創業(酒販免許取得)昭和28年



Val de Loire
ロワール


マルク・ペノ

Marc Pesnot

ロワール河の下流、ナントの街の周辺にはミュスカデの生産地域が広がります。この地で、底なしの情熱でワイン造りにあたるのがマルク ペノ氏その人です。

美味しいワイン造りこそが自分の夢と語るペノ氏は、時間も手間も惜しむことなく、全てをワイン造りに費やしています。
採算度外視でワイン造りにあたるという、そのあまりの情熱のためか、マルク ペノ氏は2007年12月に大変困難な状況に直面します。財務上の理由からドメーヌの運営継続が困難になったのです。全てのワインが出荷停止となり、ワイン造りを続けられるかも定かでない状況にありながら、ペノ氏はあくまで畑に出続けました。曇らない笑顔のまま毎日畑に出ては、収穫できるかもわからない、ワイン造りをできるかもわからない、そんなブドウの世話を続けたのです。

そんな中、インポーターである野村ユニソンさんと現地フランスのパートナー、エノコネクション社さんで、経営を引き継ぎ、現在に至ります。

マルク ペノ氏は、よりいっそうの情熱をもってブドウの栽培やワイン造りにあたっています。ドメーヌでは、ミュスカデを中心とした15haに及ぶ畑を所有しておりますが、この東京ドーム3個分に匹敵する面積をほぼ一人で栽培しており、冬の剪定作業などは12月に始めて4月まで毎日休みなしで続きます。畑の土を覗くとシストなどの石が多く見られ、ミネラル豊かなワインの源となっています。畑には豊かな緑が茂ります。所有している畑の多くに樹齢の高いブドウが植えられており、これも芳醇で複雑な味わいのワインを生み出す要因となっています。

収穫の際には全て手摘みによって行い、痛んだ果実を排除して腐敗果の混入を防ぎます。この地域では考えられない程、収穫量は低く抑えられており、結果として他には見られないような果実味が溢れたミュスカデやグロプランとなります。「収穫量を抑える」と一口に言ってもミュスカデやグロプランという品種では非常に深刻な問題に直面します。それは、この種のワインは安価なものがほとんどで、量を減らして美味しいワインを造るよりも生産量を増やして販売量を増やしたほうが経済的には有利であるということです。マルク ペノ氏のように収穫量を2/3や1/2まで減らしてもミュスカデやグロプランといったワインを通常の2倍、3倍の価格で販売する事は難しいのです。それでもなお品質追求をするマルク ペノ氏、まさに情熱のなせる業です。

収穫されたブドウは除梗されることなく、発酵槽に入れられます。これは白ワインでは珍しい手法で、赤ワインの醸造におけるマセラシオン カルボニック法と同様のものです。彼曰くボジョレーのマルセル ラピエールの考えを取り入れて行っているということで、ブドウの果皮から香りや旨みを引き出すために行っています。勿論、赤ワインとは異なり果皮と果汁が接触する時間はおよそ6時間と短めです。その際ドライアイスを入れ温度を下げて、低温でしか活動しない自然酵母の活動を促します。仕込みは、深夜午前1時ごろに発酵がはじまるように時間を逆算して行います。そのため収穫は必然的に午後に行われることになります。こうすることによって気温の低い夜間に初期発酵がスタートするのです。この手法を彼は「Nuitage = ニュイタージュ」と呼んでおりフランス語で「夜」を意味する「Nuits」に発酵させることにかけています。これはマルク ペノ氏が低い温度帯で活動する酵母の存在を重要視し、爽快ながらふくらみのある果実味を引き出すことを目的としているためです。

発酵中は酵母が生み出すCO2の働きによって酸化を防ぎ、酸化防止剤となる亜硫酸の添加は、瓶詰めの際に極少量にとどめています。またペノ氏はコルクの品質にも細心の注意を払い、複数の生産者と共同でコルクを購入し、そのコルクをロットごとに化学的な検査に出しています。その検査結果をみてTCA汚染いわゆるブショネのリスクが少ないもののみを使用しています。

