2010.05.14(金) | 石尊山(行人山)・内山城址 | 佐久市内山峡 |
5月だというのにまたひどく冷え込んで、山は雪だ、霜だと言う。その上二日間も冷たい強風が吹きまくった。それで山の花はあきらめて、どこか簡単に登れて面白いところがないかなあ、と探してみた。標高の低い里山もまだ歩けるはずである。それで見付けたのが佐久市内山峡の石尊山である。 |
コース1(石尊山):中村公園登山口11:30→山頂11:55-12:00→途中のベンチ12:15-12:30→登山口12:40 (所要時間1時間10分) 内山峠から下れば、内山で国道254が滑津川を渡る橋の手前で左の狭い林(農)道に入る。中村公園の案内が有る。登山口の手前に造成中の駐車場が有った。工事中でなければ、現在3〜4台は安心して駐車可。 コース2(内山城址):園城寺駐車場13:05→内山城址13:35-13:55→園城寺14:20-14:30 (所要時間1時間25分) 登山口の園城寺駐車場は広く2〜30台位駐車できるが、内山郵便局かJAの前から園城寺駐車場に入る道は、入れるかどうか心配なくらい狭い。 |
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石尊山(行人山) |
内山峠を越えてコスモス街道にコスモスを見に行くと、街道の両側に標高は低いが奇岩、巨石の立ち並ぶ面白い所がある。そこを内山峡と言うらしい。中には岩頭に鳥居が見えたりして、鳥居が有るなら登る道もあるのだろうなあと気になっていた。それが石尊山だった。今回は信州の山々を詳細なイラストマップ付きで紹介しているHP、信州山歩き地図(マップ)を拝見して、参考にさせて頂いた。 |
イラストマップ通りに国道254から林(農)道に入る。入口付近は狭い道である。中村公園という道案内に従う。公園が有るのかと思ったら石尊山そのものが中村公園らしい。マップには車は路肩に、と書いてあるので気にしていたら、まだ未完成だが山側の崖を建機で削った中村公園駐車場が有った。工事をしている様子もなかったので利用させてもらった。 | ||
中村公園駐車場 |
対岸の集落と里山 | 登山口の案内 |
登山口も案内が有ってわかりやすい。ただし、”高いところが苦手な方はご遠慮下さい”と書き添えてある。さて高いところは好きなんだけど、どちらかと言えば苦手だなあ、などと思いながら登る。 |
群れているヒトリシズカ(たいてい群れている) | 登り始めはこんな感じ |
登り始めは新緑の中のしっかりした道。ヒトリシズカがたくさん咲いている。ヤマブキやヤマツツジもちらちらしている。途中にベンチのある小さな広場がある。今入口に倒木が有って登山道をふさいでいる(一応小枝は切り払って歩けるようにはなっている)。 |
ベンチの広場を過ぎると垂直の岩壁の一部を彫り込んだ祠が有る。何も入っていないが岩そのものがご神体かもしれない。 | |||
岩に掘られた祠 | 無事を祈る。 一つだけにしようね。 |
祠を過ぎると、左のような注意書きの看板が有ってプレッシャーをかけられる。そう山は自己責任だなあ。死んでもけがしても誰にも文句は言わないが、それだけじゃあ足らんと言う人もいるんだろうなあ。 | |
まだ土のある急登 | だんだん岩が露出してくる |
注意書きの看板を過ぎると勾配は急になる。土付きのところは頼りになりそうな灌木も少ないし、木の根、草の根もあまり無い。一歩一歩注意しながら登るしかない。楽しに来るわけじゃないけど、トラロープ一本下げてくれると助かるんだけどなあ。管理者としてはうっかりロープや鎖をつけて、事故が起きた時に管理責任を問われたりしたら大変だ、という心配があるんだろうね。でも我々が登る(登らせて頂いている)山ではロープや鎖、当たり前にあるよね。その辺の差は何処にあるのかな。 |
岩に刻まれたステップ | ステップを登って狭い岩の門をくぐる |
岩が露出してくると手掛かり足がかりは多少良くなるが勾配はますます急になる。最後は重なった大岩を登る。大岩の隙間を抜けると、ステップのある大岩がある。ステップを登ってすぐ狭い岩の門をくぐり抜けて反対側に出る。右の大岩の下を回り込むように登るとまたすぐ上に三菱型の隙間のある狭い石の門が有り、下の隙間を抜けてもう一度大岩の反対側に抜ける。大岩の間を縫いながら登る感じ。 |
三菱型の隙間のある石の門 | 山頂手前の大岩 ほら、立ちあがって、はいポーズ |
上の左の写真の右の岩が鳥居を乗せた山頂の大岩。下の隙間をくぐったらすぐ左の岩の上にステップで登り、その上に重なる岩を渡って山頂に抜ける。妻は狭い石門を通過できたことで大満足。太っている人は登れないと書いてあったので気にしていたんだよね。 |
山頂の鳥居と石灯籠 | 山頂の社 |
半端じゃなく凄い所にいろいろ建てたもんだね。どんな人たちがどんなふうにこれを建てたのだろう。 |
山頂の展望 |
左から荒船山、御嶽山、兜岩山 |
お隣の岩峰:似たような岩峰が並んでいる |
下流の千曲川方向 右側中央寄りの緑の山頂が内山城址 |
