たばこと塩の博物館

パイプの種類の多さに驚く

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参照(製塩B)  

 渋谷駅から代々木公園へ向かう坂道の途中に「たばこと塩の博物館」があり、煙草と塩に関係する文化・歴史的資料を公開している。塩やタバコを専売した旧専売公社が設立したものなので、堅苦しい内容を想像し勝ちだが、内容は分かりやすく収藏品の質も高い。

 館内はたばこの来た道、日本のたばこ、日本の塩・世界の塩、特別展示の各コーナーに分かれ、それぞれ興味を引く展示が並んでいる。

 煙草の展示では、煙草が原産地の南米から全世界に広がってゆく様子と、その間に多様な喫煙習慣が発生した有様を紹介している。そこでは嗅ぎ煙草とか噛み煙草・刻み煙草・葉巻・シガレットなどと、色々な喫煙形態が発生した。

 また日本への煙草の伝来と普及の状況、喫煙法の変遷などに関する説明もある。珍しい色々な喫煙具も陳列されているし、江戸時代の煙草屋の情景も再現されている。明治初期の天狗煙草などの民営企業の看板や包装も並んでいるが、それらを見ていると、当時の激しい販売競争の状況が伝わってくる。

 近年は喫煙の害の研究が進み、禁煙運動や分煙が主張され、喫煙者も肩身が狭くなった。喫煙用具の種類は多いが、携帯用の吸殻入れはあまり見受けない。喫煙者だけが所かまわずポイ棄てしてよいはずはない。スマートな喫煙者になる気なら、しゃれた携帯用の吸殻入れでも持って歩けといいい。喫煙用具のメーカーも考えなければいけない。

 また塩に関しては、製塩法の変遷が紹介されている。海水に塩分が含まれていて、それから塩が作れることは誰でも知っている。当館には世界の製塩法の主流を占める天日製塩法や岩塩の成因の説明、及び塩の多様な用途を紹介している。また大きな岩塩標本も展示されている。

 日本には岩塩の産出はないし、雨の多い日本で海水から製塩するのは手間の掛かる仕事だった。そのため独特の製塩法が発展している。それは海水を薪で煮詰める方式から、人手で浜に海水を運び撒く揚浜式塩田、潮の干満を利用して海水運搬の手間を省いた入り浜塩田、海水を上から少しずつ流して蒸発させる流下式塩田と順次発展し、やがてイオン交換膜を利用する近代的な製塩法に変わって行った。

 さらに当館は喫煙に関係する浮世絵も多数収蔵しており、単に文化面や産業史だけの展示でなく、美術的な観点からも煙草と塩を把握できるように配慮されている。

 ところで昔の日本で使われた製塩用具は各地の海岸部に保存されている。能登観光ルートの珠洲(すず)市にはかつて能登記念館 喜兵衛どん(挿絵参照)という施設があって、そこにも多数の用具が保存されていた。当館はこの地域の大庄屋喜兵衛どん櫻井家の明治中期の、浜屋造りといわれる立派な屋敷を利用していた。

 喜兵衛どんは江戸時代は製塩と漆掻きを家業としていた当地の名家であり、当館には国指定重要有形民俗文化財の製塩用具と生漆の採取用具、及び漆工用具などが多数保存され公開していたが、惜しくも閉館した。市に買取り申し入れもあったが、過疎化に悩む市にはその力はなかったようだ。

xkiheih 海に囲まれた能登では古くから製塩が行われていた。その方式は海水を桶に汲んで運び、塩田に散布する重労働の揚浜式だった。当地の冬は寒く、しかも曇天の多い風土のため、製塩作業には気候的に向かず季節も限られていた。

 それでも塩の販売は封建領主にとって貴重な収入源となり、江戸初期には加賀藩の専売事業となっていた。その加賀藩の過酷な塩業政策と重労働は、浜士と呼ばれた製塩労働者を大変苦しめたという。

 一方、輪島塗といえば現代では漆器の有名ブランドだが、能登では漆器の原料となる生漆の生産が古くから行われていた。生漆は漆木の乳液状の樹脂から作られる。そのため加賀藩は能登の山地へ漆木の植林を奨励していた。

 漆木から生漆を採取する作業は漆掻きと呼ばれ、その作業のために専用の用具が使われた。だが能登の生漆は需要の拡大と共に乱獲され、その上、植林を怠ったため粗製品が出回り、悪評を受けて幕末には消滅してしまったという。

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(作成日: 00/10/10、 更新日: 07/01/28)

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_規模規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

たばこと塩の博物館_東京都渋谷区神南 1-16-8_TEL 03-3476-2041_

渋谷駅から0.6km(渋谷駅ハチ公前からN15deg.W 0.5km)徒歩10分_中_大人子供_

_月曜日(月曜日が祝日または振替休日に当たれば開館し、翌日休館)12/291/3、臨休あり_

当館は移転のため13/09/02から閉館。新しい博物館は2015年春ごろ墨田区で開館予定。_{13/08/24}