日本浮世絵博物館、太田記念美術館

江戸から発信されたマスメディア

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参照(浮世絵A)  参照(浮世絵C)

 松本市の郊外にはモダンな外観の「日本浮世絵博物館」がある。当館は地元の豪商だった酒井家が、五代二百年にわたって収集した10万点もの酒井コレクションを収蔵している。このコレクションは版画と肉筆による各時代の浮世絵や版本、障屏画及び現代版画などと幅広い内容を擁している。

 浮世絵は江戸中期から明治末まで作られた、主として木版多色摺りの民衆絵画である。江戸初期には美人や役者を肉筆で描く風俗画が町人の間で好まれたが、17世紀の後半になると墨摺りの木版画に、塗り絵風に彩色する丹絵(たんえ)や紅絵(べにえ)が作られた。

 18世紀の初頭には2〜3色の紅摺絵(べにずりえ)が考案され、本格的な木版多色摺りが可能になった。18世紀の後半には10〜20色を使う錦絵も出現している。その間、浮世絵師は日本画各流派はもちろん、西洋画の技法までを幅広く採り入れて画法を進化させていった。

 絵の対象も美人と役者の風俗画から始まって、相撲絵・武者絵・名所絵・花鳥画・風景画・なまず絵・人物絵・戯画・報道画などと多方面に拡大していった。その内容も上品な美人画や、雄渾な人物画、水の一瞬の動きを表現した風景画、退廃的な血みどろ絵や怪異な絵、文明開化を表現した横浜浮世絵などと色々な作品が見られる。

 浮世絵は肉筆で描かれた少数を除けば、すべて木版画だから、絵師・彫り師・摺り師の協同作業と、版元の企画・販売力が合体して作り出されたものだ。高名な絵師の名は今では世界的に知られているが、その影に隠れた彫り師や摺り師の役割も見逃せない。

 例えば波の飛まつなどの点描写の見事さは彫り師の腕に負う面が大きいという。また多色摺りは各色ごとに版を彫り、薄い色から摺って行くが、各色がずれないようにする方法の考案が浮世絵を発達させる鍵となった。腕のよい摺り師はバレン(摺り用具)一つを持って摺り場を渡り歩いたそうだ。

 大量複製が可能な浮世絵は、視覚に訴えて当時のマスメディアとなり、流行や民衆文化の伝播に大いに役立った。欧米へもたらされた浮世絵はジャポニズムブームを起こし、近代芸術運動に大きな影響を及ぼした。

 当館では展示品について、映像ホールでやさしい解説をしている。それを視聴してから実物を鑑賞すれば、素人でもより深い理解が得られるだろう。なお当館の隣りは司法博物館だ。その名前はいかめしいが、内容は捕り物用具や女工哀史の工女が宿泊した宿などと珍しいものも多いから帰りに立寄るとよい。

 ところで、浮世絵を収蔵している施設は国内各所にある。東京付近なら原宿の「太田記念美術館」は質・量ともに国内の代表的な太田コレクションを収蔵している浮世絵専門の美術館である。

 ただ、浮世絵は主として植物性色素の水性絵の具で摺られているから、退色しやすく長期展示は出来ない。どの館も展示計画と保存上の観点から、テーマを定めて順次作品を入れ替えて公開している。従って事前に展示内容を確認してから行くのが賢明だ。

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(作成日: 02/03/05、 更新日: )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_駐車場_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

日本浮世絵博物館_長野県松本市島立字新切 2206-1_TEL 0263-47-4440_

a)JR松本駅で松本電鉄上高地線に乗り換え、大庭駅下車1.8km(N50deg.W 0.8km)徒歩23分、

b)松本駅西口(アルプス口)から3.1km(W 2.7km)タクシー利用が便利_中_大人_

10:00-17:00(16:30)_

月曜日(祝日や振替休日に当れば開館し、翌日休館)12/281/3_{17/06/14}

 

太田記念美術館_東京都渋谷区神宮前 1-10-10_TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)03-3403-0880_

a)JR山手線原宿駅表参道口から0.3km(S75deg.E 0.2km)徒歩約5分 表参道を明治通り方面に下り途中(表示あり)で左折し路地に入り少し行った所、

b)東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口から徒歩約5分 表参道をJR原宿駅方向へ上り千疋屋の先(表示あり)で右折して路地に入った所_

駐車場なし_中_大人_

10:30-17:30(17:00)_

月曜日(祝日・振替休日に当たれば開館し、翌日休館)

展示替え期間(大体毎月27日から月末日まで)

年末年始(大体12/211/2)_{17/03/02}