豪商の館田中本家博物館、須坂クラシック美術館、笠鉾会館ドリームホール、須坂市立博物館

糸の町の繁栄を残す町並み

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 長野市の東方、千曲川を渡った所に蔵の町として知られる須坂(すざか)市がある。扇状地に立地するこの町は、市街地全体が緩やかな斜面になっており、郊外一帯にはリンゴやブドウの畑が広がっている。

 この町は江戸時代を通して一万石余の外様大名、須坂藩堀家の領地だった。町には陣屋が置かれていた。その当時、町の周辺には土質と水利上の制約から水田は少なく、ワタやナタネが栽培されていた。

 須坂は地方街道の分岐点に当たっていたから、江戸中期以降、北信濃一帯の交易中心地となり、田中本家のような豪商が現れた。小藩を地盤としたため、他地域との商業活動の制約が少なかったのが幸いしたのかもしれない。

 幕末から明治になると、生糸の輸出が始まり信州でも養蚕が盛んになった。当地でも耕地は桑畑に変わり、町の資産家は競って製糸業へ進出した。そうして須坂は岡谷に次ぐ製糸の町に発展した。

 それ以来、生糸相場の変動は何度も起こり業者の淘汰が進んだ。昭和初期には大恐慌が襲い、次いで対米関係の悪化や戦時統制経済の導入で製糸工場は次々に姿を消していった。第二次大戦中にはその跡地に各種工場が疎開してきた。電子産業はそのまま定着し、現代の町の主要産業になっている。

xsuzaka1 須坂はこのような歴史を持った町だから、製糸業の繁栄した時代の名残が旧市街の中心部に多数残っている。すなわち、まゆ蔵とか土蔵造りや大壁造りの商家など諸所に見られる。

 田中本家も当然製糸業を大々的に営んだ。その屋敷は広い間口と奥行きの四周を土蔵で囲んだ広壮な構えは、往時の隆盛ぶりを示している(写真1参照)。今は「豪商の館 信州須坂田中本家博物館」として公開されている。

 土蔵内には書画や美術工芸品、当家で使われた什器備品・調度品・陶磁器、各種衣装、古文書、民具やがん具などが展示され、往時の暮らしぶりを紹介している。俳人・小林一茶も当家に滞在して俳句を詠んでいる。

xsuzaka2 その中に明治・大正の最盛期を生きた家付き娘が生涯に着用した着物を展示しているコーナーがあり、来館した婦人たちが興味深げに見ている。また同時代に約20年をかけて建築されたという非公開の客殿や、18世紀末に築造された池泉回遊式庭園の造りは田舎の豪商の通念を優に越えている(写真2)

 豪商の屋敷といえば、町の中心部にある「須坂クラシック美術館」も立派だ。この屋敷の建物は須坂藩御用商人の呉服屋で、明治以降製糸業や銀行を手掛けた牧家が明治初期に建てた。

 屋敷内には母家・上店(うわみせ)・土蔵・長屋門が一式で残っている。座敷なとの接客部分は広々とし、二階には抜け道まで備わっているが、階段は急で手すりもなく、当時の人はよく気にしなかったものだと感心する。室内には日本や李朝朝鮮の家具や民芸品、明治大正時代の和服などが展示されている。

 当館前の通りは土蔵造りや本壁造りの建物が並んでいる(写真3参照)。その一角に「笠鉾会館ドリームホール」がある。当館は毎年夏に行われる須坂祇園祭の際、市内を巡行する笠鉾11基と屋台4台を保管し公開している。

 これらは町の興隆期に京都の祇園祭をあこがれた町衆が、独特の様式に作り上げたものだろう。各々の笠鉾にはそれぞれ異なった依代(よりしろ)が飾ってあり興味深い。

 なお町の南部にある臥竜(がりゅう)公園の一帯はサクラや赤松林が美しく日本の名松百選及び桜の名所百選になっているが、その頂上からは善光寺平や北信濃の山々が眺望できる。公園入り口に「須坂市立博物館」があり、郷土資料を展示している。市内には縄文・弥生時代の遺跡も多く、また古墳時代の重要な遺跡も発掘されている。

 近世の須坂藩は小藩ながら歴代藩主は文化活動を行い、サクラの図譜や扶桑名画伝などを残している。また藩財政改革に大なたを振るった若い藩主堀直虎は後に若年寄外国奉行に昇進したが、鳥羽伏見の戦い後に徳川家の去就をめぐる激論の過程で、慶喜をいさめて自刃している。

 また当地には日本最初の製糸結社である二つの再繰(さいそう)組合が結成され、それを中心に製糸業は発展した。大正14年の最盛期には町内の製糸工場は35ヵ所、まゆを煮る釜数は5036釜に達し、町には若い工女が多数集まり賑やかだったという。

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(作成日: 04/06/15、 更新日: )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

豪商の館 信州須坂 田中本家博物館_長野県須坂市穀町476_TEL 026-248-8008_

長野電鉄須坂駅から1.7km(55deg.E 1.5km)徒歩22分、タクシー約5分_

駐車場 普通車50台_中_大人_

(4月〜11)9:00-17:00

(12月〜2)10:00-15:30

(3)      9:30-16.30

(いずれも入館受付は終了の30分前まで)_

火曜日(祝日に当れば開館)、年末年始、展示替えなどの臨時休館日あり(大体二ヶ月に一回三日程度 )

(なお3, 8, 10, 11月は無休)_{17/01/31}

 

須坂クラシック美術館_長野県須坂市大字須坂371-6(東横町)_TELFAX 026-246-6474_

長野電鉄須坂駅から0.6km(57deg.E 0.5km)徒歩8分、タクシーの利用可_小_大人_

9:00-17:00 _

木曜日(祝日に当たれば開館)12/291/3_{17/01/31}

 

笠鉾会館ドリームホール_長野県須坂市大字須坂410-1_TEL 026-246-7100_

長野電鉄須坂駅から0.7km(77deg.E 0.6km)徒歩9分、路線バスやタクシーの利用可「笠鉾会館」下車_中_大人_

9:00-17:00_

12/291/3、臨休あり_{17/01/31}

 

須坂市立博物館_長野県須坂市臥竜2-4-1 臥竜(がりゅう)公園の麓_TEL 026-245-0407_

長野電鉄須坂駅から1.7km,徒歩22(37deg.E 1.5km)、駅前からバス利用なら約10分の「臥竜公園入り口」で下車し徒歩約5分、タクシーあり_小_大人_

9:00-17:00_

月曜日(祝日に当たれば開館し、翌日休館)

祝日の翌日(ただし冬季113月は祝日に休館する)12/291/3_{16/12/07}

 

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