野口英世記念館、野口英世記念会館野口博士資料展示室、野口記念館旧細菌検査室

ハンデを乗越え病原体を追及した人

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 病理細菌学の研究分野で優れた業績を残し、世界的に活躍した野口英世(18761928)を紹介する施設は、福島県・猪苗代湖畔と東京・千駄ヶ谷、及び横浜市金沢区にある。猪苗代湖畔の「野口英世記念館」には彼の生家が保存され、その生涯を説明している。

 その生家は築2百年も経った古い農家で、当時の水準ではまあまあの構えと見受けられたが、父親が大酒飲みだったから、母親が助産婦をして家計を支えても生活は苦しかった。家の中には彼が幼時に落ちて左手に重篤な火傷を負ったいろりや、故郷を出る時に床の間の柱へ刻み付けた「志を得ざれば、再びこの地を踏まず」の決意文が残っている。

 当時の小学校は四年制で、農家の子弟は通常それだけで勉強を終えて働いていたが、彼の才能を認めた恩師が高等小学校に入れてくれた。その後、医者に弟子入りし、医師開業試験に最短コースで合格して医者になったが、やがて彼は病理細菌学の方向を目指した。

 そして旧知で生涯の恩師となるフレキスナー博士を頼って渡米したのは1900年で、今から約百年前のことだ。彼は手の手術や高等小学校への進学、医師を目指した勉強、渡米の費用など、生涯の色々な時点で金の苦労が付きまとい、多くの人々の援助を得ている。彼は金に無頓着な人だったので、借金返済の話は成功して帰郷した時までも引きずっている。

 渡米した彼はまさに水を得たように活躍した。その活動分野は蛇毒の研究、梅毒スピロヘーターに関する一連の研究、ペルーの風土病病原菌の解明、狂犬病その他多岐にわたっている。それらの大部分は当時新設されたロックフェラー医学研究所を舞台として行われ、その名声は世界的に広まった。

 やがて彼は南米やアフリカで猛威を振るっていた黄熱病の研究に着手したか、その過程で黄熱病に感染してガーナで亡くなった。この研究では、彼は治療法の確立を目指して少し急ぎ過ぎたようだ。当時はまだウイルスの存在は知られておらず、それが見えない光学顕微鏡で立ち向かったことになり、結局その病原体を確定するに至らなかった。

 彼の業績も現代の目から見れば、色々な点で反証否定されているが、これはその後の科学の進歩によるもので致し方ない。それはともかく、後進国の日本出身で、欧米人に並んで当時、世界的な業績を上げた彼は、教科書にもよく出てくる。しかし日本にいる時には学歴の壁に阻まれて閉塞感を覚え、医学から病理細菌学へ転進し、海外に活路を求めたという。

 彼は研究一筋の人のように思われるが、在米日本人社会の世話役をしたり、絵を描く趣味を持ち、将棋やチェスに熱中する個性的な人だった。また研究の方法は余り几帳面ではなく、天才肌のやや奔放な進め方であったという。その彼を研究の整理分類や文献作成などの面で大きく支えたのが、女性助手のドイツ系米国人エベリン・ティルデン博士であった。彼女は彼が亡くなるまで12年間、助手として彼の研究を支えた。

 東京の「野口英世記念会館野口博士資料展示室」は彼の学問的業績に焦点をあて、蛇毒の研究資料や論文、顕微鏡などの研究用器具、学位記や蔵書類と共に、達筆な手紙も公開している。室内には彼の等身大パネルが置いてある。ずいぶん小柄な人と思えるが、五尺の体と称した当時では153センチの身長はごく普通だったのだろう。

 なお横浜・金沢区の長浜には彼ゆかりの「野口記念館旧細菌検査室」が保存公開されている。そこには元横浜海港検疫所があって、1899年、彼が22才の時に5ヵ月間勤務し、外国船のペスト患者を発見した所だ。

 建物は関東大震災で倒壊して再建されたものだが、内部には彼の業績パネルや古い検査器具が展示されている。当時は前面の長浜公園一帯は海で、検疫待ちの船が多数停泊していたそうだ。

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(作成日: 00/07/10、 更新日: )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

野口英世記念館_福島県耶麻郡猪苗代町大字三ツ和字前田81(三城潟)_TEL 0242-85-7867,0242-65-2319(入館について)_

JR磐越西線猪苗代駅から4.5km(70deg.W 2.9km),駅前のバスセンターから磐梯東都バス金の橋・会津レクリエーション公園・慧日寺(えにちじ)行きなどで約10分「野口英世記念館」下車、駅からタクシーもある_中_大人子供_

9:00-17:30(17:00)(410)

9:00-16:30(16:00)(113)_

12/291/3だけ_{17/01/31}

 

野口英世記念会館野口博士展示室_東京都新宿区大京町 26_TEL 03-3357-0742_

a)  JR中央線千駄ヶ谷駅から0.8km(60deg.E 0.6km)徒歩10分、

b)  都営大江戸線国立競技場駅A3出口から徒歩7分_小_大人_

9:00-17:00(土曜日 15:00まで)_

日曜日・祝日、12/28-1/3_{17/01/31

}

 

横浜市長浜ホール・野口記念館旧細菌検査室_横浜市金沢区長浜 114-4 横浜市長浜ホール脇の小さな長浜野口記念公園内_TEL 045-782-7371_

a)金沢シーサイドライン幸浦駅から1.1km(75deg.W 0.6km)徒歩15分、

b)京浜急行能見台駅からも徒歩15分_小_大人_

9:00-17:00_

月一回程度の施設点検日、12/291/3_{17/01/31}

 

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