「フェアリー」 〜 幻想世界の物語 〜 Top Home
最終章 〜 森羅万象 〜 2003.5.31
それから数日後、冬美は心の内から聞こえるフェアリーと対話をしていた。
「はーい、冬美さん」
「・・・・・・・。アナタねぇ、余りにもひどくない? あんなに恐い体験させて・・・」
「しょうがないでしょ、神様の真意なのだから。アナタに未来の地球の姿を見せておかないと、
本気になって行動に移さないでしょ。試練という名の神様の愛よ。警告という神様の優しさなの」
「あんなにひどい試練が神様の愛?
冗談でしょ。前から聞こうと思っていたのだけど、そもそもアナタの存在って何なの?」
「あれっ? 冬美さん今まで気付かなかったの。ワタシはアナタの心よ」
「えっ、ワタシの心?」
「そう。ワタシはアナタでもあるし、アナタはワタシでもあるの。アナタの心の中にある希望よ」
「ワタシの心の中にある希望・・・?」
「人間は誰しも生まれながらにして、善と悪を判断する心を持っているの。
子供の頃は、それこそ世界中の人がみんな同じ心を持って生まれてくるのよ。
でもね、育つ環境や教育で個性が成長し、自我が芽生え欲望が沸いてきて大人になるに連れ、
少しずつ良心を忘れていってしまうの。
悪いこととは知っていながら、欲望に負けて悪いことを平気で出来る様になってしまうの」
「フェアリーさん。なかなか鋭いところを突いてくるわね」
「良心に背いてばかりいると、当然自分が信じられないから、他人はもっと信じられなくなるの。
そうなると、この現実社会はとても酷い世界に写り、アナタの回りの人は悪人だらけで、
さらに悪事を重ね悪事が平気になり、自分で住みづらい世界観を作ってしまうの。
逆に良心に従って生きていれば 回りの人達を信じることが出来るから、とても暮らしやすい
世界に写るのよ。例え誰かに騙されても、それは人生の試練だとさえ思えるようになるの。
そもそも良い人のところに、悪い人は余り近づいてこないけどね。
雰囲気を察して近づいてこないのよ。 類は友を呼ぶとか、フィーリングが合う、と言った
超感覚的な意識が無意識のうちに作用しているのよ。
誰しも、案外気付いていないのかも知れないけど、みんな自分で自分の世界を作り上げているの。
同じ地球で一緒に暮らしているのに、人それぞれまったく違った世界を見ていて違う世界で暮らし、
生活しているのよ。
アナタがワタシの存在を知ったのは、とてもラッキーだったの。
後はワタシから希望を導き出せるか、悪の心に負けて苦難の道を歩むか、それは全てアナタ次第。
アナタが自分で決めること。
だけど、大きく生まれ変われるチャンスを与えられたことだけは間違いないのよ」
「・・・・・・・そうなんだ。今生きているこの現実社会は、自分の善悪や喜怒哀楽の心が現実世界に
反映されている世界なんだ」
「例えば、アナタが些細なことで怒っているとするでしょ?
だけど、怒っているのは誰でもないアナタの心が怒っているだけなの。全てアナタの気の持ち方、
考え方次第、心の豊かさでこの現実が楽しくもなるし、辛くもなるのよ。
だから、自分の心で常に善悪を計り、心にウソをつかないで素直に生きれば、短い人生に希望が
生まれ楽しい人生を送れるのよ。それがどんなに過酷な試練でもね。
アナタの気の持ち方1つで変われるのよ。ワタシはアナタを幸せへと導く、希望という名の心なの」
「ふーん、そうなんだ。何だか解ったような解らないような・・・。
ところでワタシはこれから何をすればいいの?」
「未来に向かって、希望に向かって進んで行くことを決意したら、自分が何をすべきか?
自分に何が出来るのか? 自分の使命を自分で考えて探し出すのよ。
天使の翼を持っている人は、自分の心で物事の善悪を判断し、神様の真意に従って
大切な使命を果たすの」
「でも、なぜワタシが神様の真意に添って使命を果たす必要があるの?
