茅野市神長官守矢史料館、諏訪市博物館

肉食を認めた有難い神様と御柱

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参照(諏訪信仰B)  参照(諏訪湖A)   参照(菅江真澄A)

 全国に1万社以上の末社を擁する諏訪大社は諏訪盆地に鎮座している。この神社は7年ごとに行なわれる御柱祭の勇壮な木落とし行事で広く知られている。大社は一つの神社ではなく、四つの神社で構成される。

 すなわち諏訪湖の東南にある上社の前宮(まえみや)と本宮、北側にある下社の春宮と秋宮である。神社のご神体はおやまとされるが、その起源は太古にさかのぼり、現在の姿になるまでに幾多の変遷を経ている。

 高い山に囲まれた諏訪盆地には太古から人が居住し、山や湖の恵みを受けて生活していた。そのため山と湖、風雨や森など自然に対する畏敬の心が生まれて諏訪信仰の原点を形成した。また巨木や巨岩には自然の神聖な精気が宿るとして巨木信仰や巨石信仰が発生し、それを里に運んでくることで里へ自然力を招き寄せる風習が形成された。

 奈良時代になると大和政権が確立し、その宗教政策を全国に広めた。諏訪でも人格神が鎮座され、精霊信仰も一元化される。上社と下社が分かれたのもこの時代という。上社は大和系、下社は出雲系の神を祀るが、これは諏訪の人々の起源にも関連する措置だったのだろう。

 だが当地方が後進地だったため、太古の信仰はそのまま残った。諏訪神社では巨木信仰に式年遷宮の行事が重なり、すでにこの時代から特異な御柱祭が芽生えていたようだ。それが長い間に今日のような姿になり神社の四周には御柱が立てられている(写真参照)

 平安以降は仏教の浸透で神仏習合が生じ、神社のそばに神宮寺が建立された。精霊信仰にも仏教、特に密教が導入され質的に深化していった。鎌倉幕府は狩猟や肉食の禁止令を出したが、諏訪神社に関してはそれが神事であるとして除外している。

 そのため諏訪神社では鹿食免(かじきめん)の御札や鹿食箸を信徒に発行して、全国の猟師にあがめられた。また武士にも信仰が広まり、諏訪信仰を奉ずる強力な武士団が形成された。その信仰の頂点に立つ生き神様が大祝(おおふり)で、信仰と政治の両面で大きな勢力を持っていた。

 やがて武士団は幕府内の対立に巻き込まれ、また内部抗争も起こって、その勢力は衰微し、戦国時代になると武田氏に制圧された。戦国時代以降、神社の経済基盤が極端に弱体化され、民衆の費用負担で祭祀を賄う状態になる。

 神社は当初、狩猟の神だったが、農耕の発達と共に農耕の神に、次いで武士の神に、鎌倉時代には戦の神へと変わっていった。さらに明治維新によって7百年続いた神仏習合が解消され、神宮寺は完全に破壊されてしまった。それまで神宮寺の方向を拝んでいた本宮は、今では前宮のおやまを拝む形に変わっている。

 上社の前宮と本宮の間に神長官守矢家の屋敷があり、その一隅に「茅野市神長官守矢(じんちょうかんもりや)史料館」が設置されている。守矢家は太古の民のリーダーであった洩矢(もれや)ノ神から続くと伝えられる神職最高位の家柄で、諏訪信仰を実質的に取り仕切る地位を占めた。ユニークな佇まいの当館は守矢家に伝わる史料を保存公開している。

 当館の規模は小さいが、内容的には諏訪信仰の本質を表す展示があり、中でも鹿・猪・兎・魚など山野の恵みを供えた御頭祭(おとうさい)の飾り付けは注目される。これは江戸後期の旅行家で、日本民俗学の祖といわれる菅江真澄(すがえ・ますみ 17541829)の残したスケッチによって復元されたそうだ。ここには鹿食免の版木も展示されている。

 一方、上社の近くには「諏訪市博物館」がある。ここでは諏訪信仰の歴史と御柱に関する説明が詳しい。館内には諏訪湖の御神渡(おみわたり)現象を1683年から記録している八剣(やつるぎ)神社の御渡帳も展示され、御神渡の音も聴ける。また当地方の縄文遺跡を研究し、縄文人農耕説を提起した藤森栄一などの業績紹介、郷土資料や蝶標本の展示もしている。

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(作成日: 01/02/03、 更新日: )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

茅野市神長官守矢史料館_長野県茅野市宮川 389-1_TELFAX 0266-73-7567_

a)JR中央線茅野駅から2.5km(W 2.1km)駅から諏訪バス大熊線で約10分「高部(たかべ)」下車徒歩 3(ただし本数は少ないし、休日運休だから要確認)、タクシーあり。もし片道歩くのなら帰りは扇状地を上へのぼることになるので緩いが連続する上り坂になるから注意。

b)上諏訪駅からかりんちゃんバス内回り線で約40分「上社」下車後徒歩10分_小_大人_

9:00-16:30_

月曜日、国民の祝日の翌日(その日が月曜日に当たる時は開館し、その翌日休館)12/291/3_{17/07/07}

 

諏訪市博物館_長野県諏訪市中州171-2 (諏訪大社上社本宮の前)_TEL 0266-52-7080-_

a)JR中央線茅野駅から3.5km(80deg.W 2.8km)、路線バスで約15分「高都バス停」下車だが本数は少ない。もし片道歩くのなら帰りは扇状地を上へのぼることになるので緩いが連続する上り坂になるから注意。

b)JR中央線上諏訪駅から かりんちゃんバス市内循環内回り・外回り・すわっこランド上社有賀線などを利用し約3040分「上社」下車_中_大人_

9:00-17:00(16:30)_

月曜日、祝日の翌日、年末年始(なお年始は1/1から臨時開館)、館内くん蒸(6月下旬ごろ)などの臨休あり。

なお企画展開催中などで臨時開館の場合もある。要照会。_{16/12/20}