桑名市博物館

伊勢参り土産になったやきもの

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  頑丈な橋が造れなかった時代、洪水を繰り返す大河の横断は容易ではなかった。木曾川・揖斐(いび)川・長良川の三大河が流れるデルタ地帯もその例に漏れない。その治水は非常に難しく、薩摩藩士による宝暦の木曾三川治水工事の苦闘はよく知られている。

 江戸時代の東海道では、尾張熱田の宮宿から桑名宿までの本道は、伊勢湾を横断する約28キロのコース・海上七里の渡kuwanaw(別名 間遠(まどう)の渡し)だった。そのため桑名は桑名藩の城下町であると共に、東海道やお伊勢参りの宿場sitiri2兼船着場として、また米や材木の集散地として繁盛した。その七里の渡し跡は揖斐(いび)川河畔に現存するが、近年防潮堤の設置によって船着場の面影は殆ど失われた。

そこに立っている鳥居は伊勢の国に入ったことを示す伊勢神宮の「一の鳥居」である(写真参照)。また広重の東海道五十三次の浮世絵に大きく描かれている桑名城蟠龍櫓は、その側に防災倉庫として復元されている(写真参照)。なお長い船旅を嫌う旅人は、宮の宿から佐屋路を通って木曽川近くの佐屋宿に至り、そこから桑名まで川沿いに三里(約12km)を渡船して桑名に着いた、すなわち佐屋の渡しだった。

一の鳥居をくぐれば東海道は陸路に戻り南西へ向った。東海道の旧道は桑名市内を三ケ所の見附で枡形に屈曲しながら、約4kmのコースを今でもたどれる。枡形による屈曲は城下町の特徴ではあるが、それ以外に水害による交通遮断防止上、土地の比較的高いコースを選んだ面もあるそうだ。

 ところで桑名城跡は揖斐(いび)川の川岸に築城された大規模な水城だった。桑名は東海道交通の要衝であったから、桑名藩には歴代、親藩や譜代大名が配置された。幕末から維新期の藩主・松平定敬(さだあき)は会津藩主松平容保(かたもり)の弟だった。彼は京都所司代も勤め、その際京都守護職の兄に協力した佐幕派として知られていた。

従って戊辰戦争では、桑名城は新政府軍の猛攻を受け、開城した時には城内の櫓はことごとく大破していた。加えて明治初期に行われた四日市港の築港に、石垣の石材を転用されて公園化されたため、今では幅広い堀以外、城跡として見るべきものは殆ど残っていない。

桑名城跡や七里の渡し跡の近くにある「桑名市立博物館」にはこの地域の考古資料、佐幕派として活躍した桑名藩資料、松平定信の書画、この地の繁栄を物語る美術品や茶道具などが保存されている。中でも当館独特のものは古萬古(こばんこ)や再興萬古など、萬古焼であろう。

 萬古焼は1740年頃、桑名の豪商沼波弄山(ぬなみ・ろうざん)によって開窯された。それは京焼や九谷焼の技法を導入し、それに新しいデザインを加えた高級品だった。萬古焼は弄山没後、しばらく衰微していたが、やがて伊勢土産として伊勢地方一帯で復活し、高級品から格安品までの各種の製品が作られた。

kuwanatr また当館と関係はないが、桑名には珍しいものがある。それは西桑名駅から発車する三岐鉄道北勢線の電車だ(写真参照)。その線路幅は762ミリの軽便規格で、戦前は全国各地で見られたが、本格的な鉄道としては今ではこの線と近くの軌道線だけになってしまった。(もっとも観光路線の黒部峡谷鉄道も軽便軌間だが、年間通じての運行ではない)

 まさに博物館的な存在といえそうだが、それでもバリバリの現役として、JRの通勤電車を小さくしたような近代的電車が走っている。ラッシュ時には数両編成で運転されている。だが時代の推移で近鉄時代に廃止の話も提案されていたが、平成15年4月に三岐鉄道が引き取った。

 だから桑名駅付近では標準軌の近鉄と狭軌のJR、そして軽便軌の北勢線と、三種の線路が仲良く併走している。ぜひ近距離往復だけでよいから北勢線に試乗されることを勧めたい。もし廃止する時は、長い間お世話になった貴重な文化遺産として、車両を大切に保存したいものだ。

また一の鳥居の近くには重要文化財と名勝指定を受けた諸戸氏庭園と六華苑があり、明治時代の桑名の水運と経済活動の活況を伝えている。

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(作成日: 99/03/11、 更新日: 07/05/11)

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

桑名市立博物館_三重県桑名市京町 37-1_TEL 0594-21-3171_

a)  JR関西線・近鉄名古屋線桑名駅から1.2km徒歩17分、タクシーもある

b)  桑名駅からコミュニティバス南部Aルートで「博物館前」下車、ただし本数は二時間に一本ぐらい_

駐車場あり_中_大人_

9:30-17:00(16:30)_

月曜日(祝日に当たれば開館)、祝日の翌日(日曜日に当たれば開館)12/291/3、展示替え期間_{17/01/13}