「辞書は読むものである」とはよく言ったものだと思う。なにかわからないことがある場合に「引く」のが辞書であるが、そのような必要に迫られたときだけでなく、辞書をパラパラと「読む」と面白い発見
をすることがよくある。約6000点のイラストが収録されたこの「大図典」はまさに「辞書を読む」ことの楽しみを実感できるものである。
ただし、この大図典はことばの意味を調べるためのものではなく、いろいろなものの呼び名を分類されたテーマとイラストから探すための図典である。カラーのイラストに様々な箇所の呼び名が記されているため「引きやすい」し、パラパラとページをめくってい
るだけでも飽きることがない。こんなものにも名前があったのかとと感心することさえある。しかも、日本語だけでなく、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語の全6ヶ国語が併記してあるため翻訳家にとっては重宝するものだろう。翻訳家でなくても、英独仏西伊いずれか
の言葉に少しでもなじみがあればそれなりの関心も湧いてくるというものである。
私は、この大図典が出版される前はワーズ・ワード を使っていたのだが、
大図典の6ヶ国語併記に魅力を感じて購入した。内容にはもちろん満足している。敢えて難点を言えば、この大きいサイズとしっかりとした重量はやや扱いやすさに欠ける。それから、6ヶ国語併記になっているため仕方のないことだが、字が小さくて少し読みづらいのが玉に瑕。それでも、この大図典は単なる積ん読ではもったいない。できるだけ手の届きやすいところに置いておき、事あるごとにページをめくりたいものだと思う。
2005年12月20日 |