山梨県立博物館

 

玄人の考えと素人の見方

 

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   参照(武田家A)    参照(武田家B)  参照(武田家C)  参照(武田家D)

 

 

日本には海に面していない県、すなわち内陸県が8つある。それらを筆者なりに分類すると、地勢的に二つに分けられる。その一つは県内の片方が山岳地帯で、他の側が平地になっている、いわゆる片流れの地形を呈する県。もう一つは周囲が山脈で囲まれた盆地の県だ。

 

山梨県は後者の典型的な存在といえよう。その周囲は日本の代表的な高山に囲まれ、中央部に甲府盆地が広がっている。県内には富士川や桂川(かつらがわ 相模川の上流部)の河谷平野もあるが、県人口の大部分は甲府盆地に集中している。長野県も地勢的に似たような所だが、もっと複雑な地勢だ。

 

甲府盆地では太古から降雨の度に急峻な山岳部から土砂を伴った急流が流下し、麓に土砂が堆積して扇状地を形成した。盆地の周辺部にできた各扇状地は成長と共に重なり合い、今日の甲府盆地になった。従って盆地内は扇状地特有の水はけのよい砂質の傾斜地で覆われ、乾燥しやすく水が得にくい。

 

水利の便が悪ければ平坦地でも農耕に適さず、古くは原野のまま馬の放牧に利用された。ところが山地に一度大雨が降ると、山から土砂を多量に含んだ濁流が流下し、扇状地上の流路は度々変わり乱流する。従って洪水対策と平時の飲料水や農業用水の確保策は為政者や住民にとって最大の課題だった。

 

山梨県中央部・石和(いさわ)温泉の近くに「山梨県立博物館」がある。当館は「山梨の自然と人」を基本テーマとした人文系の博物館である。当館では山梨県に定住して暮らした人々の歴史と営みを風土との関わりの観点から紹介している。

 

そこには学習型展示「山梨の風土とくらし」で、その原始から現代までの歴史事象を解説し、また鑑賞学習型展示の「甲斐を往き交う群像」では、各時代の人物の活動を紹介している。さらに水害・戦災・風土病などの社会的災害記録とか、昔の生活を実感できる歴史の体験工房などもある。

 

 その構成や展示法は専門的見地からよく出来ていると思える。しかし当館がオープンした当初、訪れた人々は展示中に武田信玄の解説があまり見当たらないのに不満を表明した。なにしろ山梨といえば甲州、甲州といえば信玄のお国柄だ。素人から見れば信玄の出てこない展示など見た気もしないというのだろう。まして温泉帰りの御仁ともなれば、なおさらだ。

 

 たしかに信玄の治世には、武田家の勢力範囲が甲州から信州・駿河・上州、さらに遠州や飛騨の一部にまで及び、甲府はその政治と軍事の中心地だった。けれども信玄の覇業もせいぜい10年余り。古来の多くの英雄も個人で拡大した覇業の継続期間は洋の東西を問わず1015年位で終わっている。

 

寿命の短かった時代、制覇するまでの年数を引けば、残りはそんなに長くない。確かに信玄の事績は当地にとっては大きかったが、甲州一国だけに限定して考えれば、約20年藩主として君臨した柳沢吉保・吉里父子の文治支配の方が、もしかすると地元に及ぼした影響は大きかったかも知れない。

 

山梨の有史以前からの長い歴史を考えて、英雄の覇業もほんの一瞬だと気が付けば、当館の展示もなるほどと納得できるのではないか。現代では美しい風景や、桃やぶどうの産地として観光客が訪れる所だが、元来は厳しい風土だったのだ。

 

気候も内陸性でやや厳しく、洪水や土砂流、さらに干害などと災害も多い、地味のやせた土地だった。また戦乱のためとはいえ食塩にも事欠いた時代もあったように、厳しい生活と歴史が続いた所と理解して見れば、また違った見方も出来るのではなかろうか。

 

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(作成日: 11/09/07、 更新日: )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

山梨県立博物館_山梨県笛吹市御坂町成田1501-1_TEL 055-261-2631_

a)  JR中央本線石和温泉駅から約2.8km徒歩37(S31degs.E 2.4km)、タクシーあり

b)  石和駅から山梨交通バスの山梨県立博物館行きを利用して約10

c)  石和駅から富士急行バスの富士山駅行きや鶯宿行きに乗り「山梨県立博物館」下車

d)  JR中央本線・身延線甲府駅北口2番乗り場から山梨交通の山梨県立博物館行きに乗り約30

e)  JR中央本線・身延線甲府駅南口7番乗り場から富士急行バス富士山駅行き・下黒駒行きを利用し「山梨県立博物館」下車

f)  中央高速バス(南回り)を利用して「中央道御坂バス停」下車。高速道の側道を大月方面へ東進し、県土と交差するところで左手に曲がり、県道を北上する。徒歩約17(バス停から N30degs.W)_

大_大人子供_

駐車場 無料 普通車180台、満車なら他の駐車施設もある_

9:00-17:00(16:30)_

火曜日(火曜日が祝日に当たれば開館し、翌水曜日に休館)

祝日の翌日(土曜日が祝日の場合、翌日の日曜日は開館する)

12/291/1(年始は2日から開館する)、臨休と臨時開館あり_{16/12/20}

 

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