山頂は展望は良いが、やはり怖くて落ち着かない。写真を撮って早々に退散。心配した下りの急坂も登るときより多少傾斜に慣れたのか、割と不安なく下れた。ベンチの広場まで下って一安心。ゆっくり休憩してカロリー補給。我々の足でも山頂まで25分の山だから、このベンチ何のためにあるのか不思議だったが、やっと分かった。下ってホッとするためにあるんだね。 とにかくこの山面白いが、僕らのように足腰も弱って、体も硬くなった老人向きの山でないことは確か。それでも興味のある方は”自己の責任”でどうぞ。 |
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ヒメイチゲ? |
内山城址 |
所要時間1時間10分の石尊山だけで帰るのはもったいないので、カーナビに表示されている内山城址に寄ってみることにした。特に下調べしてあるわけではないのでどんな城址なのか、車でどこまで入れるのか見当がつかない。途中のコンビニで店員に聞いて見たが全く要領を得ない。名前くらいしか知らないみたいだ。 |
ナビに従って旧道に入ると、車を止めやすい所に警察の派出所が有って、お巡りさんが居るようだったので聞いて見る。すぐ裏の新緑に包まれた里山の上に、丸い山頂を突き出している、一目惚れするようないい山が内山城址だと言う。登山口は園城寺というお寺で、郵便局の前から駐車場まで車で入れると教えてくれた。流石にお巡りさんはよく知っていて親切、感謝。 旧道をちょっと進むと郵便局がある。その前に確かに路地はあるが、車で入るには勇気がいるような道で、まさかねと通り過ぎてしまった。その先のJAの駐車場に止めて、JAの前の路地を下ってきた老人に確認すると、JAの前の道でも車で園城寺まで入って行けると言う。同じような狭い道、対向車が来ないことを祈ってその道に車を入れる。 |
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内山城址 |
200mほど入ると園城寺の観音様やお堂が見え、駐車場はすぐ分かった。道の狭さとは逆に2〜30台位は楽に入れそうな広い駐車場だった。駐車場入口の先の右側が登山口で、内山城と、ハイキングコースの古い案内板が立っている。本丸のあった山頂まで20分程度とある(我々は30分掛った)。 |
園城寺 | 内山城址案内板 |
案内によれば内山城は1500年代初頭の築城で、1546年には武田信玄の手に落ち、武田滅亡(1582年)の翌年には徳川方の武将に攻略されたとある。 |
城址への案内板 | 新緑が素晴らしい里山 |
出だしは墓地の前や畑の畔道のようなところを右に巻いてゆく。途中に衣笠神社の鳥居が有る。右下から登って来る道と丁字路でぶつかり、そこに内山城址への案内板が有る。後は案内に従い山頂まで行ける。 |
オドリコソウ | カキドオシ |
雑木林の道 | ヤマツツジ |
竹林を抜けると明るく歩きやすい雑木林を登る。ヤマツツジが咲き始めている。 |
ヤマツツジ | 崖を巻く |
新緑の雑木林を気持ちよく登る。流石城塞らしく険しい崖や石積が有る。雑木は昔はまきや炭に利用されていたようで、根元から伐採された木の周りから出た芽がそのまま成木なった面白い造形の大木があちこちにある。ベンチが有ったり、浅間山の見える場所もある。 |
山頂の社 | 山頂:内山城本丸跡 |
二の丸、三の丸と思しき、やや平らな部分から一段登ると雑木に囲まれた山頂に出る。広々したふかふかの気持ちのいい山頂である。ベンチで一休みして昼食にした。理想的な散歩道だが誰にも会わなかった。桐生の吾妻山とは対照的である。のんびりしているとやけに銃声が聞こえる。まさかイノシシ猟?。後で地図を見たら近くに射撃場が有るようだ。 |
山頂の展望:浅間山 | 内山城址の標柱 |
山頂は広々しているが、城の本丸部分としてはそれほど広くはない。高崎の根小屋城址の三分の一か四分の一位の広さかもしれない。しかし一段下の二の丸、三の丸まで含めるとかなりの規模の山城だっとことが分かる 山頂からは浅間山が見えるが、本来にらみを利かせていたはずの千曲川から内山峠への街道は、伸びてしまった松や雑木の枝にさえぎられて、枝越しにしか見ることはできない。 |
来た道を下る。登山口の案内図は周回コースが書いてあるが、注意しながら歩いたが分岐には気がつかなかった。 登山口の園城寺は、右の写真から想像されるよりは、はるかに堂々とした大屋根の本堂を持つお寺である。1400年代に開山され、今の本堂は1700年代後半に建てられたものらしい。一年を通してサツキ、アジサイ、ヤマユリ、萩などの花の寺として、特にコスモスと同時期に咲く萩を見に訪れる人が多いと紹介されている。今も横の崖はつつじで真っ赤に染まっていた。良い檀家さんにも恵まれているらしく、景気のよさそうなお寺だった。 |
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登山口の園城寺 |
コスモス街道のコスモスと萩の園城寺がセットで楽しめるように、石尊山と内山城址もセットで楽しめるいい山である。特に新緑の今の時期が歩きやすいのではないだろうか。 |