光波工学・光エレクトロニクス 授業HP
Since: December, 2009
Last updated: March 11, 2010
光波工学・光エレクトロニクス 授業ホームページ
2009年度版
-
配布資料集 (password: 学外非公開)
- 期末試験に持参するもの:
- 関数電卓、1台。
- ”高級な関数電卓”は、不要。
- 光速(c)・プランク定数(h)・電気素量(q)などの数値と単位は、問題文中で与える。
- 従って、
e = 1.60×10-19 C や、光速, c = 3.0×108 m/s などの
極めて小さい・極めて大きい物理定数を含む
四則演算、指数・対数、三角関数を行う初歩的な関数電卓で、充分。
(つまり、微分・積分・ベクトル・行列演算機能、グラフ描画機能は、全く必要無し。)
- 2008年度と2009年度の期末試験問題
-
2008年度のミニテスト、及び、期末試験問題
(password: 光波工学・光エレクトロニクス配布資料集と同一)
- 2009年度期末試験問題に対する解説を、要点のみ述べます。(2010/3/11作成)
- (1a)へのヒント:
電磁波動方程式の要点は、空間座標による2階偏微分、および、時間座標による2階偏微分だということ。
(時間座標による1階偏微分という答案が、意外に多かった。)
- つまり、電磁波動方程式は、t, x, y, zの4つの時間空間座標による2階偏微分項の和である。
- (1b)へのヒント:
電磁波動方程式を成り立たせる一般解は、例えば、exp(iωt - ikr)である。
これらの一般解は、光波が空間的に正弦波であり、時間的にも正弦波振動することを、示している。
- (因みに、もしも電磁波動方程式が空間座標による2階偏微分、および、時間座標による1階偏微分だとすると、
正弦波振動は、電磁波動方程式を、満たさないよ。)
- (2b)へのヒント:
一般に、電子の集団に電位差 V1を与えて励起状態(伝導帯)に励起(電流注入)すると、
電磁気学の初歩の初歩に従って、
電子1個当たりE1= eV1に等しい電気エネルギーを受け取る。
- 励起状態の電子の集団は、量子力学的な諸法則に従って、光子や熱を放出し、基底状態に戻る。
- 従って光子エネルギーは、電子が電位差から受け取る電気エネルギー(電子1個当たりの電気エネルギー)よりも、必ず小さい。
- つまり、半導体レーザが出力する光の光子エネルギーは、E1と同じか、実際には少し小さい。
例えば、2倍大きな光子エネルギーを持つ光(波長が1/2倍の光)を発生するためには、
印加電圧を、必ず約2倍に高める必要がある。
- もちろん、半導体レーザに印加する電圧は、
シリコンダイオードに印加する順方向電圧(閾値電圧以上)より大きいことも、小さいこともある。
レーザ波長に大きく依存するので。
- 因みに、直接遷移型半導体の励起電子の大部分は、「励起電子1個当たり、光子1個だけ」を放出して基底状態に戻る。
- (3a)(3b):
大多数が正解でした。最も基本的な自然法則式・定義式さえ憶えていれば、
あとは地味な加減乗除算すれば完成だね。実験では・現場では、ごくありふれた計算の1つ。
- (4a)(4b):
意欲的な模式図、詳細な解説が目立ちました!
(長々解説しているけれど大きく誤解している解説も、少々アリ。)
- (4a)へのヒント:
- 正しい事実を説明しているが、自然法則に基づく原因を説明していない解答が多かった。
((4a)に相当する部分の講義が、足りなかったかな?)
事実を知るということと、自然法則に基づく原因を理解するということは、異なるよ。
判っていると思うが、念のため。
- バンド構造図の横軸は波数ベクトル(wave vector, または単に波数)です。
ここでは、電子が遷移する前後でエネルギーと波数の両者が保存することが重要。
さらに、光子の波数が、短波長でも長波長でも、バンド構造図中の様々な電子状態の波数に比べて
相対的にかなり小さいことも、とても重要です。
これらの原因により、発光遷移後の電子の波数は、遷移前の電子の波数と、殆ど変わりません。
- 直接遷移型半導体では、光子1個を発生するだけで、エネルギーと波数が同時に保存される。
従って、直接遷移型半導体では、発光遷移確率が(相対的に)とても大きい。
- 「間接遷移型半導体で発光遷移は起きない」ではなく、「間接遷移型半導体では発光遷移する確率が、
直接遷移型半導体のそれに比べて、とても小さい。」
1個の励起電子が光子1個とフォノンを(偶然)同時に発生しなければならない遷移(電子遷移)だから、です。
- 注意: 伝導帯電子が価電子帯に遷移して光子を発生する「発光」の強さ(確率)に関して、出題した。
ところが、価電子帯電子が光子のエネルギーを受け取って伝導帯電子に遷移する(励起される)「光吸収」の強さ(確率)を、
模式図を使ってとても丁寧に解説している学生が、やや目立った。伝導帯→価電子帯か、価電子帯→伝導帯か、どっちでもよくないよ。
- (4b)へのヒント:
大多数が、模式図を描いて積極的に解説していました。
- 注意: 光学利得は、増幅率と呼んでもよい。従って、増幅も吸収もしない状態では、利得= 1.0 (または0.0dB)です。
- 「利得=0な場合は...云々」と記述した答案が、意外と多かった。a= 0.0dB と a= 0.0や、b= 3.5dB と a= 3.5を、同一視しているのか?!(マズイ....)
- 履修生の意見: 問題の量は普通、問題の質は難しいという意見(記述)が、多かった。
- 人数は少ないが、量は並、質は易しいかったという意見もあった。このうち約半数は、よく理解していた。
他方、残り約半数は... (自らの理解がとても浅いと自覚していないのかもしれない。)
- 問題の質は難しいと述べつつよく理解している学生も、意外と多かった。
- 例年と同様に、優秀成績者の氏名を、
ホームページ公開しました。
- 参考まで:
電子工学実験第三 光エレクトロニクス課題、配布資料集
電気通信大学
文責・授業担当教員
上野 芳康
研究室ホームページ