神戸らんぷミュージアム

見事なランプに目を見張る

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 夜の暗闇、夜行性の動物なら自由自在に行動できるが、残念ながら人類にはその能力がない。明るさは身の安全確保のためにも欠かせず、人類の長い歴史を通じて常に明るさを求めてきた。暗闇の中には魔物や妖怪が潜むとして恐れたのもそのせいだろう。

 人が道具や文字を使って知識や技術の集積をするようになると、それらを活用するために明るさへの欲求はより強くなる。ところで人類が火を扱えるようになり、炎が周囲を照らす事実に気付いて以来、炎は何千年もの間、照明手段として利用されてきた。

 その間、炎を発生させる燃料は木材、植物性および動物性油脂・ロウ、石油、石炭ガスなどと色々と使われた。それでも明るさを得るために炎を利用すること自体は、19世紀後半にアーク灯や炭素フィラメント白熱電球の点灯実験が成功して電灯の時代が到来するまで本質的には何ら変わらなかった。

 灯火具は日本でも古来その用途や燃料の種類に応じて色々使われてきた。大昔には松明(たいまつ)やかがり火が、時代が進むと灯油を利用する灯台や行灯(あんどん)、ろうそくを使う燭台やちょうちんなどが現れた。

 明治維新前後には石油ランプが輸入され、その明るさとハイカラなガラス器具は文明開化を象徴する物として人々に受け入れられ、急速に国内に普及した。

 神戸の都心部には関西電力が設立した「神戸らんぷミュージアム」がある。文明開化の発信地の一つであった神戸外国人居留地跡に位置する当館は、その土地柄に相応しくランプを中心にした赤木コレクションで構成されている。

 当館には日本古来の各種灯火具も多数展示されている。そこには時代劇や歴史物でおなじみの行灯・燭台・手燭・がん灯などもある。これらは用途に応じて色々な形ものが作られたが、一般に日本の灯火具は木と和紙を利用したものが多い。

 そしてランプといえば今では無色透明のガラスで出来たホヤに黒い金属製の笠を付けた素朴な物が思い浮かぶ。けれども当館の展示では、カラス工芸や金属工芸の粋を駆使して作られたすばらしい品々が並んでいる。

 いずれにしても炎を利用した照明は暗かった。館内には灯火具別の明るさを比較したコーナーもあるが、一本芯の行灯の明るさを1とすると、60Wの白熱灯電灯は約140倍、20Wの蛍光灯は200倍というから驚く。

 この事実を知れば明治の人が石油ランプに飛びついた理由もよく分かる。そのランプにしても、明るい視環境に慣れた現代人の目から見れば耐え難いほど暗い。ガスや電気も導入当初にはもっぱら証明用に利用されていたことも、人々の明るさへの欲求の強さを示している。

 数千年の努力の結果、ようやく今の明るさを獲得した現代人は先人の努力に感謝しなければならない。暗さとほんのりとした明るさの交錯する雰囲気にもそれなりの特色がある。明るさの確保は大切だが、エネルギーを浪費してまで必要以上の照明を行なうのは慎まなければなるまい。

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(作成日: 03/09/14 更新日: )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

神戸らんぷミュージアム_神戸市中央区京町80番 クリエイト神戸ビル3F_TEL 078-333-5310_

JR東海道線(神戸線)・阪神線・阪急線の三ノ宮駅から約0.8km(S5degW 0.6km)徒歩約10分_駐車場なし_中_大人子供_

13/4月から関電経営合理化の一環として当面、休館中。臨時開館もある。_{17/05/22}