真面目にがんばっているのに事がうまく進まない人がいるかと思えば、気楽にのんびり構えているように見えて大きな成果を手にする人もいる。その決定的な違いは、どのような「自己イメージ」を自分に対して抱いているかだという。医学博士であり理学博士でもある著者は、大脳生理学的観点から、自分に対するイメージや思い込みをポジティブで積極的・具体的なものに変えれば、人はいつでも生まれ変わることができ人生を変えることができる、と説く。
すべてを思い通りに変えていくための人生における原則、つまり、楽天的思考の持ち主になること、思い込みの力で脳を「だます」こと、大風呂敷を広げること、大きな夢を持つことなど、が全篇にわたって繰り返し繰り返し解説されている。
ところどころ、楽観的すぎて「眉唾モノ」のような部分はあるが、著者が、口癖(言葉)、楽天思考、心身の「快」に重きを置いているところが本著のポイントであろう。特に、ポジティブで前向きな言葉を意識して発し、それが脳に刻み込まれることによって、自ずとからだ全体がポジティブな方向に向かうように反応していくとする点は大脳生理学者ならではのものであろう。
この本のとおりに「脳内トレーニング」を実践したすべての人が人生を思い通りに変えられるとは思わない、が、否定的なことばかりを考えたり言ったりしていて物事が好転するとも決して思えないし、なによりも、ネガティブな気持ちを持ち続けるのは精神衛生上よろしくない。
意識的にポジティブな言葉を使うことによっていいイメージを脳に刻み込み、「楽天」的な思考と行動によって心身ともに「快」の状態を維持すれば、体内の自律神経系が好ましい方向に働く、、、、そのような考え方もあるはずだ。少なくとも、楽しいことを考えている方がストレスは溜まらない。気は持ちよう、という。脳内トレーニングによる「思い込み」のご利益のひとつだろう。
2006年3月30日 |