特別栽培農産物表示ガイドラインについて



 このページでは2004年4月に施行された、特別栽培農産物の新表示ガイドラインについて、“みどりのはたけ”の立場に当てはめながら簡単に説明します。
 長文で面倒な場合は<6.“みどりのはたけ”産は特別栽培農産物?>をご覧下さい。
  1. 新表示ガイドライン参照元
  2. 特別栽培農産物とは?
  3. 有機農産物との違いは?
  4. 禁止された表現、「無農薬」「無化学肥料」
  5. 新ガイドラインに係わる表示
  6. “みどりのはたけ”産は特別栽培農産物?

1.ガイドライン参照元



 新表示ガイドラインは平成15年5月に改正・施行され、その後それをベースにJAS規格との整合性などの観点から平成19年に若干の改正がなされました。
 特別栽培農産物に係る新表示ガイドラインに関する詳しい情報は下記の農林水産省のWebサイトをご覧下さい。

2.特別栽培農産物とは



 「特別栽培農産物」とは、従来の無農薬、無化学肥料、減農薬、減化学肥料農産物という名称を統一したもので、2004年4月以降に適用された新しいガイドラインによれば、 という栽培方法を原則として、 農林水産省の定めたガイドライン の範囲内で栽培・生産された農産物をさします。
 従来とはその地域の農地で慣行的に使用されている量を基準とし、化学合成農薬及び化学肥料とは農薬取締法及び肥料取締法に記されたもののうち、化学合成された物を指します。
 つまり、その生産地周辺で昔から使われてきた農薬や化学肥料の平均的な量の半分以下の使用量で生産すべし、という基準です。農薬や肥料はその地方の土壌や生態によって使われる量が異なるのです。
 ちなみに“みどりのはたけ”では農薬も化学肥料も一切使用していません。
 
 次に、特別栽培農産物が適正に生産・流通されるための管理体制などもガイドラインで示されていますので以下にポイントだけ簡単にまとめてみました。 以上の条件を満たして栽培・収穫された農産物にかぎり、特別栽培農産物と表示することができます。

 つまるところ、「農薬と化学肥料は従来の半分以下」に、「生産責任者を設定し、しっかり管理」、「しっかり管理されているか生産者以外の特定の人が確認」「そして管理記録を書類として残すべし」ということで、これらを満たして生産・流通する農産物が「特別栽培農産物」と名乗ることができるわけです。
 実はこの生産者と同一は不可という「確認責任者」が、“みどりのはたけ”産農産物に「特別栽培」表示をしていない理由だったりします・・・(詳しくは別項で)。


3.有機農産物との違いは?



 有機農産物と特別栽培農産物の違いを簡単に表にまとめてみました。
有機 特別栽培
表示 有機○○○
オーガニック○○○
(有機JASマーク付)
特別栽培農産物
特別栽培○○○
及びガイドラインに基づく表示
対象 農産物及び加工食品 未加工の野菜・果実
乾燥調整した穀類・豆類・茶等
適用 原則として農薬・化学肥料の使用不可
2年以上の土壌浄化期間
遺伝子組み替え不可
生産・出荷工程の管理記録義務
化学合成農薬の使用回数が従来の50%以下
化学肥料の窒素成分量が従来の50%以下
表示にかかわるガイドラインの順守
認定 登録認定機関による 無し
法的強制力 有り
JAS法
無し
監視体制 農林水産省及び登録認定機関による年次調査 無し
 加工食品や減農薬への適用にも差がありますが、一番の違いは法的強制力と厳格な登録認定制度の有無にあるといえるでしょう。生産者側からみれば、登録およびその維持にかかる費用と人的コストに大きな違いがあります。
 特別栽培農産物はガイドラインによるもので法的強制力は無く、生産者や流通者の自主的な管理に一任されています。
 したがって、有機JAS規格の取得の難しい小規模の個人農家などのニーズにはガイドラインのほうが合致しているといえますし、より多くの農産物の判断基準が消費者の方にも明確に示されるという点が、ガイドラインの特徴です。


4.禁止された表現



 新ガイドラインでは従来使用されてきた一部の表示が統一され、紛らわしい表現が禁止されました。以下にその禁止事項を紹介します。
 旧ガイドラインで用いられていた以下表現が「特別栽培農産物」に統一されました。 これに伴い次の表現が表示禁止事項となりました。  これは、土壌の残留農薬や隣接農地からの飛散等の農薬を含め、一切の農薬を含まないという誤解を避けるため、そして「減」というあいまいな表現を排除するために禁止されたと説明されています。
 新ガイドラインでは後述するように、商品パッケージの裏側などに、栽培・管理に用いた農薬や化学肥料の詳細を記述するように定められています。

