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この本、なぜか手に入れるのにやや「苦労」した。日経の広告を見てamazon.comに注文しようとしたところマーケットプレイス品しかない。楽天ブックスに注文しても、欠品・在庫切れのため商品確保ができない、とのことだった。要するに、売れている、ということなのだろう。結局、近所の小さな本屋でやっと手に入れることができた。
さて、この本、、、読んでみてがっかりさせられた。タイトルが「人にいえない仕事はなぜ儲かるのか?」だから、アンダーグラウンドなビジネスが事細かに解説されているのだろうという゛下心゛があったのだが、メインは税金の話であった,という点で「がっかり」したのだ。もちろん、アンダーグラウンドビジネスにも言及されているが、いずれも軽く触れる程度である。新書やビジネス書には読者の好奇心をひきつけるための大げさなタイトルがつけられているものが多いが、この本もその一冊だろう。
アンダーグラウンドビジネスについては同じ著者が日本「地下経済」入門―マンガでわかるアングラマネーのすべて を出版している。
とはいうものの、内容はいたって真面目なものである。サラリーマンは所得税や地方税が給与から問答無用で自動的に差っ引かれているため税金には無関心になりがちだが、税金に関して薄く平易に解説されているこの本には、野球選手はなぜ個人会社をつくるのか
/ 長者番付に載る人載らない人 /
サラリーマンの副業はどれだけ有利か、、、などを通して脱税ならぬ節税の意識を高めてくれる。私個人的には、長者番付に載らないようにするためのテクニックが非常に役立ったが、長者番付は今後発表されないことになったようであるから無用の長物となってしまった(もちろん、ジョークです)。
著者は第8章において、どのような税制が最も望ましいか、について触れている。所得に対して課税される現行の税制度ではなく、消費に対して課税をする「支出税」が望ましいということをトマス・ホッブズの「リヴァイアサン」を引用して説く。消費税と混同しやすいが、消費税がそれを負担する人と政府に納める人が異なる間接税であるのに対して「支出税」は個人が行う消費支出を課税ベースとして課される直接税である点で消費税とは性格を異にする。消費税の場合には誰もが同じ税率を負担しなければならないためお金の無い人ほど税負担が重くなるが、直接税である「支出税」では控除や、現行税制のような累進税率の適用が可能というのがミソだ。
「人にいえない仕事」などという奇抜なタイトルは、恐らく、本の売れ行きを気にする出版社の意向だったのだろう。著者がいいたかったのは現在の税制度のあらましと、将来の税制度の理想である「支出税」であったはずである。気軽に読める税金の本である。
2006年2月15日 |