを奏でるには向かない楽器だけで、ハーモニーを構成しようとしている。
彼の世界はその独特な音と空気にあふれている。

次回は、彼のまさしく東洋のサウンド ”東方異聞 ”のCD 「A Strange Story From The Far East 」のレビューを掲載する予定である。

堀越 彰 ”The Will ”のオフィシャルサイトhttp://www1.ttcn.ne.jp/play-ground/
このサイトには彼らの活動に関する情報が載せられている。
( 英語のページにもいくつか情報はあるが、ほとんどが日本語のページである)

Davide Mura 協力をありがとう。
20.05.2007 - Fabrizio Catalano






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