 実はこの「禁止表記」がなかなか大きな問題です。というのも、一般に「無農薬」「無化学肥料」という表記が禁止されているという事実はあまり周知されていないからです。並んでいる商品に「農薬不使用」と表記されていても「無農薬とどう違うの?」「有機とは?」と疑問に思う方も少なくないのではないでしょうか。
 そして最大の問題は生産者や販売者側が知ってか知らずかいまだに禁止表現を多用していることです。
 現にインターネットで「農薬を用いずに生産しているブルーベリー」を探そうとする場合、「無農薬 ブルーベリー」で検索する人がほとんどで、「農薬不使用」と検索する人はあまりいません。そして未だに「無農薬」と表記するサイトも少なくありません。
 でも本当は生産者・販売者として「無農薬」という表記は使えません。
 そんなわけで「無農薬」を探しながら“みどりのはたけ”にたどりつくのは困難だったりするのです・・・なんということでしょう愚痴ってしまった。


5.新ガイドラインに係わる表示



 特別栽培農産物には商品のラベルなどに「特別栽培農産物」もしくは「特別栽培○○○」と表示することができ、これとは別に他と明確に区別できる枠内に一括してに以下の内容を表記しなければならないと定められました。
  1. 農林水産省新ガイドラインによる表示
    新ガイドライン準拠している旨として表示
  2. 特別栽培農産物(もしくは特別栽培○○○)
    ○○○部分は品名
  3. 農薬使用情報
    使用せずの場合は「農薬:栽培期間中不使用」と表記。天敵や特定防除資材(食酢など)を用いた場合はその名称を併記。性フェロモン剤等の誘引剤使用の場合は名称を併記。
    節減の場合は「農薬:当地(もしくは○○地域)比△割減 使用回数□」と表記。
  4. 化学肥料使用情報
    使用せずの場合は「化学肥料:栽培期間中不使用」と表記。
    節減の場合は「化学肥料:当地(もしくは○○地域)比△割減」と表記。
  5. 栽培責任者氏名(もしくは名称・代表者名)及び所在地と連絡先
    生産者と同一でも可
  6. 確認責任者氏名(もしくは名称・代表者名)及び所在地と連絡先
    生産者・栽培責任者と同一は不可、ただし団体等で責任分担が可能である場合にかぎり代表者名を兼ねることは可。
  7. 精米責任者氏名(もしくは名称・代表者名)及び所在地と連絡先
    対象が米の場合のみ
  8. 使用した農薬の資材名及び使用回数詳細
    1〜7とは別に枠を確保し併記する
  9. 使用した化学肥料名及び窒素量詳細
    1〜7とは別に枠を確保し併記する
 この表記部分では該当枠内に上記以外の内容を表記することは禁止されています。
 また、消費者が店舗等で直接インターネット等で内容確認が行える場合に限り、ホームページアドレスを併記することで上記8及び9の農薬・化学肥料の使用状況を省略することができます。
 また、表示部分の確保が難しい商品については、上記の表示事項を別途表記することで、ガイドライン準拠の旨(1)、名称(2)、栽培もしくは管理責任者(3・4)のみの略式表示が可能となっています。

表示例
農林水産省新ガイドラインに係わる表示
特別栽培ブルーベリー
農薬:栽培期間中不使用
化学肥料:栽培期間中不使用
栽培責任者:○○○○
住所:○○県○○市うんたらかんたら
連絡先:△△△△-△△-△△△△
確認責任者:□□□□
住所:○○県○○市なんたらかんたら
連絡先:△△△△-□□-□□□□
※農薬、化学肥料を用いている場合には別枠にてその詳細を併記しなくてはなりません。

略式表示例
農林水産省新ガイドラインに係わる表示
特別栽培ブルーベリー
農薬:栽培期間中不使用
化学肥料:栽培期間中不使用
栽培責任者:○○○○
内容別記
※略式表記の場合はパネル等に必要な表示事項を別記しなくてはなりません。


6.“みどりのはたけ”産農産物は特別栽培農産物?



 さてようやく本題にたどりつきましたが結論から申しますと、現時点では特別栽培農産物ではありません。ここまで引っ張っておいてなんですが・・・。
 品質の観点からは高い水準で特別栽培農産物と同等かそれ以上の条件を満たしている自信があるのですが、現在のところ特別栽培農産物と表示しておりません。
 品質については“みどりのはたけ”の紹介ページで詳しく説明していますが、“みどりのはたけ”にはつぎのような特徴があります。
 おおっ、特別栽培農産物の条件にバッチリ適合してるではありませんか・・・・と思いきや、ガイドラインに目を通してみると、“みどりのはたけ”には何気ない弱点が↓  つまるところ、特別栽培農産物の表示に必要な「生産者とは別の確認責任者」の確保、商品一つ一つに必要な「ガイドラインに基づく表示」やその他もろもろの労力や費用が、現在の運営・販売規模と見合っていないという点で二の足を踏んでおります。
 そもそも、特別栽培農産物とは、消費者の方によりわかり易く野菜や果物達の健全な生い立ちをアピールするものなので、このようなホームページで栽培情報をさりげなくお伝えできればそれでもいいかな、などと導入にむけてちょっと後ろ向きにもなってみたりする今日このごろです。