ときタマ日記 06年7月31日


アサギマダラ


ヨツバヒヨドリで食事中のアサギマダラ


 昨日一人で赤城の地蔵岳に登った。とにかく物忘れがひどくて困ったものだ。笑い話ですんでいるうちはいいが・・・。途中コンビニに寄ろうとしたら財布も運転免許証も忘れてきたことに気付いた。買い物は車に有った小銭ですんだけどね。カメラ持った、妻が作ってくれたお弁当持った、タオル持った、忘れ物なし。と散々確認して出てきた挙句だよ。山頂で花の写真を撮っていたら、後から来た同年輩の女性がこの花はなんていう花ですか、と僕に聞いたんだ。瞬間「うっ!」と詰まったら、すかさず通りかかった少し若い女性が「コメツツジです。」と答えてしまった。ちぇっ!知ってたのに。知ったかぶりで自慢する折角のチャンスを逃がしてしまった。帰りにアサギマダラに出会って、これも何枚も写真を撮っていたら、後ろを通りかかった若いご夫婦の奥さんの方が、「ほらあの蝶、行くときもいたでしょ、珍しい蝶なんですってよ」と旦那に話している。振り返って「そう、アサギマダラって言うんです。沖縄の方まで飛んでいくらしいですよ。」と話そうと思ったが、アサギマダラのアの字も出てこない。大好きな蝶なのに。旦那は奥さんの歩くのが遅いので少し苛立っていたようで、「ちっとも珍しくなんかないよ」なんてぶっきらぼうに言っている。僕が名前を思い出せば少しは和んだかもしれないのに。名前が出てこないなんてもう毎度のことで、慣れたといえば慣れたが、そのたびに思い知らされる。


 アサギマダラの人気は検索してみるとすぐ分かる。美しさと共にミステリアスな飛翔能力が人気の秘密だろう。目の前のこの蝶が一ヶ月後に九州か沖縄の空を飛んでいるかも知れないなんて、このチビが、この羽で飛んで行くなんて、信じられますか。もしかしてテレポーテーション? やはりロマンだね。彼らは何に導かれて、何があると思って飛んで行くのだろう。


 彼らの飛びっぷりの素晴らしさは、鍋割山の尾根を大して羽ばたきもせずに軽々と越えて、更に高みへ消えて行くのを何度も見て知っているが、花から花へ移動するような時でも遺憾なく発揮される。僅かな風が有れば彼らは羽根を広げるだけで、魔法のようにふわっと浮き上がる。羽を微妙に調節してホバリングをやってのける。おぬし只者ではないな、と言う感じがこんな僅かな動きからもわかるのである。


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