宮沢賢治記念館、おがの化石館

イーハトヴの世界を見る

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参照(賢治B)  参照(賢治C)

 東北新幹線・新花巻駅の近くの胡四王山(こしょうざん)には「宮沢賢治記念館」がある。岩手県花巻市出身の宮沢賢治(18961933)は童話や詩で独自の世界を開いた。「雨ニモマケズ…」の詩や童話「銀河鉄道の夜」「風邪の又三郎」などはよく知られている。当館の辺りは彼がよく散策に訪れた所という。

 彼は盛岡高等農林で地質学や農芸化学を専攻した農業技術者だった。そして農学校教師や農業指導の分野で活躍した。さらに花巻温泉の造園にも業績を残している。彼は音楽・絵画・演劇・短歌・俳句などに興味を持ち、法華経の信仰にも熱心だった。当館はその多才な人物像の全貌を紹介しようとしている。

 近年はアニメの世界で彼の銀河鉄道の夜などは良く知られているが、当館の岩石標本や肥料設計書などを見れば、彼は科学面でも優れた能力と熱心さを持っていたことがよく分かる。その反面、彼の童話は創造性豊かだが、やや面白味には欠けるように思う。

 館内は賢治の時代と地域の状況、その生い立ち、賢治の信仰とその活動、科学との出会い、風土に根ざした独特な作品、農業技術と農村への働きかけなどをテーマとして構成されている。彼の遺稿や手紙、絵画もあり、その中には「雨ニモマケズ 風ニモマケズ…」が書いてある古い手帳も含まれている。

 当館の近くには賢治童話村や宮澤賢治イーハトーブ館が造られ、イーハトヴの世界や賢治の童話ムードを表現しようとしている。イーハトヴとは彼が岩手県の風土を思い浮かべて名付けた、空想上のユートピアのことだ。当館からは、かなり距離があるが、市内には賢治の詩碑や墓、羅須地人協会建物、生家跡などが散在している。

 ogano1なお彼は学生時代に地質学勉強のために埼玉県秩父・小鹿野町を訪れた。それは1916(大正5)のことで、一行25人は盛岡市から8日間の地質学研修旅行だった。小鹿野には「ようばけ」と呼ばれる大きな崖があり、第三紀層の化石を含んだ岩石が露出し、地質研究に適した所だった。(ここは今では古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群として、国の天然記念物に指定されている。)

 そこで詠んだ和歌が、親友・保阪嘉内の歌碑と並んで、ようばけを間近に望む「おがの化石館」の傍らにある(写真1参照)。「さはやかに半月かかる薄明の 秩父の峡のかへり道かな 賢治」。「この山は小鹿野の町も見へずして 太古の層に白百合の咲く 嘉内」。

当館には主に「ようばけ」や秩父盆地から採集されたカニ・サメ・ウニ・二枚貝・脊椎動物・植物などの化石と、地元から発掘された小型恐竜、さらには賢治たちの来訪記録が展示されている。彼らはその旅行で三峰山まで行ったが、さらに奥地には平賀源内も長期滞在した秩父鉱山があった。そこは各種鉱物を産出し、鉱物好きの彼はもし日程が許せば、さぞ訪れたかったに違いない。

 余談だが、銀河鉄道のモデルとなったといわれる軽便鉄道は最終的には昭和20年代半ばまで走っていた。軽便ゲージといっても、れっきとした国鉄釜石線だったが、同線が通常の鉄道に改良された後、その機関車は北上川の堤防工事に使われていた。

 また彼が造園設計をした花壇のある花巻温泉行きの軽便電車は、車体の幅が極端に狭い(,60メートル)ため馬づら電車、あるいはお見合い電車と呼ばれた車両もあったが、昭和40年代に廃線になった。なお馬づら電車は駅の近くの公園に保存されている。

 長くお世話になった折角の文化遺産も保存されることなく皆スクラップになってしまう。その原因が先進地にばかり目の向ける結果なのか、経済的に余裕がないのか、またその考えが浮かばないのか判然としないが、やはり残念なことだ。

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(作成日: 99/07/11、 更新日: 12/07/01 )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

宮沢賢治記念館_岩手県花巻市矢沢 1-1-36_TEL 0198-31-2319_

a)JR東北新幹線・釜石線新花巻駅から2.0km(55deg.W 1.3km)徒歩26,タクシーあり

b)新花巻駅から花巻駅行・イトーヨーカドー行岩手県交通バスで「宮沢賢治記念館口」下車上り坂を徒歩13分、

バスは大体一時間おきに運行。タクシーもある。

c)JR東北本線・釜石線花巻駅から約8km、岩手県交通バス晴山行きで「宮沢賢治記念館口」下車上り坂徒歩13分

d)あるいは新花巻駅や花巻駅から市内循環バス「ふくろう号」の利用も出来る_

駐車場 無料 普通車40台_中_大人_

8:30-17:00_

12/281/1だけ_

なお近くの宮澤賢治童話村「賢治の学校」はTEL 0198-31-2211、宮沢賢治イーハトーブ館 0198-31-2116、、いずれも記念館の近くで、開館時間や休日も同じ_{17/02/11}

 

おがの化石館_埼玉県秩父郡小鹿野町下小鹿野 453_TEL 0494-75-41790494-79-1100(産業観光課)_

西武秩父線西武秩父駅前始発・秩父鉄道秩父駅経由の西武観光バス小鹿野車庫行き・栗尾行きなどに乗って約35分、「泉田」下車後徒歩約1.4km19(西武秩父駅からN45deg.W 約5.0km)_

駐車場 無料あり_小_大人子供_

9:00-17:00(16:30)_

火曜日_{17/06/14}

 

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