小泉八雲記念館、小泉八雲旧居、焼津小泉八雲記念館

日本人の心を欧米に紹介した人

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 松江城の堀に沿って武家屋敷が並ぶ一角は、松江観光の名所になっている。そこに「小泉八雲記念館」があり彼の遺品や著作を展示している。そのそばに1年足らずの短い居住期間であったが、八雲の「旧居」が残っている。

 小泉八雲(18501904)は、旧名をラフカディオ・ハーン(ヘルンとも)といい、ギリシャ生まれでアイルランド育ちの英国人だった。幼時に片目を失明した彼は、後に渡米して新聞記者になった。そして文学欄を担当し、ヨーロッパ各国の文学紹介や翻訳を行い文名を知られた。

 1890年(明治23年)に来日し、松江中学や第五高等学校などで英語を教え、後に東京帝国大学で英文学の講師を勤めた。その間に松江藩士の娘・小泉節子と結婚し、日本に帰化して小泉八雲と名乗った。

 彼は松江や出雲地方の風物を好み、「知られざる日本の面影」を米国で出版し、日本の姿を欧米に紹介した。また耳なし芳一の民話や雪女などの話を収録した「怪談」、あるいは「心」や「神国日本」などの作品を海外で出版している。

 彼はこれらを通して出雲地方に伝わる神話・伝説・民俗習慣など、日本人の精神性や松江の風物を海外に紹介している。これらの書籍は欧米学者が日本人の精神文化を研究するのに大いに役立ったといわれる。なお彼が熊本に在住した時に住んだ家も保存されているそうだ。

 八雲は東京帝大に奉職してから、夏休みの期間をほぼ例年のように現在の静岡県焼津市の海岸に滞在した。水泳が得意な彼は当地の荒浜での遊泳を楽しんだ。そして逗留先の魚屋主人・山口乙吉の人柄を好み、集落の人々とも交流があった。

 彼の焼津滞在は6回を数え、それは彼の突然の死の一ヶ月前まで続いた。その間に「焼津にて」「乙吉のだるま」などの作品を残している。今では焼津市内に「焼津小泉八雲記念館」が設置され、彼と当地の関わりを紹介している。駅前広場には石碑が造られ、市内には作品に出てくる場所がいくつもある。

 ところで八雲と同じ時代に日本に住み、同じように日本人の生活と民衆文化を海外に紹介した人物がいた。ポルトガル人のウェンセスラウ・デ・モラエス(1854-1929)である。彼はポルトガル海軍士官として海外植民地に勤務し、マカオ港務局副司令を最後に退役した。

 その間、1889年(明治23年)に初めて来日し、その後もしばしば訪れている。退役後は神戸に在住し、やがて神戸大阪総領事に就任した。彼は徳島出身の福本ヨネと結婚したが、彼女との生活は十年余に過ぎず、1912年に彼女と死別している。

 その翌年、本国の革命や政情混乱もあって総領事を辞任した彼は徳島へ移住し、そこでヨネの妹小春を後妻に迎えて執筆活動を始めたが、小春も三年後には病没した。彼は晩年リューマチに患い、ヨネの叔母の親身な世話を受けながら徳島で亡くなった。

 彼は日本の民衆の生活や事物に興味を持ち、それを調べて故国の新聞や雑誌に投稿した。それらは後にまとめられて出版されている。主な著作には「大日本」「徳島の盆踊り」「おヨネと小春」「日本精神瞥見」などだ。

 ただ多くの物事がそうであるように、彼の文筆的業績が徳島や日本国内で知られるようになったのは、晩年から没後である。徳島での彼の生活はヨネの身内など、ごく狭い範囲だけとの隠棲生活だった。神戸とは違い外国人としての彼に対する徳島の人々の見方は第一次大戦の影響もあって、必ずしも好ましいものではなかった。しかし文筆生活を亡くなるまで続けている。

 徳島市を一望する眉山(びざん)山頂にモラエス館があって、彼の生涯を紹介し、遺品や書簡・著作などを展示していたが閉館になった。中でも「ワタクシハ モシモ シニマシタラ ワタシノカラダヲ ヤイテクダサレ」と墨で書かれた片仮名の遺言状は、昔から海外に雄飛した海洋民族ポルトガル人の心意気が伝わるようで印象深い。彼とその妻たちは眉山の麓の墓地に眠っている。

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(作成日: 99/11/12、 更新日: 13/06/10)

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_[情報最終確認日]開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

小泉八雲記念館_松江市奥谷町 322_TEL 0852-21-2147_

a)JR山陰本線松江駅から2.9km(40deg.W 2.1km)、駅7番乗り場からぐるっと松江レイクラインバスを利用して約16分「小泉八雲記念館前」下車

b)松江駅から松江市営バスを利用し約10分、「塩見縄手」下車徒歩6

c)松江駅から一畑バスを利用し約20分、「塩見縄手入り口」下車徒歩1分_

駐車場 なし、最寄の駐車場利用_小_大人_

(4/19/30)  8:30-18:30(18:10)

(10/13/31) 8:30-17:00(16:40)_

年中無休_{17/01/23}

 

国指定史跡 小泉八雲旧居_松江市北堀町315_TEL 0852-23-0714_

町名は上記記念館と異なるが隣接している_小_大人_

(49)8:30-18:30(18:10)

(103)8:30-17:00(16:40)_

無休_{17/01/23}

 

焼津小泉八雲記念館_静岡県焼津市三ヶ名1550 焼津文化センター内_Tel 054-620-0022_

a)JR東海道本線焼津駅から1.73km(S56degs.W 1.46km)徒歩約23分、タクシーもある。

b)焼津駅南口4番乗り場から自主運営バス「さつき」で約5分「ゆりかもめ」で約8分、「文化センター」下車。(ただし復路のコースは違うので、復路の乗車場所を来館したらすぐに係員から聞くこと)_

駐車場 無料 あり_小_大人_

9:00-17:00_

月曜日(月曜日が祝日に当たる場合は開館し、以後の最初の平日に休館する)12/291/3

展示替えなどの臨休(3か月ごとに約3日あり、年度に依って日にちは異なるだろうが、例えば本年度は16/04/13,14,15の水木金、16/07/06,07,08の水木金、16/10/05,06,07の水木金、17/01/25,26,27の水木金のように)_{17/01/23}

 

モラエス館_徳島市眉山町茂助ヶ原_平成27331日に閉館

 

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