日本の伝統的な雇用形態である「終身雇用」と「年功序列」がすでに過去のものとなり、今やサラリーマンは決して気楽な稼業とはいえなくなった。成果主義の名のもと目立つ仕事をやった人間だけが評価され、リストラの名のもと人員削減がガンガン行なわれる。外資系企業においては、わけのわからない外人が赴任してきては2−3年間引っかきまわして帰っていく。現代のサラリーマンは気が休まるときがないのである。ストレスばかりたまるサラリーマンなんか辞めたい。でも収入がなくなるのは困る、、、。
この本、何よりもまずタイトルが気に入った。サラリーマンを副業にできたらどんなにいいだろう、、、そんな気持ちに掻き立てられ早速読んでみた。なんでも、この本の著者は全収入の中で給料の占める割合が30%、投資による収入が70%だそうだ(うらやましい)。いやな仕事はしない!一日1時間「投資家生活」のすすめ、とある。投資先は株と賃貸用の中古ワンルームマンションらしい。
資産を早く増やすには株式投資が一番と著者は言う。ところが、当然のことながら、株には資産減のリスクを伴う。その株式投資のポイントと、株で得た利益を如何に不動産へ投資したかを著者の経験をもとに解説している。
著者がバリュー株投資をすすめている点は大いに共感できる。株式投資のスタイルには、チャートの動きを追う「テクニカル方式」と、投資先の財務内容、成長性などを吟味した上で投資する「ファンダメンタルズ方式」がある。昨今のインターネットトレーディングによるデイトレードはもっぱらテクニカル方式によるものである。投資先の財務内容はおろか、事業内容も知らないことがほとんどで、まさに、テレビゲーム感覚である。一方の「ファンダメンタルズ方式」によるバリュー株投資は株式投資の本来の姿といえよう。そのバリュー株投資のために金融の読み書き能力のリテラシー(能力)をつけましょう、と著者は説く。投機ではなく投資をすすめているわけだ。
株投資で得た利益は賃貸用のワンルームマンション購入につぎ込み、安定的家賃収入を得るとともに株式への再投資を行った結果、年収3000万円、所有資産1億円を実現したという著者のサクセスストーリーは読んでいてワクワクさせられる。もちろん、誰にでも簡単にできることではないが、脱サラリーマンを現実のものとするためのマインドの持ち方とその実例は大いに参考にしたいところだ。
2005年12月27日 |