04.06.29(TUE) 早池峰山 岩手県


 ハヤチネウスユキソウを見るために往復1000kmもドライブするなんて、とても正気の沙汰じゃないよね。でもそれを言ったらおしまいよってことは世の中に一杯ある。さあ熱が冷めないうちに、やれるさって元気のあるうちに、今年が最後かもしれないよ。東北生まれの妻に、一度も東北旅行をさせてやれなかった罪滅ぼしに、平泉と松島の駆け足観光を兼ねて出かけることにした。

コース:河原の坊登山口7:35→打石10:10→早池峰山山頂10:55-11:15→テーブル岩12:40-13:00→小田越登山口13:35→(林道歩き)→河原の坊登山口14:05 (所要時間6時間30分)

東和ICから大迫(oohasama)町、岳までの道は2車線の走りやすい舗装路で何の問題も無い。岳から河原の坊、小田越までは走りやすい舗装の林道だが勾配はかなり急で道は狭い。この時期路線バスもツアーのバスも小田越まで入るのですれ違いは気が重い。一般車両は河原の坊まで。ゲートは無い。

河原の坊駐車場は20台程度止められそうな駐車場が3面ほどある。水洗トイレ(有料:協力金)あり。
トイレは山頂避難小屋にもある。山頂避難小屋は非常にしっかりした造りで、上下2段でつめれば4〜50人ほどは泊まれそう。手入れは行き届いている感じ。
打石付近の登り、河原の坊登山コースの6割位はこんな感じの登りで、標高差約850m。滑りやすい蛇紋岩で気が抜けない。

 民宿体験:28日の夜は岳の大和坊さんにお世話になる。ハヤチネウスユキソウのシーズンにはまだ少し早いのか泊まりは我々だけ。部屋まで運んでくれた夕食は山菜の小鉢中心で我々中高年向き。ボトル1300円(ハーフじゃないよ)の早池峰ワイン1本で2人でご機嫌になる。部屋の内装も新しく寝具も清潔でぐっすり眠れた。
 夜8時には寝てしまったので朝4時ごろ雨の音で目が覚める。おいおい冗談じゃないよ。妻も不安そうに障子を空けて外を見ている。なんとなく登山ツアーの無謀登山の気持ちがわかる。
 6時朝食、雨は上がっている。民宿の小母さんが今日は曇りだけど昼間は降らないそうだから大丈夫ですよと元気を付けてくれる。ようし行こう。 

 7時過ぎに河原の坊着。前を走っていたバスは小田越に上がってゆく。河原の坊には既に3〜4台車が止めてあって、レインウエアの上下にスパッツ、ザックカバーの完全装備で登山口に消えてゆく人たちもいる。しばらく様子を見たが明るくなり気温も上がってきたので、雨装備一切なしで出発。降り始めたら着よう。
 二ヶ所ほど沢を渡るが、雨による増水は大したことなく、苦労なく渡る事が出来た。
 さすが花の山でクガイソウ、センジュガンピ、ミヤマハンショウズル、ハクサンチドリなど楽しみながら登る。特にミヤマオダマキが見事でついカメラを向けてしまう。
 その内、道は名にし負う蛇紋岩の大岩がゴロゴロした急登に変わり、霧の中少し先はまったく見えない。
登山口付近の森にあったハクサンシャクナゲ?の見事な大木

ミヤマオダマキ:昔ネガフィルムではこの青がうまく出なかった。今はコンパクトデジカメをオートで向けるだけでほぼイメージどうりの色が出る。進歩したものである。
ついでに書いておくと小田越から河原の坊までの林道の道端は、大きなフキに覆われているが、その葉の上に黄色と白っぽいヤマオダマキが、まるで植えられたように並んで咲いているのは見事である。(山の花の名も紛らわしいね)

