統計資料館

政治と共に歩んだ人口統計学

(知への小さな旅:トップ→目次→社会→社会基盤→)

社会基盤へ  目次へ

 自然科学分野では複雑な数式の取扱いに苦労するが、文科系では大量の数値処理に手を焼く。殊に一国の人口構造や家族構成などを扱う人口調査や各種経済統計は、膨大な数値との闘いだ。その集計結果を分析し、傾向を把握するために統計学が発達し、分類集計作業の簡便化と高速化のために各種の計算機や情報処理機が考案された。

 全国の戸数や人口の集計は、国を治めるための基礎資料であり、古代から試みられた。バビロニア・エジプト・中国などの文明発祥地では、BC3千年頃にはこの種の初歩的な調査がすでに行われたという。また古代ローマの人口や財産の登録制度は、今日の国勢調査の初源的なものと見なされている。

 日本でも646年(大化2年)に全国的な戸籍調査が行われた。これは租・庸・調や班田の制度による律令制を実施するためだった。以後6年ごとに実施され約360年も継続された。その後も天下統一の過程で各戦国大名がこの種の調査を手掛けている。

 太閤検地や江戸時代初期の検地を経て、徳川8代将軍・吉宗が1726年に行わせた諸国人数調は、それ以降も定期的に実施されたそうだ。1872年(明治5年)には戸籍簿を作製するために、全国的な戸口調査が開始され、やがて全国戸籍表や全国人口表が刊行された。

 そして今日の概念での人口静態統計調査(人口センサス)は1790年米国で、次いで西欧諸国で始まった。1920年(大正9年)には日本でも第一回国勢調査が実施された。現在、日本の国勢調査や全国物価統計調査など、国の基本的な統計調査業務は総務省統計局と独立行政法人統計センターで担当している。

 統計局敷地内にある「統計資料館」は国勢調査や統計局の歴史の説明と、歴史資料や過去に使われた分類統計機の実物展示をしている。これらの機器は「情報処理技術遺産」に認定された貴重なものだ。

館内には明治初年の漢数字で記録された集計資料もある。それによると1881年(明治14年)の人口は3,600万人弱だった。また外国のセンサスのコーナーではエジプトのきれいな富士山形の人口ピラミッドが印象に残った。

 所は変わるが東京タワー真下のビルには以前、統計局の「統計広報展示室 とうけいプラザ」と、内閣府の「感どうする経済館」という二つの政府PR施設が並んでいた。両施設は日本国とその社会の辿った社会基盤や財政状況の変遷と直面する問題点を一般向きに解説しようとしていた。

 これらの問題は奥深く複雑な内容を持ち、扱いにくい代物だが、それを子供でも興味を持つように展示内容を工夫していた。その展示と貰った資料を見て筆者は二つの事項に強い印象を受けた。その一つは日本国の現在と半世紀後の人口ピラミッドの形である。

 統計局のポケット統計情報年報2008には、日本の人口ピラミッドの平成18年度とその半世紀後の姿が掲載されている。そのおおよその形状を引用させてもらうと図のようだ(図参照)。本来なら人口ピラミッドは正三角形に近い形になる筈だ。tohkei

それが現在の日本のそれは木芽状、半世紀後の形は脚部が細く上部の広がる縄文土器状になる。それは現代人の老後や死後に現実化する姿なのだが、その変遷を知れば誰でも事態の深刻さに驚くだろう。政府が少子化対策推進をいうならば、この人口ピラミッドの変化傾向を機会あるごとに示して国民の認識を深めねばなるまい。

そして二つ目は国の借金額を表示する電光パネルだった。見ている間にその数字は刻々と増えてゆく。荒俣宏氏企画で造られた経済館の、案内パンフレットのタイトルは「感 どうする経済館」とわざと一字空白が挟んであるがまことに意味深だった。

しかし「感 どうする経済館」は09/03/31付けで終了した。麻生内閣が行った過去最大の借金による財政出動にとって、当館の展示はきわめて都合が悪かったのだろう。核の持込みに関する密約の存在否定など、政府のやることには民主国家を標榜する現代でもまやかしが色々あるから要注意だ。また「とうけいプラザ」も昨年度で廃止された。

これらの事実を合わせ考える時、日本は長期的見地からすると、もはや目先の景気対策の予算獲得に血道をあげる段階ではない。過去に景気回復のための予算ばらまきは再三行われたが、結局好況期でさえ国の借金は一度も減らずに!! どんどん増え続けた。国家財政悪化の程度は終戦直前と同様な破局状態になっているのだ。

昭和初期の大恐慌後の景気対策として色々打ち出された政策の誤りとその反作用の集積が結局何をもたらしたかは史実の通りだ。政治家、特に政権党の諸公が国のために働いていると自負するなら、とかく易きに流れ甘くなり勝ちな民主政治下での諸政策の手綱を、常に引き締め、他力本願でぶら下がる輩を排除して、健全堅実を重んじる気風を社会に唱導してもらいたいものだ。

社会基盤へ    文書の先頭

(作成日: 00/06/13、 更新日: 11/05/20)

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

統計資料館_東京都新宿区若松町 19-1 総務省第二庁舎敷地内別棟_TEL 03-5273-1187団体受付は別番号_

a)JR山手線新大久保駅から1.5km(E 1.4km)徒歩20分、

b)JR中央線大久保駅あるいは新大久保駅から新橋駅行き(63)や飯田橋駅行き(62)都営バスを利用して「国立国際医療研究センター前」下車徒歩3分、

c)都営大江戸線若松河田駅から急坂を登り徒歩5分

d)東京メトロ東西線早稲田駅の2または3b出口から徒歩約15分_小_大人_

9:30-17:00_

土・日曜日、祝日・振替休日、12/291/3_{16/09/09}