マルク・ペノ VDT ラ・デジレ 2018

従来は「AOCミュスカデ セーヴル エ メーヌ」でしたが、現在は「名」より「実」を取る事となりました。非常に低い収量とニュイタージュという発酵初期の温度を低く抑える手法を採用することによって濃密な果実味とムロン ド ブルゴーニュ(ミュスカデ)の清涼感を併せ持ったすばらしい味わいになっています。この味わいが大量生産をする造り手のミュスカデと比べて「ミュスカデらしくない」と言われAOCを取得できません。もっとも、「美味しいワインに肩書きは関係ないよ」とマイペースなペノ氏は、爽快な酸味と心地よいミネラルがあり、じわじわ口の中に広がる、熟した果実の旨みの持ったムロン ド ブルゴーニュ(ミュスカデ)を造り続けています。



アレクサンドル バン

Alexandre Bain

サンセールからロワール川を渡り、プイィ フュメの丘に向かう途中に、「ドメーヌ アレクサンドルバン」があります。彼は1977年生まれ、子供の頃、サンセールにある祖父の家の近くに移り住んだ時、農業をしていた祖父を見て興味を持ち、農業学校に進みました。2007年に畑を購入して独立し、5haほどの広さから始めたワイン造りも現在は11haほどの広さになり、中生代ジュラ紀後期の地層であるキンメリジャンやポルトランディアン土壌を備えた畑から印象的な味わいのワインを生み出しています。彼のセラーは想像以上に現代的かつ機能的に仕上げられていますが、石、コンクリート、木といった天然由来のもの以外は見つけることが出来ません。洗浄する際にも水かお湯のみを使用するほどです。非常にシンプルでありながら機能的で清潔に造られているのは、アレクサンドルの父は石工であったことも関係しているかもしれません。

VdF No.68  
キュヴェ ヌメロ ソワサント ユイット 2018
【ネゴスワイン。キュヴェのNOは収穫された地域の県番号】
品種:@シルヴァネール Aリースリング 33%、ピノ オーセロワ 33%、ゲヴェルツトラミネール 33%@とAをブレンド後ドメーヌ物のソーヴィニヨン ブランの澱の上で熟成

アルザスで最も古くからビオディナミ栽培をしている生産者からの葡萄。多くのナチュラルワイン好きな方であれば、よくご存知の有名生産者です。その中でも特に傑出した葡萄のみを使用しています。上記@とAを一度タンクで別々に仕込んでからブレンドさせ、それらをドメーヌ物のソーヴィニヨン ブランの澱の上で更に熟成させています。最終的にアルザスで使われていたかなり古いフードルで1年熟成させてから瓶詰め。
黄色で少し濁った、いかにもナチュラルワインと言った外観が興味をそそり、思わず直ぐ飲んでしまいそうに。白桃や白系の野花を思わせるような繊細かつフルーティーなフレーバーが感じられます。抜栓直後や、温度の低い状態ではフレッシュで酸の有るカチッとした張りのある印象を与えられますが、温度の上昇や時間の経過とともに蜂蜜のような甘いリッチなニュアンスに加え、貝のダシ系の優しい果実の旨みが広がります。
アルザスの濃厚で傑出した味わいの中にロワールのタッチを感じられる万能な1本です。

VdF No.69
キュヴェ ヌメロ ソワサント ヌフ 2017
【ネゴスワイン。キュヴェのNOは収穫された地域の県番号】
ボジョレー地方ガメイ 100%
昔からビオディナミで栽培しているボジョレーの生産者から購入したガメイで造られたキュヴェ。照りの有るクリアなルビー色。抜栓直後はラズベリーのような赤系の小粒な果実の香りが主体ですが、時間の経過とともにブルーベリーやプルーン、ドライハーブ、白胡椒の様な熟した密度の有る香りが複雑に絡みあいつつ立ち上ります。味わいは香りとは逆にとてもエレガントスタイル。綺麗な酸とミネラルが屹立しつつも、チャーミングな果実が全体をバランスよく感じさせ、凝縮しながらもダレた感じにならず、いかにも北のワインと言ったニュアンスを感じられます。
よくあるナチュラルなガメイとは訳が違う、深みのあるファンタスティックなガメイ。酸、果実、奥行きがバランスよく感じられる、素晴らしいワインです。
750ml 3,780円
(税抜3436円)




 
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