 1時間半ほど登った急な崖の、もう花の時期を終わったチングルマの穂先の中に、かなりの数のハヤチネウスユキソウが一緒に咲いていた。勿論ロープがしっかり張ってあって近付くことは出来ない。しかしフレンドリーな花も何本かあって、ロープを越えずにアップで写真をとることも出来た。この地味な花が何故こんなに人気があるのだろうか。けばくて厚かましくなってしまった中高年の小母さま達の心の真底には、こんな清純な白い花が咲いていると言うのだろうか。それともエーデルワイスと言う響きが西欧への憧れや、ハイジのように天真爛漫だった子供時代を思い起こさせるのだろうか。確かに西欧の山の花の名前は他に何も知らないがエーデルワイスだけは僕も知っているよ。


河原の坊コースのハヤチネウスユキソウ 河原の坊コースのハヤチネウスユキソウ


 ハヤチネウスユキソウばかりでなくキバナノコマノツメ、ヨツバシオガマやミヤマシオガマ、ミヤマアズマギクなどがあちこちに群れて咲いていて、ついつい気をとられ写真を撮る時間が長くなった。
 気が付いたら道標に御座走りとある。大変だ、もうずいぶん登ったはずなのにまだ半分だよ。真面目に登ろう。打石、千丈ヶ岩の道標を過ぎ、大岩を鎖で乗り越してしばらく登ってやっと山頂。新しい石の祠と何故か十字架を印したステンレス板の剣が沢山立ててある。とりあえず手を合わせ無事を感謝する。
 
山頂:ほとんど同時に着いた小田越から登ってきた登山ツアーの人たち。立っているのがガイドさん。霧があるとカラフルなレインウエアが綺麗だ。


 同時に到着した小田越から登ってきた中高年女性中心の20〜30人のツアーの人たちが、ガイドさんと思われる若いカッコいい男性を取り巻いて感激の握手などしている。山頂は広く大岩が累々として高低差があり、霧が巻いて先が見えず、小田越への下山口が分かりづらいので、一段落して落ち着いたツアーのガイドさんに聞いて確認した。ガイドさんも河原の坊の沢が雨で増水して渡るのに危険が無いか心配しており、我々が何も心配ないことを教えてあげた。
 山頂にはトイレがあり2人とも使わせてもらった。特に女性は助かるだろう。ついでに避難小屋も覗いてみたが中は広く頑丈なつくりで隙間風一つ入らず、予想外に吹かれて疲労困憊してここにたどり着いた人たちはほっとするだろう。頼りになる小屋である。ちなみに岳の民宿で圏外だった携帯がここでは圏内になっていた。時間が早いので食事はせずお茶とチョコレートで一休み。 


 小田越側へは山頂から少し下るが、剣が峰への分岐までは広い尾根歩きである。分岐からは又油断のならない蛇紋岩の大岩の道を下る。すぐ長くて急な鉄梯子が2段連なっていて登山者の渋滞が出来ている。ここらでようやく天候が回復してきて見晴らしがよくなってきた。小田越側もお花は多くハヤチネウスユキソウはむしろこちらが多い。ただ周りが広く時期が早いせいか、小田越側のほうが花が小さいように思った。やがて御金蔵の道標を過ぎ、テーブル岩と思われる最後の大岩付近でやっと一息つける雰囲気になる。ここで小田越小屋に続く大展望を見下ろしながら食事にした。
 
小田越コースのハヤチネウスユキソウ


鎖(鉄梯子)場:小田越コース往復のバスツアーがあるのでウイークディでも結構人が多いようです。 鎖場の上から小田越側斜面

 後はにぎやかなツアーの人たちに混ざって一列に森の中を下り小田越に出た。皆路線バスとツアーのバスを待っており林道を歩く人は居ない。20分待てば路線バスも来ると言われたが2人で林道を歩いて下る。舗装路で歩きやすいがかなり急勾配である。ヤマオダマキ、ハクサンチドリなど道端に雑草のように咲いている。楽しいがタンポポじゃあるまいし、何か違和感がある。途中バスが二台登っていったが、河原の坊へ着いたのは我々の方が早かった。
最後の大岩付近から見下ろした小田越コース:小田越小屋と林道が見える。ここまで来れば一安心である。



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