第130回芥川賞受賞作品である。著者が19歳
(当時)の現役大学生ということもあり、読んでみよう読んでみようと思いつつ、結局今の今まで機を逸してしまっていたのだが、先日ブックオフで105円コーナーに並んでいるのを見つけたので遅ればせながら読んでみた。
この作品は、ハイティーンによって執筆された「高校生モノ(小説)」である。
主人公のハツはグループになって仲間と一緒に群れて行動することを潔しとしない“変わり者”。一般的・標準的な女子高校生像とイメージを異にする主人公設定は面白いと思う。その“変わり者”ハツ、そして、ハツとは好対照の絹代、美人モデル「オリチャン」命のオタク高校生“にな川”の3人を中心に話が進んでいくわけだが、ごく限られた登場人物、非常に短い期間設定、起伏に乏しいストーリー展開は作品としての厚みに欠け
る。句読点のつけ方にやや違和感を覚えるものの、文章が平坦であるためスラスラ読み進むことができるのだが、なんとも物足りなさを感じてしまった。
なぜ、ハツは突然“にな川”の背中を蹴り飛ばしたのだろう?
あの結末にはどうのような意味がこめられていたのだろう?私にとっては、いまどきの高校生の不可解な部分だけがクローズアップされた作品であった。また、これを機に芥川賞の選考基準も今一度確認してみようとも思ったものである。
2006年12月3日
|