それに、ワタシは別に地球がどうなってもいい、と思っているのよ。ワタシが使命を果たさなくちゃ
いけない理由を教えて?」
「それはね、地球の未来、地球に住んでいる全ての生き物、そしてアナタと、将来のアナタの
家族のためよ。
アナタがいつか結婚して子供が産まれ、生まれた子供に未来がなかったらどうする?」
「そんなこと言われても。まだ結婚もしていないし・・・」
「重要な問題だから、良く考えてみてね。アナタの将来、アナタの子供の未来、地球の生命、
世界の子供達のために、そして神様のために頑張るのよ」
「ったく・・・。そもそも、神様って何なの? 大体、ワタシは無神論者よ」
「うん。それはとても大事な問題ね。神様はね、この宇宙全てなの。
銀河も、太陽も、地球も、大気も、海も、山も、水も、火も、人も、動物も、植物も、微生物も、
時間も、空間も、夢も、希望も、心も、身体も、物質も、とにかく全てなの。
アナタが、毎日生きて暮らせる環境を、無償の愛で与えてくれているのが神様なの。
少しは神様に感謝しなさい」
「うん、確かにそうね。神様が本気で怒って、小さな隕石を地球にぶつけただけで地球なんて
簡単に吹っ飛んで、それで終わりね。(笑)
神様、ワタシをこの世に産んでくれて本当にありがとうございます」
「今日はとても素直ね。神様に対する意識が変わってきたみたいね」
「でもさぁ、宇宙の全てを支配する神様なら、地球の危機を救うことなんて簡単じゃないの?」
「うん、それが無理なの。神様にも神様の領域があって、いくら神様でも
何も出来ないことがあるの」
「神様にも神様の領域があるの? 何だか笑っちゃわね」
「例えばね、冬美さんが新種のウィルス感染症に感染したとするでしょ。
でも、その病気は薬が効かず、手の施しようがない特殊な病気だったとするわね。
特殊な病気だから、現代医学では何も出来なくて、お医者様はアナタの命の行方を
遠くから見ているしか出来ないわね。
最後はアナタの免疫力に頼るしかなくて、神様の領域に頼るだけなの。
いくらお医者様や本人が治したいと努力しようとしても何もできないの。
残された最後の手段は、アナタに生まれた時から備わっている免疫力、自然の治癒力に
期待するしかないの。
病気に打ち勝つには、胸腺で過酷な試練を受けた超エリート細胞が発現してくるのを
待つしかないの。その超エリートであるT細胞の使命は、太古の記憶から導き出した戦略図を
授かってきて、一般細胞に引き渡す役割目なの。
それが、いくら神様でも何も出来ない神様の領域なのよ」
「その神様の領域と、ワタシの使命になにか関係があるの?」
「その過酷な試練にパスしたT細胞こそがアナタなの。地球に危機が迫ってきたから、過酷な
試練を受けた特別な人間が現れる。地球の病気の治し方、と言う啓示を持って現れるのよ。
この様な現象を、自然の法則と言うのよ。重要なキーワードだから覚えてね」
「自然の法則・・・」
「宇宙も、地球の歴史も、アナタも、森羅万象が自然の法則で説明できるの。
この世の中の全てのことは自然の法則があてはまるのよ」
「それじゃ、過去の戦争を神様はどう考えているの?」
「うん。戦争の歴史さえ、人間の文明を発展させるための神様のシナリオなのよ。
神様から見たら、人間のエネルギーが戦争に向かったからこそ、今の科学や文化、
教育、産業などが発展する推進力となり、近代文明が出来上がったの。
神様は、神の子である人間を、いつかは豊かで平和な地球で楽しい暮らしをさせたい、
という親としての願いがあったの。
とても優しくて慈愛深い無償の愛をワタシ達に贈り続けてくれているのよ。
だから、啓示による警告を裏切らないでほしいの」
「神様の愛って、とても深くいて難しいのね・・・」
それから約1年が経過し、冬美は科学雑誌などの僅かな知識から、天から受け取った
宇宙構造の仕組みを推測してみると、科学的に実証できる可能性が非常に高い、
との結論を既に見出していた。
「冬美さん、お久しぶり」
「あっ、フェアリーさん」
「どう? 宇宙構造の仕組みが解ってきたでしょ」
「えぇ、自然の法則を摘要すれば、こんなに単純に解明できるんだ。
宇宙構造って、何だか笑っちゃうわね。でも、ワタシ数学も、英語も、苦手だから、
方程式とか論文とか作れそうにない。あくまでも概念的な仮説でしか説明できそうもないわね」
「それで、なにか結論は導き出せた?」
「うん。これでは無量無辺ね。いくら追求しても限りがないわ。それより、今現実的に起ころうと
している地球崩壊の現実を阻止して、新しい世界の価値観を波及させないとね」
「やっと、この宇宙真理の啓示の重要性を理解したみたいね。大事に使ってね」
「でも、いつ頃どうやって使えばいいのかな?」
「そうね。今の段階で使っても、ただの戯言にしか聞こえないわね。ただ真実を知りたいだけの人に
教えても、ああそうですか、で終わってしまうわ。もっと多くの人が関心を示し、本当に危機が迫り、
人々が救いを求め出す一番いいタイミングが来るまで、大事にしまっておいた方がいいわね。
待望論が大きくなればなるだけ、それだけ効果も大きいのよ」
「そうか。そうだよね」
「その時がいつ来るか分からないけど、今のうちにアナタの存在を知らせておかないとね。
とりあえずこれまでの体験で物語にして書いて、アナタのサイトに公表してみたら?」
「そうね。それも1つの手段として良い考えね」
「その物語の中には、宇宙構造の仕組みを解く鍵をそれとなく隠しておくの。
そして、これまで本当に経験したことをなるべく詳しく書いた方がいいわね。
推測や予測で書いてはダメ。適当なことを書くと、読者に簡単に見抜かれるから。
事実に基づいたことだけをなるべく正確に面白く書いていくの」
「謎を解く鍵を隠しておく・・・。そのアイデア、面白そう。さっそく書いてみるわ。
物語の題名は、アナタの名前を頂いてフェアリーにするけどいい?」
「うん。とってもいいネーミングね。それじゃ頑張ってね。当分お別れよ。先輩達にもよろしく。
バイバーイ」
「フェアリーさん、辛い体験だったけどちょっと楽しかったわ。ありがとう。
神様にもよろしく言っておいてね。バイバーイ」
「あっ、そうだ。冬美さんに大切なことを教えておくわね。
アナタの本当の戦いはこれから始まるのよ」
「えっ、そうなの? 過酷な試練は、まだ始まったばかりなの?
でも、地球の未来のため、子供達の未来のために、少しだけ頑張ってみようかな・・・」
= Fin =
「フェアリー」 終わり / 〜 Stand Up 〜 倉木麻衣
〜 Canon in D major 〜 Johann Pachelbel
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