北上市立鬼の館

北方の鬼は侵略者へ怨念を持つ

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 鬼といえば普通、大江山の酒呑童子や桃太郎の鬼征伐が思い浮かぶ。他にも日本各地には鬼の伝説、あるいは鬼の登場する神楽や郷土芸能が多い。ことわざでは「鬼の目にも涙」とか「鬼に金棒」といい、また鬼婆や鬼嫁といった言葉も日常的に使われる。

 よく考えてみると、鬼は絵本に出てくる赤鬼や青鬼ばかりでなく、色々な種類があるようだ。日本の鬼は一般的には赤・青・黒の色で描かれ、角や牙を生やして恐ろしい形相をしている。鬼どもは悪さをするがどこか抜けた所もあって、最終的には征伐されてしまう。中には神通力を活かして悪霊や病を退散させるよい鬼もいる。

 鬼に類する想像上の恐ろしい怪物の表現は日本ばかりでなく、世界各地で見られる現象だ。それらはその民族独特の特長を持ち、偶像を禁ずるイスラム圏以外では色々な鬼の仮面が作られている。

 岩手県北上市一帯は鬼剣舞(おにけんばい)と呼ばれる郷土芸能が盛んだ。この踊りは念仏踊りの一種で、鬼面を着けて行なう活発な剣舞(けんばい)だ。念仏踊りは平安後期から当地にも普及したようで、それに戦国時代の戦勝の踊りが加味され、近世中頃に現在の勇壮華麗な形が完成されたようだ。

 鬼剣舞では東西南北、あるいは春秋夏冬を表す青白赤黒の四色の鬼面と、中央を意味する不動明王の黄色を加えた五色の面を着けて、8人編成を基本として踊られる。北上市岩崎地区には現存最古の1732年に書かれたその秘伝書が伝わっている。

 この由緒ある土地に「北上市立鬼の館」が設置された。当館では「鬼の原像をさぐる 鬼まんだら」「日本の鬼まつり」「世界の鬼面」「よみがえる北の鬼 鬼剣舞」などのコーナーを設けて、鬼の姿を多面的に紹介している。

 当館では鬼を大人(おおひと)・鬼神・餓鬼・妖怪の四大別して説明する。内外の鬼面も多数展示されているが、その形相は物語を反映して多彩だ。もとより鬼は想像上の産物だから、どんな姿にも表現可能だが、現実には想像の世界に留まらない場合が発生した。

 例えば奈良・平安時代には当時の大和政権が、その領域から見て東北方向に位置する奥州を鬼の棲む鬼門として、奥州への侵略と現地人への蔑視や迫害・殺略を正当化した。8世紀末に征夷大将軍坂上田村麻呂と死闘を繰り返した,胆沢(いさわ)エミシの指導者・阿弖流為(あてるい)とその戦士たちも鬼征伐の対象にされた。

 続く前九年の役の安倍氏や後三年の役の清原氏も、大和側の数々の難癖に隠重しながら一族の安泰と復権を求めたがかなわず、やがて滅ぼされた。その後に樹立された平泉の藤原氏でさえ、都への対抗意識をあらわにする形で黄金文化を築いている。

 このようなことは何も大昔の話だけではない。第二次大戦中、日本はその戦争指導で敵国を鬼畜米英と呼んで、国民の敵愾心の喚起と戦意高揚を図った。どこの戦争も大なり小なりその傾向はある。鬼の話もここまで来れば、個々の人間やその集団内に潜む生存本能や魔性に由来する問題となり、それこそ本当の鬼が表れることになる。

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(作成日: 03/06/28、 更新日: )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

北上市立 鬼の館(おにのやかた)_岩手県北上市和賀町岩崎16-131_TEL 0197-73-8488_

a)  JR東北新幹線・東北本線の北上駅から9.2km(8deg.W 6.7km)、北上駅西口から岩手県交通バス煤孫経由横川目行き、瀬美温泉行き、夏油温泉行き(5-10月季節営業)で約25分「岩崎橋」下車後徒歩1km

b)  JR東北新幹線・東北本線北上駅西口からタクシーあり。約20分_

専用駐車場あり_中_大人子供_

9:00-17:00(16;30)_

12/1から3/31までの月曜日(当日が休日に当たれば開館し、翌火曜日休館)

12/1から3/31までの 国民の祝日の翌日(当日が土・日曜日に当たれば開館し、翌火曜日休館)

12/281/4

館内整理日(11/2711/30)_{17/04/30}