05.03.27(SUN) 碓氷のめがね橋 西上州


 JR信越本線横川駅から、アプト式だった二世代前の旧信越本線の線路跡を、碓氷第3橋梁(めがね橋)まで歩くことが出来きます。日帰り温泉”峠の湯”で貰ったパンフレットによると、往復約10km、約3時間のコースとなっています。又横川駅前にある鉄道文化むらから、ほぼこのコースの中間にある”峠の湯”までトロッコ列車の運転が始まっていました。横川からこれに乗るのも面白そうです。途中のダム湖、碓氷湖一周(約2km、30分)を加えると、単調な線路歩きに変化が付けられます。湖岸の周遊歩道を含めて全て舗装路で、スニーカーで充分です。今回は”峠の湯”駐車場から歩いてきました。


 コース:峠の湯駐車場10:35→碓氷湖11:10-11:40(湖岸一周・休憩)→めがね橋12:00-12:35(付近散策)→12:50→玉屋13:10-13:35(休憩)→峠の湯駐車場13:40 (所要時間3時間05分)

 この線路跡のハイキングコースは、碓氷峠に抜ける旧国道18号にほぼ平行しているので、峠の湯も、碓氷湖も、めがね橋も、車でも簡単に行く事が出来る。

 駐車場:日帰り温泉施設、交流館峠の湯駐車場(100台位?)。トイレは施設内に入らなくても駐車場の一番奥、トロッコ列車の駅側にある。

 鉄道文化むら、碓氷湖共5〜60台程度は可能な駐車場があり、何処からでも歩ける。駐車はいずれも無料。

碓氷第3号橋梁(めがね橋)


 今回歩いたところは廃線跡とは言え、完全整備のハイキングコースなので、歩きにくい所はまったくない。鉄道の線路としては急勾配(66.7/1000)でも、角度にすれば約4度弱で、ゆっくり歩けば平地を歩くのとそれほど変わらない。その上カーブも穏やかで気楽に安心して歩ける。


 鉄道文化むらと”峠の湯”の間で運転が始まったトロッコ列車は、長野新幹線開業と共に廃線となった、一世代前の旧信越本線の本物の線路の上を走る。鉄道ファンにとっては鉄道テーマパークとトロッコ列車と、旧アブト式鉄道の線路跡をノスタルジックなめがね橋までのハイキングを楽しめて、その上温泉付きとくればここは天国でしょう。
峠の湯を横川の鉄道文化むらに向け発車する
トロッコ列車


 碓氷湖というダム湖とその周遊歩道が出来たのは10年程前のことで、私はその存在を気にも留めていなかったが、今回初めて行って見ると、4季を通じて楽しめそうないいところである。ヤマメ、イワナ、ニジマスなどの放流もされているようで、沢山の釣り人が楽しんでいた。
碓氷湖


 ハイキングコースと平行している旧国道18号は、幹線道路だった昔はとてつもない渋滞道路で、ほこりと排気ガスで、その場所が楽しいなど考えられなかったが、上信越自動車道の開通と共に、行楽のための道路に変わりつつあるようである。今回のスポットの他にも横川をベースに裏妙義、県境の熊野神社へ抜ける旧中山道、霧積温泉など、楽しめる場所が多い。残された自然を大切に整備が進むことを祈る。最近昔の宿駅を復元する例も増えているが、坂元宿もあのままでは如何にももったいない気がするが、これは余計なお世話である。
湖面を渡る風


 碓氷三号橋梁までの道を歩いて感じることは、こんな大きなものを作るのにも人の手しかなかった時代、その時代にこれらを作った職人達の技術の確かさと、誠実さと忍耐とプライドである。解説によると信越本線横川−軽井沢間は明治24年(西暦1891年)に着工され、たった2年間で26のトンネルと18の橋梁を含む11.2kmが建設されたという。殉職者の数も半端じゃなかった。
碓氷第三トンネル


 そんな中で碓氷第三橋梁だけで200万個のレンガが積まれたと言う。トンネルのアーチも全てレンガで人の手で積層されている。気の遠くなる様な数である。これらは既に40年前に使命を終えているが、未だに堅固さを保っている。それはトンネル正面の石積みにも、線路の側壁の石積みにも同じように見て取れる。苔むした石組みは年月に耐えて微塵の狂いもなく、工芸品のような手造りの暖かさと品格がある。国指定の重要文化財だが、こんな技術が当たり前の時代があったのである。
碓氷第三橋梁(めがね橋)


 碓氷湖から沢沿いにめがね橋に至る道もあるようである。さらに沢沿いに上流にある旧信越本線の二つの橋梁の下まで、整備された舗装の歩道があり、その道は標高差約250mで尾根の旧中仙道まで続いている。ここを中山道まで登り坂元宿に戻る手もあったなと後で思った。








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